表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もうひとつの四魂物語  作者: yuzoku
ジンセンフの修行編
7/9

黒いお邪魔虫と白いそよ風

ある時から、気づけば筋肉と気が張ってる部分には黒いモヤがかかってた。


コイツが現れてから、俺の体は固くなるようになってしまった

背中は張ってるし、頭は常にズキズキしてうっとおしい。

何年もコイツには悩まされてきた。時には、生きる気力も無くなるくらいに


でも、最近の修行や戦いで、ようやく気付けたことがある。

コイツは敵でも呪いでもない。体内の気の澱みを、痛みとして教えてくれるんだ

じいちゃんは言ってた。「いつか、お主にとってソイツが気流習得の、助けになる。感謝さえするだろう」って

そん時は、「またこのジジイ、テキトーな気休め言いやがって!」なんて思ってたけど、ホントに感謝する日が来るなんてな笑


そうだ、まずは名前をつけてあげよう。

体の中の淀みやコリを知らせてくれるオマエは、「ヨドコリ」だ

そう思えたら、ホントに意思がある生き物に見えてきて、急に愛着も湧いてきたな

オレの一部であり、オレの大事な相棒だからな

そうだよな、ずっとオマエはそこにいて、語りかけてくれてたんだよな


気づいたんなら、自分の意志で、自分の体と対話して教えてあげればいい

 ーー《ホグシ》

呼吸で取り込んだ空気が、丹田で白い糸になったのを感じる

その糸を、今1番痛みがあって、ヨドコリの濃い左脇腹に流す

すると、少し痛みと黒さがゆるんだ。


よし、イイ感じだ。


無意識に入っていた力みに、感覚を集中させる。

意識して、体の各部位の力を抜いていく。

流されるまま、気の向くまま、体の自然な反応で、呼吸を繰り返す


少しほぐれてきたら、

両手を挙げて大きく伸びをして、左右の脇腹を伸ばしてあげる


じいちゃんの言葉が蘇る

「お主の体は、骨に筋肉が付いてでできているんじゃないぞ。気が流れてお主ができているんじゃ。」

あの時は意味が分からなかった。いや、学校で習ったことと違うし。迷信被れで時代遅れの勘違いジジイだなんて思ってた。ごめんな、じいちゃん笑


この世界には、物質にも生き物にも、目に見えていようがいまいが、ちゃんと気流が流れている。

1個の個体それぞれに気流の輪がある。それらが干渉し合って世界が成り立っている。


 そうか、オレの体も、この世界の気流の1つなんだ。

 自分の体に対して、「肉の塊」から「気流の束」という感覚に変化したのを感じた。実際の体はそんなに変化も無いはずなのに、身体の捉え方が変わったら、ホントに感じるんだから不思議なもんだ。


丹田に力を入れる。

左右の肩甲骨を寄せる

アゴを引いて目線は真っ直ぐに


ただ、体に意識を向け、姿勢を正すことだけに集中する。


丹田に力を入れる

左右の肩甲骨を寄せる

アゴを引いて目線は真っ直ぐに


丹田に力を入れる

左右の肩甲骨を寄せる

アゴを引いて目線は真っ直ぐに… …




どれくらいの時間が経っただろうか。

ふと、ヨドコリに目を向けると、漆黒だった靄が少し白みがかっていて、灰色に変わっていた。体も少し軽くなっていた。

「フフッ、なんて中途半端な色なんだよ、おまえ。

でもお前のおかげで俺は気流を身に付けることができたし、お前のおかげで自分自身の気流と向き合うことができた。

ありがとな。そしてこれからもよろしくな」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ