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ハーレムを作りたい

道に迷ってたじいさんを家に送り届けたら王様になった。


何を言ってるかわからない?そりゃそうだな。俺もまだよくわかってない。


けどま、王様になったのはどうやらマジらしい



「王よ、今日は何を致しますかな?」


齢60を過ぎた宰相が俺にそう尋ねる


王様になって最初にしたことは勉強だった。どうやら国の事を知っておかねばならんとの事で

それがまぁ、3年もかかるとは思ってなかったけど。


「何しよう。暇だよね」


「良い事でございます」


で、先日ようやく勉強も終わって本当に王様になっちゃったわけだ。


この国、思ったよりもはるかにいい国なのだ。手を入れるところなど殆どない

だから王様の仕事って、特に何もないのである


で、だ…


「暇なのでハーレムが作りたい」


俺がそう言うと


「は?えっと…ハーレムですか?」


「うんハーレム。夢だよね。作ろうよ」


「そ、その前にお妃を迎えることが先決ですな」


「え?嫁さん?そっか、そうだよね。じゃあそうしようか」


そうだよね、ハーレムも良いけどその前に嫁さんだよね。

そういえば俺、彼女も居た事なかったわ


「では早速近隣の国から候補となる姫を探しましょう」



それから、数日後




「王よ、届きましたぞおー!」


宰相が何やら薄い本を持ってくる


「うん?何が届いたの?」


「何って…王が探せと言ってたじゃないですか…嫁を」


「おお!思い出した!で、どうだった?」


「はい、5人の姫からお見合い写真来ております」


「お見合い写真とかあんのか…まあいいや、見せてよ」


宰相がまず一番上の写真を手渡す


「おお!あれ?」


「そちらは隣国の姫ですな。愛くるしさでは他に類をみないと噂でございますよ」


そこに写ってたのは赤ん坊だった


「でしょうね!可愛いよね赤ちゃん!」


「如何ですかな?」


ドヤァ


「如何ですかな?ドヤァ。じゃねぇよ!ダメだよ!若すぎるよ!」


「将来性は抜群ですぞ」


「そうだね!将来性の塊だよ!つうか将来性しかねえよ!でもダメだよ!俺育つまで待てねぇよ!」


床に写真を叩きつける



「ではコチラはどうですかな?」


宰相は次の写真を渡す


「お?この娘良いんじゃない?可愛いじゃん」


「おお!お気に召しましたかな?それは北の国の姫ですな」


「へぇ、めっちゃ可愛い!好みだわ!」



「おお、それではそちらで決められますかな?」



「いいね、この娘なんで結婚してないの?不思議なくらいだわ」


宰相は資料をペラペラとめくる


「ふむ、エカテリーナ姫、身長148センチ、体重98キロ……」


「え。まって、何それ。この娘鉄かなんかでできてんの?重くない?」


「えーと、年齢49歳で」


「エルフ?エルフなの?」


「いえ、人種みたいですな」


「……なんだよ!おかしいじゃん!写真めっちゃ可愛いよ?」


「えーと、34年前の写真みたいですな。それではエカテリーナ姫に連絡を取りますので」


「いやいやいや、まてまてまてまて!この流れでよく連絡取ろうとするな?詐欺じゃん!パネル詐欺じゃん!俺やだよ?なんで30も歳上の人と結婚させようとすんの?せめて歳上でも3歳上くらいならわかるけど倍以上じゃん?」


「わがままですのう……」


「わがままとかじゃねーよ!バカにしてんの?ねえ?」


「しかしですなあ」


宰相の持つ写真と資料を奪い取るとパラパラとめくる


「はあ……全部却下だわ。なんでこんなのしかいないの?見てよこれ、亀じゃん?」


「亀に似てますな」


「いや甲羅背負ってるし。つか人種じゃねーし。ガチのモンスターだし」


「えー」


「えー。じゃねぇよ!もういいよ!城の中とかに可愛い娘いるよね?もうその娘達でいいから夜伽の相手させてよ!」


「せっかちですのう。しかし、城にいる女中は皆既婚女性でして……」


「マジか。そんな城あんの?マジで?」


「本当でございます。そもそもの採用条件が既婚女性であることでしたからな。離婚したら解雇ですし」


「何その条件!おかしくない?誰が決めたのよ!」


「前王の奥方様ですな、前王がそこら中の娘に手を出すもので、既婚女性のみにしたのでございます」


「マジかあのジジイ。つーか手を出しまくってたのかよ」


「羨ましいですか?」


「羨ましいなんてもんじゃないね。殺したいくらい憎いね」


「そうでしたか、しかし前王はもう亡くなってますからな…」


「知ってるよぉ!お葬式出たもん!余計な事しやがって!とりあえず今務めてる人解雇して結婚してない人に入れ替えてよ」


しかし宰相は難しい顔をして…


「彼女らに死ねと?あの者達は他に働く場所もなく、ここをクビになれば家族皆、死んでしまう可能性がありまして」


「え?マジで?そりゃ可哀想だな、やっぱなしで」


まさかそんな重たい事情があるとは思わなかった


「ありがとうございます」


宰相が頭を下げる


「あーあ、じゃあどうするかなあ」


「まあゆっくりと探せばいいではないですか、時間はまだございますし」


「そうだね、嫁さんは焦って決めるものじゃないしね」


「はいでございます」





これは、ある日突然王になった男の物語である。


彼が何を成すのかまだ誰も分からない

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