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ショートショート集

極悪魔

作者: 宮本摩月

 悪魔と取り引きをして成功者になった奴は多いだろうが、俺はそんじょそこらの成功じゃ満足できない。だから取り引きだってそんじょそこらの悪魔とじゃなく極悪の悪魔と交わしたいと考えた。

 極悪の悪魔なんだから、悪の限りを尽くして呼び出さなければならないだろう。

 極悪魔を呼び出すために俺は充分な準備を整えた。普段から粗悪品を身にまとい、悪食を心がけ、悪玉菌と悪玉コレステロールを増やし、悪女と付き合った。悪女との交際でのストレスのせいか毎晩悪夢を見るようになった。飲みに行ったら、悪酔いして昔悪かった自慢を吹聴して回った。そんな俺の醜悪な言動はきっと悪目立ちしていたことだろう。

 極悪魔を呼び出すための最悪のフィジカルを手に入れた俺は、縁起の悪いとされる仏滅の更に13日の金曜日のしかも悪天候の日を選び悪戦苦闘して儀式を執り行った。


 魔法陣から出現した悪魔はまさしく極悪魔という形容がしっくりきそうな存在だった。

 悪臭を放ち、悪声で悪態を付きながら俺に話しかけてきた。

「てめえ、ふざけやがってバカやろう、ワシを呼び出したのはお前か」

「はい。願い事を叶えてください」

「駄目だ。ワシは性格が悪いから願い事は叶えないで魂だけ貰うことにしておる」

 そんな……。いくら何でも極悪すぎる。

 絶望した俺をニヤニヤしながら眺めた極悪魔は言葉を続けた。

「というのは嘘だ。ワシは悪趣味だから人間をからかうのが好きでな」

「叶えてくれるんですね。ではまずは現金十億円ほど」

「……やっぱり叶えるのやめ。帰るわ。じゃあな」

 極悪魔の姿が薄れていく。

 「ど、どうして?」

 姿が消える直前に極悪魔はニヤニヤしながら言った。

「今日は体調が悪くてな」


《終わり》


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― 新着の感想 ―
[一言] 読みにくるの遅くなっちまって、悪いな。 あっ、ちょい待って、電話…… 悪い、急用入ったから、また今度、ほんと悪いな。
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