女子の祭典
模擬戦終了後、葵とシャロル達は女子寮への道を歩んでいた。
「ねえシャロルちゃん!!」
「どうしたの空色さん。」
「私たちのルームメイトどんな人かなあ!!」
「あまり実力がかけ離れた人たちと同じになるとはおもえませんし、きっとSクラスかAクラスの人だと思いますわ。」
「いい人たちだといいね!」
「ええそうね。」
「そういえばシャロルちゃんは日本に来る前はどうしてたの?」
「私は小さい頃セイクリッド家の長女として生まれたわ。でもね、セイクリッド家は神聖な家系なのに私が持った異能は神聖なものじゃなかったの。家の人たちは何百年とこの時を待ってたらしいんだけどね、私が期待外れだったせいで私は家を継げなかったの。」
「それは大変だったね。」
「でも私はセイクリッド家の誇りを忘れたくはないわ。」
「シャロルちゃんはすごいね!私にはそんな覚悟はないよ…」
「いいえ、空色さん。あなたが私を守った時のあなたの瞳には力強いものがありましたわ。」
「そうかな、えへへ。実はあの時のことあんまり覚えてないんだよねー。」
「見事な防御だったとおもいますわ。」
「なんか私必死になるとたまにそうなっちゃうんだよねー。」
「それってあなたの強みなんじゃないのかしら。」
「そうかな?」
「やるときはしっかりやるってことですもの。」
「ありがとう!!」
そして葵達は女子寮へ着いた。
「えっと、部屋割りの表は…」
「あ、あったわよ!」
シャロルが指差す。
そこには葵の名前とシャロルの名前両方があった。
「私たち同じ部屋だ!!よかった!!」
「ええ。あなたと同じで嬉しいわ。」
「他にえーっと、雪村恵梨香さんと田尻美香さん…?」
「聞いたことない名前ね。きっとAクラスの人だわ。」
「まあ会えばわかるよ!それじゃあ部屋に向かおっか!!」
葵達は部屋に向かう。
「ここが部屋だね!!」
葵が部屋の扉に手をかけ、開ける。
「「きゃああああああ!!きたああああ!!!」」
悲鳴のような歓声のような声に葵達は迎えられる。
「あなた達正義の魔王様のお供でしょ!?!?」
白髪長髪の少女が叫ぶ。
「きゃああああ羨ましいい!!!」
黒髪短髪の少女が叫ぶ。
「一体あなた達は何なんです…?」
シャロルが少し引いて問う。
「私は水原様のファン第一号!雪村恵梨香!異能は物を冷やす力でレートは68よ!!」
白髪の少女が言う。
「私こそが水原様のファン第一号!!田尻美香!!異能はものの重さを減らす力でレートは65よ!!」
黒髪の少女が言う。
「私が一号よ!!」
「いや私が一号だよ!!」
「一体あなた達あいつのどこにそんな魅力を感じたのかしら?」
「私たち、あのマルクとかいう奴がいろんな人に嫌がらせしてたのを知ってるの!!」
白髪の少女が答える。
「あ、あの人いろんな人に嫌がらせしてたんだ…」
葵が呆れた声で言う。
「そのマルクをぎったぎたにした上でシャロルさんを守り、仲間の受けた傷を返すなんて正義の魔王様としか言えません!!!」
「あの田尻さんだったかしら…?どうして私たちが受けた攻撃と同じ攻撃をしたってわかったのかしら?」
「そりゃ見てたらわかりますって!!」
「変に観察力あるんだね…」
「そんなことよりここ、部屋の入り口ですわ。もう少し入ってから話してもよろしいかしら。」
「「あ!!すみませんでした!!」」
葵達はようやく部屋に入り、中央の丸いちゃぶ台のような机の周りに座る。
「それじゃあ始めましょ!!」
元気そうに白髪の少女が言う。
「何を始めるのかしら…?」
「何言ってるのシャロルさん、女子の祭典・恋バナよ!!」
黒髪の少女が元気に言う。
「それじゃあ空色さんから水原様との関係を!!」
白髪の少女が問う。
「え、えーっと、私がかいとくんに出会ったのは5歳の時で、記憶喪失になって道を迷ってた時に救ってくれたんだよね。」
「「きゃああああああああああ!!」」
黄色い声が上がる。
「なにそれ!!超幼馴染じゃん!!」
黒髪の少女が言う。
「しかも記憶喪失で迷ってる時に手を差し伸べただってきゃああああああ!!!100%惚れるじゃん!!」
「惚れるって…5歳よね…」
シャロルが静かに突っ込む。
「それでそれで?」
白髪の少女が続けて問う。
「えーっと、そこで初めての祭りに先生と一緒にかいとくん含めて何人かといったかな。」
「先生…?」
黒髪の少女が不思議そうに問う。
「私たち孤児院に住んでてね。」
「そうだったの…辛い過去が…ってそれ水原様完全に空色さんの支えじゃんきゃああああああ!!!!」
白髪の少女が少しシリアスな感じで話し始めたと思うと再び黄色い声が響く。
「きゃああああああ水原様ああああ!!」
続けて黒髪の少女が叫ぶ。
「この部屋絶対いつか苦情来るわね。」
静かに再びシャロルが突っ込む。
「それでシャロルさんはどうなの?」
黒髪の少女が問う。シャロルは話すまで質問し続けるだろうと悟り、諦めて話し始める。
「えっと、私が初めて会ったのは今日ね。私がマナーがなってない生徒を叱ってたら絡んできたのよ。」
「きゃああああ!!叱ってると絡んできただって!!!」
「きゃああああ!!何それさすが水原様!!!!」
もはやとくに大したことないことでも声を上げている。
「それでそれで?」
黒髪の少女が続けて問う。
「それで、決闘を持ちかけられて、私は負けてしまったわ。」
「きゃああああ!!水原様お強おおおい!!!!」
「さすが水原様ああああ!!!」
「その時何か言われたの???」
黒髪の少女がさらに食いつく。
「てっきり奴隷のように扱われて、私がしたいことができなくなるのかと思っていたけれど、そんなことしないと言ってたわ。」
「きゃあああああ!!やさしいいい!!!!」
「奴隷でも羨ましいいいいい!!!」
もはやなんでもいいのではと思える。
「それにしてもどうして二人はそんなにかいとくんに憧れてるの?」
「あんな正義を見て惚れない方がおかしいわ!!」
白髪の少女が言う。
「そうよ!!水原様最高!!」
黒髪の少女が続く。
「ファンってこんなに恐ろしいものなのね。」
シャロルが小声で言う。
「もしかして私たちと同じ部屋になったのって偶然じゃないのかも…」
葵が小声で言う。
「で、で、シャロルさん、水原さんのどこが好きなんですか???」
白髪の少女が問う。
「べ、別に好きなんかじゃないわよ!!」
「きゃああああ!!ツンデレエエエ!!!!」
黒髪の少女が言う。
「何言ってるのよ!!ばか!!」
シャロルが顔を赤くして反対する。
「きゃああああ!!素敵いいいい!!」
どうやら少女には否定に聞こえていないようだ。
「それでそれで、空色さんはどうなの?どこが好きなの?」
白髪の少女が続けて問う。
「え、えーっと、優しい所…?」
「きゃあああああ!!今度は否定しない純情キターーーーー!!!」
葵が顔を赤くしてうつむく。
「ライバルなのに仲がいいとか完全にハーレム展開じゃああああん!!!!」
葵とシャロルは俯いて言葉を発せずにいた。
「で?で?シャロルさんどこが好きなの????」
黒髪の少女が追い打ちをかける。
「ちょっとは休ませなさいよね!!!シャロルが廊下へ出る。」
そして数秒後、行く場所がないと悟り、シャロルが部屋に戻って来る。
「よく考えたら行く場所なかったわ。」
「夜這いしに言ったのかと思ったあああ!!」
「男子寮は遠いから虫除けスプレー持ってった方がいいよ!!!」
女子達のテンションが数秒で落ちるはずもなく、部屋に戻った瞬間に言葉の弾幕を受けた。
「ち、違うわよ!!まず部屋に他の人たちもいるでしょ!!」
「いなかったら夜這いしちゃうの!?」
「きゃああああああ!!!」
「ち、違うわよ!!!!」
「空色さんは夜這いしたくなんないの!?」
突然矛先が葵に向く。
「へっ!?な、ないよ!!!」
「きゃああああ!!純情ーーーー!!!」
「だいたい何で急に恋バナなんて…!」
シャロルが言う。
「そっか!!お菓子と飲み物がなかったね!!!」
「消灯後用のランプも買わなきゃ!!」
「「売店行って来る!!」」
凄まじい行動力で即座に二人は部屋を出て、売店へ行った。
「………」
葵とシャロル、二人だけになった空間に沈黙が続く。
「そ、その、私は別にかいとくんのそばにシャロルちゃんがいてもそんな気にしないよ!!」
「え、ええ。私ももともと一夫多妻が普通のところにいたから大丈…って違うわ!!!あの人たちにつられちゃだめよ!!」
「え?あ、え?」
「きっとあのテンションにさらされておかしくなってるのよ!!」
「そ、そうだよね!!普段だったらこんな話絶対しないもんね!!」
そして再び沈黙が訪れる。
「というかあの二人すごいね…」
「ええ。勢いとテンションを含めて色々とすごいわね…」
「正直元気な人がルームメイトだといいなって思ってたけどここまで元気だとつかれちゃうね。」
「今日はあまり眠れないことを覚悟しておいた方がいいと思うわ。」
「そうだね。」
そんな会話をしばらく続けていると、何やら騒がしい足音が聞こえてきた。
「あっ…」
「きましたわね。」
ドカァァンバンドゴンギュゥゥン!!
とてつもない音とともに二人の女子が部屋に入って来る。
「おまたせーーー!!」
「それじゃあ続けようか!!」
二人が持つ袋には大量のお菓子、飲み物が入っていて、白髪の方はランプを抱えていた。
「消灯したのに電気ついてると起きてるのバレちゃうからね!!」
「それ以前に声でバレると思うのだけれど…」
シャロルが小声で突っ込むが、その声はやはり届いていない。
「今夜はながくなりそうだね…」
先を見据えた葵が言う。
シャロルちゃんと葵ちゃんはしばらく睡眠不足になりそうですね。
と言うかルームメイトの女子のテンション恐ろしい…




