氷の魔女
「おかえりー!」
俺が観客席に戻ると、すぐに濱口に出迎えられる。
「あの一瞬の間に何があったんだ!?」
レオナルドが驚いた表情で言う。
「気がついたらエリアがごっそり無くなっててびっくりしたでごわす!!」
ブライオスが言う。
「時間加速したの?」
葵が言う。
「勝てると思ってた…」
シズが言う。
「ああ。あれでも時間加速してる間に結構戦ったんだぞ?」
みんなに言う。
「そうじゃないとあんなことにはならない。」
シズが言う。
ごもっともな意見だな。
「てか俺が前体育の授業で戦った奴あそこまでやばかったのかよ!!」
濱口が言い、レオナルドを見る。
「ま、まあそう怒るなって…」
レオナルドが濱口に言う。
「御二方、ここで争いごとを起こすと迷惑でごわすよ。」
ブライオスが言う。
「ほら!もうすぐシャロルちゃんの戦いが始まるよ!」
葵がそう言った直後。
「えー、草原エリアを修復してから次の試合を開始するため、5分程度お待ち下さい!」
シリル先生の声が響く。
「確かにあのまま試合をするわけにはいかないでごわすからね…」
ブライオスが言う。
「仕方ない。待つか。」
5分後。
「それでは草原エリアの修復が終わりましたので、準決勝戦・最終試合を開始します!」
シリル先生の声が響く。
「おっ始まったな!」
濱口が言う。
「それではアスピア・クリストラさん、草原エリアに移動して下さい!」
声が響いた後、黒髪で長髪の、落ち着いた様子の女性が現れた。
「次にシャロル・セイクリッドさん、草原エリアに移動して下さい!」
再び声が響くと、少ししてシャロルが現れた。
「あれが氷の魔女でごわすか!!」
ブライオスが言う。
「ゲームだと属性的に相性悪いけどあいつ大丈夫かな?」
レオナルドが言う。
「大丈夫だろう。昨日あいつなりにしっかり特訓してたからな。」
レオナルドに言う。
フィールドを見ると、シャロルと女が話していた。
「そういえば音声は聞こえないんだったな。<感覚強化>」
聴力に集中して感覚を強化する。
「…かしら?」
シャロルの声が聞こえる。
「ええ。いいわ。」
女の声も聞こえる。
これでしっかり観戦できるな。
「それじゃあ早速始めましょ。」
シャロルが言う。
「ええ。」
女が返答する。
「それでは試合開始です!」
シリル先生の声が響くと、その瞬間に女が手を前に出した。
「<氷の槍>」
女の周りに氷の槍がいくつか出現し、シャロルに向けて飛んでゆく。
「<豪炎の盾>!!」
シャロルが唱えると、シャロルの前に盾が出現し、槍を防ぐ。
「<螺旋業火>!」
続けてシャロルが唱え、反撃に出る。
「<氷の盾>」
炎が盾で防がれる。
「やるわね!<炎の槍>!!」
続けてシャロルが炎の槍を何本も出し、盾の同じ場所に向けて攻撃する。
「この炎ならあなたの盾じゃ防げないわ!」
シャロルが言う。
「あらそう。それならこうするわ。<氷柱>。」
女がそう唱えると、女の足元から直径3メートルくらいの氷柱が勢い良く飛び出し、女を空高く舞い上げる。そしてその氷柱は地獄の炎にぶつかり、砕け散った。
「<氷の雨>」
空中で女が唱えると、女の周りに数多もの氷の小さい粒が現れ、シャロルに降り注いだ。
「<豪炎の盾>!」
シャロルが盾を張り、防ぐ。
「やっぱり貴方にはこんな子供のお遊びは通じないようね。」
女が着地し、言う。
「<氷針>」
女がそう言い地に手をつけると、シャロルの真下から氷の針が大量に突き出てくる。
「<業火の鎧>!!」
シャロルがそう言うと、シャロルに突き刺さったかと思えた針が溶けていた。
「あら。それも防げるのね。」
女が言う。
「もちろんよ!<双龍業火>!!」
二つの炎が龍の形となり、女を襲う。
「<氷棺>」
女が唱えると、二つの龍が巨大な氷に包まれ、砕け散る。
「あなたこそやるわね!<豪炎の砲撃>!!」
巨大な赤いレーザー光線のような炎が女に向けて飛んでゆく。
「<三稜鏡氷>」
女の前に巨大なプリズムが現れ、炎の光線を分散させる。
「やっぱり、貴方は全体からの攻撃に弱そうね。<収束豪炎>!!」
女の周り前後左右、そして上にいくつもの炎が現れ、女に向けて飛んでくる。
「<氷球>」
女を氷の半球が包み、炎を防ぐ。
「まだまだよ!<収束豪炎>!!」
さらに多くの炎が女に向けて飛んでくる。
「そんな…!<氷…きゃああああっ!」
氷球が突破され、炎が女を包む。
「<氷の鎧>!!」
咄嗟に氷の鎧を創り出し、なんとか炎を防ぐ。
「まだまだっ!!<爆裂>!!!」
シャロルが女の周りで連続で爆発を起こす。
「<氷の盾>!」
女が氷の盾を張る。
「<爆裂>!!」
シャロルがさらに爆発を起こすと、氷の盾はみるみる溶けてゆく。
「<氷の盾>!」
いくつも氷の盾を張る。
「<爆裂>!!」
何度も爆発を起こす。
「<氷の盾>!」
さらに氷の盾を張る。
「<爆裂>!!」
さらに爆発を起こす。
シャロルは連続で大爆発を起こし、女は氷の盾を大量に張り、防ぐ。
しかしそれを続けていると氷の盾はどんどん減ってゆき、とうとう無くなった。
「これでおわりよっ!!<爆裂>!!」
今までで一番大きい大爆発が起きる。
ドォォォンという残響が響く中、凄まじい黒煙が草原エリア一帯に立ち込める。
「ふぅ。なんとかこれで…」
シャロルは勝ちを確信し、安堵する。
シャロルが焼け焦げた芝生に腰をかける。
「割とあっさりだったわね。」
シャロルが独り言を言う。
「…」
終わりのコールが聞こえない。
「まさか…」
シャロルが煙の方に目をやると、煙の中に何かが見える。
「ん…?あれは…?」
そこには先程までの薄い水色をした透き通った氷ではなく、真っ白な氷で創られた氷の盾があった。
「あの氷は何!?」
シャロルが驚きの声を漏らす。
「私にこの氷を使わせるとは驚いたわ。」
真っ白な氷の盾が砕け散ったかと思うと、そこには先程まで戦っていた氷の魔女が立っていた。
「あの爆発を何故…防げたの…?」
シャロルが恐る恐る問う。
「私が普段出す氷は-4℃程度だからすぐ溶けちゃうんだけど、この氷は絶対零度。貴方の炎がいくら熱かったとしてもそう簡単には溶けないわ。」
女が言う。
「そんな…!!」
シャロルが驚いていると、女が攻撃を仕掛ける。
「これで終わりよ。<超冷氷弾>。」
真っ白な氷の弾がいくつも出現し、シャロルに凄まじい速度で飛んでゆく。
「<豪炎の盾>!」
シャロルが盾で防ごうとするが、氷の弾は盾を貫通し、飛んでくる。
「<噴出加速>!!」
咄嗟に右に勢い良く加速し、避ける。
「あら。意外とやるじゃない。<超冷氷槍>。」
真っ白の氷の槍がいくつも飛んでくる。
「<噴出加速>!!」
シャロルが大きく右に加速しなんとか避ける。
「<超冷氷槍>」
今度は3倍以上の数になって飛んでくる。
「<爆裂>!」
大爆発を起こし、槍を吹き飛ばす。
「<超冷氷盾>」
女は自分の所まで届いた爆風を先程の真っ白の盾で防ぐ。
「今度の槍は躱させないわ。<超冷氷槍>。」
真っ白の槍が数十個出現し、先程とは比べものにならない速度で飛んでくる。
「<爆裂>!!!」
大爆発を起こすが、数個の槍が減った程度で攻撃は防げない。
「<豪炎の盾>!!!!」
盾を張るが、やはり防げない。
「<業火の鎧>!!!!!」
炎の鎧で防ごうとするが、防ぎきれない。
「きゃあっ!!」
シャロルが後方に吹き飛ばされる。
「残念だけど貴方に勝ち目はないわ。<超冷氷槍>。」
真っ白な槍がいくつもシャロルに向けて飛んでゆく。




