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脱出

俺が風邪をひいて学校を休んだ次の日の土曜日は特に何も起きず、日曜日がやってきた。


「おらあ起きろおおおおおおおっっっ!!!」


レオナルドが珍しく一番早く起きている。


「お早うでごわす。」


ブライオスがすぐに起きる。


「ああ、おはよう。」


俺もすぐに起きる。


「おい濱口起きろおおおおおおおっ!!!!<電撃(エレクトリックショック)>!!!」


レオナルドが濱口に異能を使い、無理やり起こす。


バチン!!!という音が部屋に響く。


「いっってええええ!!何すんだレオナルド!!」


濱口がレオナルドに言う。


「濱口だっていつも俺を異能で起こすじゃねえか!それのお返しだ!!」


「今日は日曜だろ!!別に異能使わなくてもいいだろ!!」


「いや!!今日は秋葉原に行く日だ!寝坊は許さん!!」


「ほら、喧嘩してないで朝食行くぞ。」


言い合う二人に言い、俺たちは朝食に向かった。




食堂で朝食を食べ終わった後。


「ブライオス!今何時だ!」


レオナルドが言う。


「今は8時半でごわすな。」


ブライオスが答える。


「じゃあ部屋戻って詳しく作戦を練るか!」


レオナルドが言う。


「その前にちょっとついて来てくれるか?」


俺がレオナルドに言う。


「おう!いいぞ!何か用でもあるのか?」


「ああ。一応外に出る前にこの腕輪を外しておこうと思ってな。GPS機能でもついて居たら厄介だ。」


「確かにそうした方がいいでごわすな!」


ブライオスが言う。


「やっぱり水原は抜け目がねえぜ!」


濱口が言う。




「あ、かいとくんだ!」


「あら。何か用かしら。」


「え!?水原様!?なんでここにいるの!?!?」


「きゃああ!!本物だあああ!!!!」


俺たちは葵たちの前まで行った。


「なあ葵、この腕輪、お前の異能で外せるか?」


葵に言う。


「うん!外せるよ!」


葵が答える。


「外したことがあるのか?」


「うん!前にちょっと事情があって外したことがあるんだ!」


そうだったのか。事情というのが気になるが変な詮索はよしておこう。


「そうか。それじゃあ俺たちの腕輪を外してくれ。」


そして葵に腕輪を外してもらい、部屋に戻った。





そして俺たちは駐車場に向かった。


「ブライオス!今何時だ!」


ブライオスに問う。


「9時50分でごわす!」


トラックが来るまであと10分か。今のうちに駐車場の北側の茂みに隠れておこう。


「あそこの茂みに隠れるぞ!!」


俺は駐車場の北側、西寄りの茂みを指差した。


「わかったぜ!!」


「了解!」


「わかったでごわす!」


そして俺たちは姿勢を低くしながら歩き、茂みに隠れる。


「トラックは全部で7台あって、西側に駐車したトラックから順に荷物が下される。おそらく俺たちの前に停まるトラックが一番最初に荷物が下されるから、荷物が下されたらすぐに荷台に乗り込むぞ。」


「おう!」


「わかったぜ!」


「わかったでごわす!」


濱口達が返事すると、すぐにトンネルが開く音がし、7台のトラックが入って来た。


トラックが駐車すると、前と同じ人が降りて来て、声を発する。


「配達参りましたー!」


すると前と同じ女性の声が聞こえる。


「はーい!」


そしてまた1階に扉が現れ、女性が出て来る。


前と同じやりとりが行われた後、荷物が下され始める。


そして俺たちの目の前に停まっているトラックの荷物が全て下ろされた。


「お前ら、準備はいいか?」


濱口達に聞く。


「もちろんだ!」


「いつでもいいぜ!」


「準備万端でごわす!」


「よし、行くぞ!<光線湾曲(ライトカモフラージュ)>!!<音響遮断盾(サイレントシールド)>!!」


左側に停まっているトラックから見られないよう光を曲げ、音が漏れないように遮断し、俺たちはトラックの荷台に乗り込む。


「<光線湾曲(ライトカモフラージュ)>」


「<音響遮断盾(サイレントシールド)>」


荷台の中を見ても俺たちが居ないように見えるよう光を曲げ、音が聞こえないように音を遮断する壁を貼る。


「よし。これで大丈夫だ。」


俺が3人に言う。


「任務完了だな!」


「これで秋葉原に行けるぜ!」


「緊張したでごわす!」


濱口達が言う。そしてしばらくすると、荷台の後ろを閉ざしている深緑色のカーテンのような布がヒラリと動く。


「水原氏!」


ブライオスが布を指差す。


すると布の真ん中にある切れ目から業者の人が中をのぞいてきた。


「めっちゃ見てるぞ…!」


レオナルドが小声で言う。


「よし、大丈夫だな。」


業者の人は俺たちに気付かず、どこかへ行く。


「気付かれないってわかっててもヒヤヒヤするな!」


濱口が言う。


「かくれんぼみたいだな。」


そう言うと、レオナルドが反応する。


「お前かくれんぼするときにこれ絶対使うんじゃねえぞ!!」


確かに実際のかくれんぼでこれをしたらゲームが成り立たなくなるな。


「もちろんこれはしないぞ。」


そんなことを話していると、トラックの扉が開く音がし、数秒後に閉じる音がした。


「おっ!乗ったな!」


濱口が言う。


そのさらに数秒後、エンジンが始動する音が聞こえた。


「よし!動くぞ!」


レオナルドが言う。


「せっかくでごわすから外を見てみたかったでごわすが、このタイプの荷台じゃ外が見えないでごわす…」


ブライオスが言う。


「ああ、それなら俺が見えるようにできるぞ。」


ブライオスに言う。


「でも物体は透明にできないんじゃないんでごわすか?」


「ああ。透明にはできないが、これならできるぞ。」


俺は荷台の壁に手をかざす。


「<光線湾曲(ライトカモフラージュ)>」


「<念力(サイコキネシス)>」


メシャメシャギギギギィッ!と凄まじい音を出しながら荷台の壁に穴が空き、横に広がってゆく。


「これ鉄でごわすよ!?!?」


ブライオスが驚きの声を上げる。


「ああ。知ってる。鉄くらいは簡単に曲げられるぞ。」


「てかこの穴外から見えちゃうんじゃねえのか!?」


レオナルドが言う。


「安心しろ。しっかり光線湾曲で見えないようにしてある。」


「相変わらず水原はすげえな!!」


濱口が言う。


「トンネルの内側が見えるでごわす!」


ブライオスが穴を指差す。俺もそちらを見ると、そこには高速道路にあるトンネルをそのまま小さくしたような壁が広がっていた。


「でもこれ一体どこに出るんだろうな。」


濱口が言う。


「学園は東京にあるから多分都内にはでると思うぞ。」


「じゃあ出るまでしりとりしようぜ!!」


レオナルドが言う。


「いいぜ!」


濱口が言う。


「いいぞ。」


レオナルドに言う。


「いいでごわすよ。」


ブライオスが言う。


「じゃあ俺からな!!りんご!!」


濱口が言う。


「じゃあ次は俺だな。ゴム。」


俺が言う。


「次は俺だな!!ムード!!」


レオナルドが言う。


「次は拙者でごわすな。どんぐりでごわす。」


ブライオスが言う。


「リード!」


「ドーム」


「また"む"かよ!!ムース!!」


「酢飯でごわす。」


「竹刀!」


「医務」


「また"む"じゃねえか!!ムササビ!!」


「ビーチでごわす!」


「チャンス!」


「スチーム」


「またかよ!!!!!虫!!」


数分後。


「ドリーム」


「最初からずっと"む"じゃねえか!お前絶対わざとやってるだろ!!」


「もちろんだ。」


「くっそおおお!!!ムード!!」


「それもう言ったでごわすよ。」


「まじかよ!!虫!!」


「それも言ったでごわす。」


「無理!!」


「それは濱口氏が言ってたでごわす。」


「ムーン!!!」


「あ!レオナルド最後に"ん"がついた!!」


「お前の負けだな。」


「くっそおおおおおお!!!!!!」


ちょうどしりとりが終わったところで、壁の穴から明るい光が差し込んで来た。


「お!地上に出たでごわす!!」


ブライオスが穴の方を指差す。おれもそこを覗くと、知らない街並みが広がっていた。雰囲気的におそらく東京都内だろう。


「よし!出るぞ!」


3人に言う。


「<念力(サイコキネシス)>」


「<光線湾曲(ライトカモフラージュ)>!」


メシャメシャと壁に開いた穴が塞がる。そして俺たちはトラックの荷台からうまく光線湾曲で見られないようにし、飛び出し、歩道に足をついた。


「よっしゃ!!脱出成功だ!!」


レオナルドが言う。


「秋葉原が楽しみでごわす!!」


「うまく出れたな!!」


ブライオスと濱口が言う。


俺はポケットからスマホを取り出し、グー○ルマップを開いて現在位置を確認した。


「ここからだと新宿駅が近いな。そこから山手線で秋葉原まで行こう。」


3人に言う。


「よっしゃ!じゃあ水原について行くぜ!!」


レオナルドが言う。


「拙者もしっかりついていくでごわす!」


ブライオスが言う。


「水原はやっぱ頼もしいぜ!!」


濱口が言う。


「あ、そうだ。分かってるとは思うが不用意に異能を使うんじゃないぞ。」


そう言いながら後ろを見ると、手のひらの上でネジをどろどろに溶かしている濱口が居た。


「おい!言ったそばから使ってんじゃねえ!」


濱口に言う。


「すまん!忘れてた!今すぐこれ捨てるぜ!」


濱口が溶けたネジを落とそうとする。


「落とすな!落とした方がダメだろ!!」


濱口に言った直後。


「オラッ!!」


見知らぬ男が俺の財布をひったくり、走り去ろうとしていた。


流石に財布は取られるわけにはいかないな!


「<念力(サイコキネシス)>!!」


男の動きがピタリと止まる。


そしてぎこちない動きでゆっくりと歩いて来る。


「す…みま…せ…ん、お…返し…しま…す…」


ぎこちない喋り方で俺にひったくった俺の財布を返した。


「おう。ありがとな。」


俺が財布を受け取った瞬間、男の顔色が変わる。


「ひえっ!!化け物!!」


そう言いながら男が走り去って行った。


「水原…お前…」


レオナルドが少し恐怖の混じった目で見てくる。


「ああ、流石に使わざるを得ない時は異能をバレないように使えばいいぞ。」


レオナルドに言う。


「いや、そうじゃなくて、今何したんだ…?」


「ああ、念力で体を無理やり動かして財布を返してもらったんだ。」


「水原氏が味方でよかったでごわすよ…」


ブライオスが言う。


「安心しろ。お前らには流石にしない。」


そう言い、俺たちは再び歩き始めた。その直後。


「危ないです!!」


俺たちの左側、道路を挟んだ先の公園から声が聞こえる。


身体強化(アドバンスパワー)>!


時間加速(タイムアクセル)>!!


俺は反射的に自らの時間を加速する。そして左を見るとそこには俺の頭に向かって飛んで来るサッカーボールがあった。俺は時間加速を緩め、できるだけ手をゆっくり動かしてサッカーボールをキャッチする。


「すげえ!!あのにいちゃんあのボールをとめやがった!!」


別の子供の声が聞こえて来る。別に子供が蹴ったボールくらいは止められてもおかしくないだろう。


「あのボール、プロサッカー選手が蹴ったやつだぜ!!!!」


ああ。そうだったのか。それはちょっと人間離れした動きをしてしまったかもしれないな。というかなんでプロサッカー選手がいるんだ。どんな偶然だよ。


「すげえな水原!!」


濱口が言う。


「異能を使ったのか?」


レオナルドが聞いてくる。


「ああ。異能を使って止めた。」


「異能を使っても止められるのはすごいでごわすよ!!」


ブライオスが言う。


「まあまぐれみたいなものだよ。」


俺がそう言った直後。


キキィィィィィィッッ!という音とともにトラックが突っ込んでくる。


「<念力(サイコキネシス)>!!」


俺は不自然に見えないよう、俺たちにギリギリ当たらない程度にトラックを減速させる。


「あー!!危なかった!!あとちょっとで当たってたー!!」


大きめな声で言う。これで周りの人もたまたまトラックが当たる直前に止まったと思うだろう。


「大丈夫でごわすか!?」


ブライオスが言う。


「ああ。異能で止めたから大丈夫だ。」


「いきなり3連続でこんな事件が起きるとはすごい偶然だな!」


レオナルドが言う。全くその通りだ。そう思った直後。


ガゴン!!と、右側にある工事中の建物から音が聞こえて来る。まさか。


身体強化(アドバンスパワー)>!


時間加速(タイムアクセル)>!!


再び異能を使って自らの時間を加速し、上を見る。すると俺たちに向かって無数の鉄骨が降り注いでいた。


「<念力(サイコキネシス)>!!」


俺はすべての鉄骨が俺たちに当たらず落ちるよう鉄骨の向きを変え、再び前を向く。そして時間加速を解除する。


ゴガガガガガガガガガガガガン!!と鉄骨が地面に突き刺さる。


「うおあっ!?なんだ!?!?」


濱口が言う。


「安心しろ。俺たちに当たらないようにしといた。」


「水原氏が守ってくれたでごわすね…それにしても一体なんでごわすか…」


ブライオスが言う。


「なんで鉄骨がいきなり降って来たのかは俺でもわからない。」


「こんなに偶然が連続するなんて神がわざとやってるしか思えないぜ!」


濱口が言う。確かに神がわざとやったような偶然だ。いやまさか…


「おい神。」


小声で言う。その瞬間、周りの世界が白くなり、気がつくと白い空間にいた。


「ふぉっふぉっふぉ!!いきなりすまんのう!ちょっといたずらしてみたくなっただけじゃ!!」


やっぱり神の仕業だったか。


「いきなりなんなんですか!危うく死にかけましたよ!!」


「ふぉっふぉっふぉ!もし死んじゃったらしっかり復活させるわい!」


そんな問題じゃないんだが。


「それに異能バレないように使わなきゃいけないんですよ!もし異能がバレたら大変ですよ!」


「ふぉっふぉっふぉ!だからやったのじゃ!面白かったぞい!」


なんて神だ。


「もう…やめてくださいよ?」


「ふぉっふぉっふぉ!もうやめるわい!友達のいたずらだと思ってくれればいいわい!」


神のいたずらは危険すぎるんだが。


気がつくと、俺は元の場所に戻っていた。


「ああ。全くひどい神だ。」


濱口に言う。


そして俺たちは鉄骨の隙間を通り、歩き始めた。まさか学校から出れたと思ったらいきなり神の遊びに付き合わされるとはな。まったくいい迷惑だ。

明日から1週間程度パソコンに触れる事が出来ないので投稿出来ません。

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