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食料配達

「レオナルド氏が任せろとは言っていたでごわすが、大丈夫でごわすかね…」


俺とブライオスは、駐車場の前の茂みでトラックが来るのを待ち伏せながら話していた。


「ああ、あいつなりに考えがあるみたいだぜ。」


レオナルドがあの低クオリティの人形を持ってきた時はどうなるかと思ったが、職員室で濱口が飛び降りようとしていると話すことによってあの人形から"本当は授業を受けたいけれど友達の方が大事"というような雰囲気が出て先生も同情せざるを得ないといった作戦を考えているとはな。あいつ、きっとエナジードリンクを飲んで夜遅くまで考え込んでいたんだろう。


「レオナルド氏もせっかく手伝ってくれるお二人の力になりたいと言ってたでごわすよ。」


あいつなりに色々考えているんだな。本当に濱口みたいだ。そういえば濱口も最近異能が強くなってきていたからな。きっと俺が渡した鉄の立方体はもうどろどろに溶けていてもおかしくはない。


「あいつ、かなりいいやつだよな。」


「ちょっと意地っ張りなところもあるでごわすが。」


「確かにそうだな!」


あはははっと二人の笑い声が響く中、教室では。




「はーいみなさんこんにちはー!」


シリル先生が教室に入る。


「お早う!!諸君!!」


ガイザー先生が教室に入る。


「空色さん!水原達まだ来ないの!?」


「本気でこの人形でごまかせると思ってるんじゃ…」


シャロルと葵が小声で話す。


「ん?水原がなんだって?」


ガイザー先生が反応する。


(あっ!小さい声で話しても聞こえるんだったわ!!)


シャロルが焦る。


「まあいい。」


ガイザー先生が言う。


(え?いいの?)


「それでは授業を始めます!」


シリル先生が言う。


(え!?人形には触れないの!?!?)


そしていつも通り授業が進められた。





1時間目終了後


「あの!!あれどう思います?」


シャロルが人形の置いてある席を指差す。


「ああ、あの人形ね。ちょっと事情があって出席扱いよ。」


(え!?出席なの!?!?てか人形ってバレてるし!!人形でいいの!?!?)


シャロルが驚く。


「あ、あの、すみません!!いつもはこういうことする人じゃないんです!」


シャロルが頑張って庇う。


「ああ、シャロルさんは知ってるのね。それは良かったわ。でも一体何があんな行動に移させてしまったんでしょうか…」


シリル先生が言う。


「いや!先生は悪くないですよ!!というか出席でいいんですか!?」


シャロルが言う。


「もちろんよ。友達を大切にすることはすごく重要なことだと思うし、こんな時に欠席扱いになんてさせられないわ。」


シリル先生が言う。


(え!?集団でなら授業すっぽかしてもいいの!?)


「さすがにそれはダメじゃないですかね…」


シャロルが言う。


「規則を大切にするセイクリッドさんの気持ちもわかりますけど、やっぱりこれくらいは見逃すべきだと思うわ。」


(なんで今怒られたの!?なんで!?)


「先生達はあいつらを叱りに行かないんですか?」


「ああ、行かないわ。変に刺激するのはよくないと思ってね。」


(え!?水原何してんの!?先生を脅しでもしたの!?)


「でも無事に事が済んだら是非話は聞かせてもらいたいわね。」


シリル先生が続けて言う。


(無事に済んだら!?本当に何したの!?)


「先生は大丈夫なんですか…?」


「正直私も驚いてるわ。」


(まさか本当に脅されたんじゃ!!)


「濱口君が飛び降りようとするなんて…」


シリル先生が言う。


「ゑ」


シャロルから変な声が漏れた。




その頃駐車場前では。


「そういえばセイクリッド氏と空色氏にどうにかしてくれって言ってたでごわすが、大丈夫でごわすか?」


あ、そういえばそうだったな。


「まああいつらなら大丈夫だろう。きっとうまくやってくれる。」


それに最悪見て見ぬ振りをされてもレオナルドの名演技のおかげでなんとかなるだろう。


「水原氏はあの二人のことを信用してるのでごわすな!」


「ああ。あの二人は良い奴だし、特にシャロルは機転が利くタイプだろうからな。葵は5歳からの仲だし、俺に初めてできた友達だからな。」


「そんなに前から空色氏と知り合いだったでごわすね!シャロル氏とはいつ出会ったでごわすか?」


「ああ、シャロルと出会ったのはこの学園に来た初日だ。いきなり初対面で決闘を挑まれた時はびっくりしたぜ。」


「決闘を挑まれたでごわすか!!」


「ああ。ちょっといろいろあってな。」


「そうでごわすか!」


「なあブライオス、お前はレオナルドといつ出会ったんだ?」


「7歳の時でごわす。拙者とレオナルド氏は騎士育成学校で出会ったでごわす。」


騎士育成学校なんてものがあるのか。


「ただ拙者には剣が向いておらず、騎士の才能がなかったでごわす。でもそんな拙者に唯一手を差し伸べてくれたのがレオナルド氏だったでごわす。」


なるほど。あいつ、やっぱりいい奴だな。


「それ以来毎晩剣を教えてくれたでごわす。それでなんとか及第点までは上り詰めたでごわす。結局異能に目覚めて日本の異能学園に来ることになったでごわすが、一緒に異能に目覚めれてよかったでごわす。」


「なるほど。まさに親友って奴なんだな。」


「そうでごわすね。レオナルド氏が居なかったら今の拙者はないでごわす。」


「なるほどな。俺にも葵が居なかったらきっと今の俺はないと思う。」


「水原氏と空色氏はどんな風に出会ったでごわすか?」


「俺は孤児院育ちでな。雨の日に外に買い物をしに出た時に俺は何かに惹かれるように知らない道に入って行ったんだ。そしたら狭い路地でうずくまってる小さい女の子を見つけてな。それが葵だったんだ。」


「運命ってやつでごわすな!」


「多分そんなところだと思う。俺は他の子供と全く波長が合わなくて孤立していたんだが、葵とはすんなり仲良くなれたんだ。」


「お互いがお互いに救われてるでごわすね。」


「ああ。確かに言われてみればそうだな。」


あの雨の日に手を差し伸べた俺も葵にとっては命の恩人なのかもしれないな。


「濱口氏とはどうやって出会ったでごわすか?」


「ああ。俺と葵が行ってる小学校に濱口が同級生で居てな。俺と葵と珍しく波長が合って仲良くなったんだ。俺たちが行ってた小学校はかなり厳しいところでな。俺たち同士で支えあってたからか濱口とはかなり仲良くなったんだ。」


「そうだったでごわすか。3人からは固い友情を感じるでごわす!」


まさに人生を共に歩んで来た仲間だからな。


そんなことをしばらく話していると、突然何かが揺れ動くような音がした。


「ん!?なんでごわすか!?」


「もしかしたらあのトンネルらしきところの扉が開いたのかもしれない!」


「トラックが来るでごわすか!!」


「ああ!きっとそうだ!!」


すると奥の方からエンジン音のようなものが聞こえて来た。


「あ!あれでごわすよ!」


ブライオスが指差す先には荷台の部分に深緑の上がアーチ状になっている布がかかっているトラックがあった。


そのトラックは何台もトンネルをくぐって来て、駐車場にはあっという間に7台のトラックが駐車していた。


そして校舎の裏、職員室の方に向かって中から出て来た従業員らしき人物が声を上げる。


「どうもー!食材を配達しに参りましたー!」


雰囲気的にはただの配送業者だな。どうやら食料の配達は普通の業者がやっているようだ。


「はーい!」


知らない女性の声が職員室から聞こえて来る。それからしばらくして。


「はい!毎度ご苦労様です!」


さっきまではなかった校舎裏のドアからさっきの女性が現れる。業者が来る時だけこの扉は現れるのか。


「えー、今回の発注の確認をお願いしますー。」


業者の人が1枚の紙を渡す。


「えーっと、はい!大丈夫です!」


女性が確認し、紙を返す。


「はーい、では詰め込み始めまーす。」


女性が現れたドアから次々に業者の人たちが食料を詰め込んでいく。


「あのドア、どこに繋がってるでごわすかね。」


ブライオスが小声で言う。


「あの辺りは確か掲示板があるだけの廊下だ。きっと食料貯蔵庫的な隠し部屋があの奥にあるんだろう。」


「そうだったでごわすか!確かにあの辺りには部屋への入り口が無かったでごわす!」


1台、2台とどんどんと大きなクーラーボックスのようなものに入った食料を詰め込み、30分ほどかけて最後まで食料を詰め込むと、先ほど女性と話していた業者の人が再び声を上げる。


「詰め込み終わりましたー!それでは印鑑の方をお願いしまーす!」


業者の人が女性に小さな紙を差し出し、女性はすぐにハンコを押す。


「ご利用ありがとうございましたー!次は日曜日午前10時でよろしいですねー?」


業者の男が言う。次は日曜なのか。それは好都合だな。来週の日曜にあれを利用して脱出してみるか。


「はい!いいですよー!」


女性が反応する。


そして業者の男は小走りでトラックへ戻って行った。そしてすぐにトラックが発進し、トンネルに消えて行った。


ゴゴゴゴゴッとトンネルが閉まる音がすると、気づくと女性と扉の姿は無かった。


「有力情報ゲットでごわすな!!」


ブライオスが嬉しそうに言う。


「ああ。ちょうど次くるのが日曜とはかなりラッキーだったな。」


「神は拙者達を応援してるでごわす!!」


あー。確かに神は応援してるって言ってたような気がしなくもないが。


「あ、ちなみに今は何限目くらいだ?」


ブライオスに問う。


「あー、ちょうど3限目がもうすぐ終わるところでごわすな!」


なるほど。流石にそろそろ戻るとするか。


「じゃ、戻るか!」


「そうでごわすな!」


「<飛翔(フライ)>」


俺は自らとブライオスを持ち上げ、屋上へ戻った。


「おう!!水原!!トラックは来たか??」


レオナルドが言う。


「ああ!あったぞ!!次は日曜の午前10時にくるそうだ!」


「まじか!!頑張って調べた甲斐があったぜ!!」


濱口が喜ぶ。


「先生は来なかったでごわすか?」


ブライオスが問う。


「ああ!来なかったぞ!」


レオナルドが答える。まあ普通に考えて来ないか。


「じゃ、戻るか!」


そして俺たちは屋上から出て、Sクラスの前の入り口から入った。どうやらちょうど3時間目と4時間目の間の休み時間のようだ。


「あ!!濱口君!!」


シリル先生が言う。


「おう!濱口!」


ガイザー先生も続く。


「あ、はい、ただいまです。」


濱口がえ?俺?というような表情で答える。


「大丈夫だったの?」


シリル先生が俺たちに言う。


「ええ。なんとか大丈夫でした。」


レオナルドが答える。


「良かったー!濱口君、放課後少しだけお話聞かせてもらってもいい?全然叱るとかそういうのじゃなくて、ただきになるだけよ。」


シリル先生が言う。


「え?俺ですか?まあいいですよ。」


濱口が答える。


「どういうことでごわすか?」


ブライオスが俺に聞いてくる。


「まあ後でレオナルドに聞いてくれ。」


俺はブライオスにそう言い、席に戻った。


「ねえ、大丈夫だったの?怒られなかった?」


葵が俺に聞いてくる。


「ああ。大丈夫だ。先生にはうまく言っておいたからな。」


葵に言う。


「へえ、そう。うまく言ったの。その話、放課後にじっくり聞かせてもらえるかしら?」


シャロルが言う。なんか心なしか怒ってないか?


「ああ、良いが…怒ってるのか?」


「いいえ、全然ハッピーよ?」


顔が笑ってないぞ。まあ放課後になってみれば分かるか。













放課後、なぜかシャロルにめっちゃ怒られました。

昨日投稿できなくてすみませんでした!!

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