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体力テスト-中編

「次は上体起こしだな!!」


レオナルドが言う。上体起こしか。これはまた葵が恐ろしい記録を出しそうだな。


「次は勝てるぞ!!」


濱口が言う。一体どこからその自信はくるのだろう。


俺たちは上体起こしを計測する装置の前に立つ。その装置はマットの上に黒い半球があるだけのものだった。


「これどうやって測るんだよ!!!」


レオナルドが言う。


「お、壁にやり方が書いてあるでごわすよ。」


ブライオスが壁に貼られているプラスチックの板を見る。そこには文字が書かれていた。


「計測方法…半球に足を入れ、数秒間静止すると足が固定されます。その状態で上体起こしをしてください。ってかいてあるわね。」


シャロルが文字を読み上げる。


「やってみるぜ!!」


レオナルドが半球に足を近づける。半球に足が触れると、するすると足を飲み込んでいった。


「不思議な感触だぜ!!」


そう言い、レオナルドがマットの上に横になる。


「おっ、足が固定されたぜ!!」


どうやら半球が硬化したようだ。


ー任意のタイミングで開始してくださいー


半球から声が響く。どうやらあれ自体が計測するようだ。


「<瞬雷(フラッシュサンダー)>!!!」


レオナルドが上体起こしを凄まじい速度で行う。何気にレオナルド、この技しか使ってない気がする。筋肉を強化できるしまあ便利といえば便利だが。


ー記録:74回ー


1秒に2.5回くらいのペースか。異常だな。


「次は俺だな!!」


濱口がレオナルドと同じように半球に足を突っ込む。


「うおおおおおおおおおっ!!!!!」


濱口が勢い良く上体起こしする。相変わらず異能は使わないようだ。


ー記録:67回ー


普通に測った記録としてはかなり凄いんだろうが凄く感じれないな。


「次は私ね!!」


シャロルが半球に足を入れる。まさか上体起こしでもあれをやる気か?


「<爆裂(エクスプロージョン)>!!!!!!!」


ドドドドドドドドドドドドドン!!!と打ち上げ花火のクライマックスのような音が鳴り響く。結局爆裂でゴリ押しなのかよ。


ー記録:96回ー


相変わらずゴリ押しで好成績なのが凄い。


「次は拙者でごわすな!」


ブライオスが半球に足を運ぶ。ブライオスならきっと安定して好成績だろう。


「<肉体強化(ボディパワーアップ)>!!」


「うおおおおおおおおおっ!!!」


巨体が凄まじい速度で揺れ動く。


ー記録:74回ー


なんか異能を使ってまでここまで速く上体起こしをしているところを見ると滑稽にすら思える。


「じゃあ次は俺だな。」


俺は半球に足を入れる。なんかスライムに足を突っ込んでいるような感触だな。


マットの上で横になると、足を包む感触が急に硬くなった。これでもう計測できるのだろう。


「<身体強化(アドバンスパワー)>」


「<時間加速(タイムアクセル)>」


「<空気抵抗耐性(エアロレジスタンス)>」


「<軽量化(ウエイトセーブ)>」


「<超速加速(グレートアクセル)>」


「<障壁(バリア)>」


「<反発(バウンド)>」


超低速の世界で超速加速を用いて起き上がり、ちょうど90°起き上がったところに<反射(リフレクト)>を込めた障壁を置き、上体を反射し、さらにマットと自らの間に起きる反発を極限まで上げることによって、力を抜いてても勝手に上体起こしができる装置が完成した。


…しかし周りは超低速の世界なのでなかなか計測が終わらない。よし。寝よう。





ピピピピッ


音が聞こえる。目覚ましか。それにしてももう朝が…あ、違った。体力テストの途中だった。今の音は記録計測完了の合図だな。


すぐに俺は異能を切る。


ー記録617812回ー


寝てたからわからなかったが凄い回数してたな。なんかズルした感がすごい。


「相変わらず記録がおかしいわね。」


「水原お前やばすぎだろ!!最下位の俺とは比べものにならねえぜ!!」


シャロルと濱口が言う。


「いや最下位じゃなくても比べものにならないだろ!!!」


レオナルドがツッコむ。濱口がしれっと最下位だと認めてることにもツッコんでほしかったかな。


「かいとくんのあとだとなんかやりずらいなー。」


葵が半球に足を入れる。どうせ20万程度の記録が出るんだろう。


「<瞬間移動(テレポート)>!!」


葵の上体が二つに見える。


ー記録:219611回ー


ほらな。相変わらず記録がぶっ飛んでいる。


「相変わらず御二方は半端ないでごわす。」


「もう今までの価値観が仕事しないわね。」


「私たちの異能は体力テストに向いてるからねー!」


葵が答える。体力テストに向いているというか普通に応用が効く強い異能なんだよな。


「じゃ、じゃあ次、持久走行こうぜ!!」


レオナルドが言う。次は持久走か。持久になる気がしないな。


俺たちは持久走の測定する場所へ向かった。そこには直線距離で奥まで1500メートルの空間があった。ちなみに男女関係なく1500メートル走るらしい。


「いや明らかにこれ敷地無視してるだろ!!!!!」


レオナルドが言う。模擬戦フィールドの方向へ伸びてるならありえなくはないが、おそらく神の力で空間が歪んだりしているんだろう。


「多分神のちからでどうにかなってるんだと思う。」


レオナルドに返す。


「まったく神って一体どんな存在なのかしら。一回あってみたいわ。」


「何言ってんだ!そんなんで会えたら苦労しねえよ!!」


濱口が返す。まあ確かにそんな簡単に神に会えたら神の見た目も広まって…


気がつくと目の前には白い空間が広がっていた。


「ふぉっふぉっふぉ!神じゃ!」


そこには神がいた。


「会えんのかーーーーーーい!!!!」


思わず神に向けてツッコんでしまった。


「ふぉっふぉっふぉ!いつも見ておるから会えるぞい!!」


いやまじか。こんな簡単に神に会えるのか。


「神様がそんな簡単に姿現していいんですか…」


「ふぉっふぉっふぉ!!多分大丈夫じゃ!!」


多分かよ…


「とりあえず今は帰りますね…」


「ふぉっふぉっふぉ!!いつでも会いにくるのじゃよ!!」


「あ、はい。」


神に言うと、もとの測定場に戻っていた。


「そうよね。そんな簡単に神に会えるわけないわよね。」


会えるんだなこれが。


「よし!!じゃあ走るか!!」


レオナルドが言う。これは何人かまとめて走ってもいいようだ。


「じゃあ同時に合図でスタートしようぜ!!」


レオナルドが言う。


「おう!!」


「わかったわ!」


「いいでごわすよ!」


「いいぞ。」


「いいよ!!」


みんなで返事する。


「せーのっ!!」


「ドン!!」


レオナルドが言った瞬間、横に並んでいる全員の左右に障壁ができる。


「<身体強化アドバンスパワー>」


「<時間加速タイムアクセル>」


「<跳躍ジャンプ>」


「<空気抵抗耐性エアロレジスタンス>」


「<空中跳躍スカイジャンプ>」


「<軽量化ウエイトセーブ>」


「<超速加速グレートアクセル>」


短距離走と同じように超速で移動する。するとすぐにゴールし、奥の壁にぶつかった。


ドゴオオオオン!!!!


「大丈夫!?かいとくん!!」


ゴールにいた葵が話しかけてくる。やはり瞬間移動でもうゴールしてたか。持久走でここまで持久しない奴は初めて見たな。いや俺が言えることではないか。


「ああ、なんとか大丈夫だ。」


「みんなはまだここに来てないね。」


そりゃそうだろ。俺たちは0秒で来たわけだからな。


「そうだな。ここで座って待つとするか。<空気椅子(エアチェアー)>!」


俺は正真正銘の空気でできた椅子、空気椅子を作り出し、そこに座る。


「空気椅子うまいね!!」


葵が言ってくる。


「いや、これ普通に空気でできた椅子だぞ。」


そう言い、椅子を手の甲で軽く叩き、コンコンという音をならす。


「ほんとだ!!すっごーい!」


「お前のぶんも隣に作ったぞ。」


「ほんと!?ありがとー!!」


葵は俺から3メートルくらい離れた位置に腰をかけようとする。


ズコン!!


葵は勢い良く尻餅をついた。


「あ、もっとこっち側だ。」


「えへへ、見えないから外しちゃったー。」


なぜそこに椅子があると確信したのだろうか。


「ん?ここか?ここか?」


そう言いながら葵は手を下に出し、だんだんとゆっくり近づいてくる。椅子は俺のを伸ばしただけだから俺の真横なんだがな。


「もっとこっちだ。」


俺は葵の腕を引き、真横にすわらせる。


「ひゃうん!あ、こんなに近かったんだ…」


「俺の椅子を伸ばしただけだからな。嫌だったか?」


「いや、全然嫌じゃないよ!!!本当に全然!!」


なんか否定が大袈裟だな。


「なんかこうして二人きりでいるのって久しぶりだね。」


葵が言う。


「確かにいつも濱口とかシャロルとかが近くにいるからな。」


「そうだね。シャロルちゃんとかがいつもいるもんね…」


葵がうつむき、数秒黙り込む。


「ん?どうした?」


葵に言うと、葵は顔を上げる。


「あのさ!!!」


葵が言う。


「ん?」


「その…かいとくんって…わt」


ドカアアアアアアアアアアン!!!!!


「あーっ、まあた首痛めそうだったわー!!」


シャロルが勢い良く到着する。どうやらまた爆裂してたようだ。


「さっきなんて言おうとしたんだ?」


葵に言う。


「いや!!なんでもないよ!!」


葵が言う。さっきは何を言おうとしてたのだろう。悩みでもあるのだろうか。


「貴方たち相変わらず速いのね…っていうかどうして空気椅子してるわけ?やけにうまいわね。」


シャロルが歩み寄ってくる。


「あ、これ本物の空気椅子だぞ。座るか?」


「本物…?空気椅子に本物とかあるの…?」


そう言い、近づいてくるシャロルの腕を引き、左隣に座らせる。


「ひょわっ!!な、何よ!!!!」


シャロルが急に顔を赤くして言う。


「何って座らせただけだが…」


「へ?あ、ああ!!本当に椅子になってたのね!!」


シャロルがうつむき、黙り込む。


「ん?どうした?」


「別にいきなり座らされて驚いだけよ!!べ、別に近いとかそういうのないから!!」


近い?何がだろう。


…沈黙が訪れた。


「ねえ、この空気椅子って今どんな形してるの?」


葵が聞いてくる。


最初は教室の椅子と同じ形だったが、今は長椅子だな。


「長椅子だぞ。」


「へえ!そうなんだ!」


再び沈黙が訪れる。


「つ、次は誰がくると思う?」


シャロルが言う。


「<望遠(ズーム)>!…えーっと、レオナルドだな。」


「へえ。」


また沈黙が訪れる。


「なんか話つなげなさいよ!!!!!!」


突然シャロルに怒られる。


「え!?あ、す、すみません!!」


一応謝っておく。話を繋げるとはどうすればいいのだろう。特に言いたいこともないな。


「なんか話題出しなさいよ!!」


いきなり言われてもな。


「今日はいい天気ですね…?」


「かいとくん、ここ室内だよ…」


葵に言われる。


「何考えてんの!!もうちょっとマシなのないの!?!?」


「こ、これはペンです。」


咄嗟に思い浮かんだ文がこれだった。


「かいとくん、ペンもってないよね…」


葵に言われる。


「英語で最初に習うやつ!!!ってかそんなん聞いてないわ!!どーでもいいわ!!」


「じゃあシャロル!!お前なんか話題出せ!!」


シャロルに振ってみる。


「へ!?えっっと、えーっと!!」


俺はシャロルの肩に手を回し、迫る。


「もちろん俺に振ったんだから言えるよな?」


「ひゃああっ!!近っ!じゃなくてっ!!えっと!!!」


シャロルの顔が赤くなる。おそらく話題が出てこなくて焦っているのだろう。


「ん?話題あるよな?」


さらに顔を近づける。


「ひゃああっ!!!つ、次は誰がくると思う?」


突然それか。


「いやさっき言ったぞ。」


「次は誰がくると思う?」


「だからさっき…」


「次は誰がくると思う?」


まずい。シャロルが壊れた。


「すまん、俺が悪かったから…」


「次は誰がくると思う?」


なんかもう怖い。


「だ、大丈夫か…?」


「次は誰がくると思う?」


あ、これはそっとしておいた方がいいやつだ。


「なあ葵。」


「ひゃっ!!何!?!?」


「お前…」


「私にも腕回すの!?」


「え、いやそんなつもりは…」


「回さないの…そう…」


なんか急に悲しそうな顔になった。なんだ?寒いのか?まあ回して欲しそうだし回してやるか。


「仕方ないな。ほら。」


「ひゃふん!!!!」


変な声が出たな。さすがにいきなり過ぎたか。


「別に幼馴染なんだし嫌じゃないよな?」


葵に言う。


「ぜ、全然………」


「ん?どうした?」


「ここは室内だよ!!」


!?


「大丈夫か?」


「ここは室内だよ!!」


あ、まずい壊れた。なぜだ。原因不明すぎる。


「あの…」


「ここは室内だよ!!」


完全に壊れてるな。


「だいじょ…」


「ここは室内だよ!!」


「だ…」


「ここは室内だよ!!」


声に反応するタイプなのか。


「おー」


「ここは室内だよ!!」


そのようだな。って違う!!葵まで壊れてしまったっ!!


「シャロル!葵も壊れ…」


「次は誰がくると思う?」


そうだった。まずいな。でも一体何故こうなった?この二人に共通していることはなんだ…?


はっ!!空気椅子か!!この空気椅子には不思議な力があるんだ…!!しばらくは人を座らせるのはやめておこう。


「おおおおっお前ら早いなーーーー!!」


レオナルドが到着した。


「よかった!!やっと来てくれたか…!!」


「ん?お前ら何してんだ?空気椅子か?」


「いや、空気で作った椅子なんだが…」


「俺にも座らせろよ!!」


「いや、危ないからやめておいた方がいいぞ。」


「ん?なんでだ?」


「ほら、これを見てみろ。」


俺は葵とシャロルを指差す。二人とも虚空を見つめてなにかをぶつぶつ言っている。


「なんだこれ!?!?水原お前二人になにかしたのか!?」


「いや…空気椅子に座ったらこうなったんだ…」


「お、おい、大丈夫か…」


「次は誰がくると思う?」


シャロルが目を合わせず言う。


「え、えっと多分ブライオスだと…」


「次は誰がくると思う?」


「ブライオス…」


「次は誰がくると思う?」


「おい水原、これ重症だぞ…」


「葵もこの調子なんだ。」


「その椅子に座るのは遠慮しておくぜ…」


「賢明だな。」


それにしてもこの二人、どうしたら治るのか。もう空気椅子から立たせるしかないか。


俺はシャロルを抱き上げ、空気椅子から立たせる。


「次は…誰が…ってへ!?!?」


「んぁ、目が覚めたか。」


「な、なんで抱きついてんのよおおおおおっ!!!!ばかあああ!!!」


なぜか思いっきり殴られた。痛いぞ。


「え、あ、す、すまなかった…」


「もう!」


シャロルがそっぽを向く。


でも目が覚めてよかったな。葵もやるか。


「ふんっ!」


俺は葵を抱き上げる。


「ひぇ?…ふぉぉああっっっ!?!?!?」


かなり変な声が出たな。


「な、なんで!?!?!?!?」


「あ、すまなかった。」


俺は目を覚ました葵から離れる。


「へ、なんで!?!?なんでなんで!?!?」


なんでしか言えてないが一応意識は戻ったようだ。


「あー、水原。」


レオナルドが言う。


「俺、二人がああなってた原因わかったかもしれねえ。」


原因…?


「空気椅子だろ?違うのか?」


「あ、ある意味そうだが…ああ、そうだ。空気椅子だ。」


やはり空気椅子だったか。空気椅子には変な力が込められているんだな。


すこししてブライオスが到着し、その後、濱口が到着した。


ー記録 空色葵:0分00秒ー


ー記録 水原凱斗:0分00秒ー


やっぱ葵と俺は0秒か。


ー記録 シャロル・セイクリッド:1分02秒ー


さすがに速いな。


ー記録 レオナルド・アレクサンド:2分12秒ー


本来だと異常なはずが遅く感じてしまう。


ー記録 ブライオス・アドルフ:3分05秒ー


うん。速いな。


ー記録 濱口俊:5分10秒ー


きっと異能なしだとかなり速いんだろうが、異能ありなせいで速さが感じられないな。


「また葵と記録同じだな。」


葵に言う。


「そ、そうだね!同じだね!!同じ…」


まだ少し空気椅子の呪いが残っているのか?


「つ、次いくわよ!水原!」


シャロルが言う。何故俺名指しなんだ。すこし様子が変そうだし、これも空気椅子の呪いか。


そして俺たちは次の種目へと向かった。

濡れ衣を着せられる空気椅子さん…

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