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百話会

叔母の華栄(はなえ)が帰り、私は仕方なしに倉へと足を運ぶことにした。


面倒だが仕方ない。


100話会は、毎年9月の恒例行事だ。去年欠席できたのが奇跡なのだから。


私は、障子戸を開いて部屋を出た。

「よう、トカゲ、お前見合いするんかよ。よかったな。」

改築40年の昭和感漂う廊下に出ると、人懐っこいお掃除ロボットが、犬のように、じゃれついて私に話しかける。

「私の名前は言影(ときかげ)だよ。百話会に出席を決めただけだよ。ランスロット、お見合いなんて誰もしないよ。」

私は、しゃがんで掃除ロボット、ランスロットに話しかける。

彼は、ブーイングの顔を表面の画面の部分に表示しながら、

「華栄ちゃんが、嬉しそうにお前のかーちゃんに、メールしていたぞ。(^_-)マークを入れながら。」

ランスロットは、淡々と私をからかった。


彼は、我が家に初めてやって来た掃除機の九十九(つくも)神で、現在はこの新しい掃除機に取り憑いている。おかげで喋れるようになり、暇があると話しかけてくる。インターネットにも接続してるので、最近では私より情報通だ。

現在の技術の進化は、妖怪にも少なからず恩恵をもらたしているのだ。

まあ、おかげで、私は、独り暮らしの怪しい男と噂されるわけだが。


私の父と母は、現在、仕事の都合で埼玉に転勤になった。長いオカルト人生を私にバトンタッチして、都会生活を楽しんでいるようだ。が、叔母とつるんで私の縁談を画策するのは、やめてほしい。


「…。ランスロット、他人(ひと)のメールを覗くのは、はしたないよ。もうしてはいけないよ。」

私は、ため息をついて注意したが、ランスロットは、気にする風もなかった。

「別にオレは気にしないぞ。アウトローだし、オレは、嵐を呼ぶ男だかなぁ。ヤッホーッ!!」

ランスロットは、フルパワーで廊下を駆け抜け、やがて、スピードをおとし、赤ランプに強制送還されるように、充電場所に帰っていった。


さて、始めるか…


私は、気が重くなりながら、裏庭にある土蔵を開くために鍵を取りに行く決意をした。


お見合いは、ともかくとして、百話会は真面目に考えなければいけない。


そもそも、私の一族は、もの神を信奉する、大きなくくりでの物部系列の血筋で、聖徳太子の時代から、少しづつ、歴史の裏舞台に…東北へと逃れてきた家系と聞いた。

時代によって、様々な神様や、一族と交わりながら現在に至るが、ここ数十年は、やはり、激動の時代で、世界の妖怪と交わったモノの中には、激しく破壊衝動にかられる忌み神になるケースが増えてきている。

彼岸に行われる百話会で実体化させ、悪鬼になる前に封じてしまわなければいけない。

そこで、20世紀型の新しい呪法がつくられたのだ。

それが百話封じで、日の道と地の道が交わる秋分点に、一話を一年として、100話はなすことで、強制的に神へと進化させて、妖怪化を防ぎ、封じる方法だ。


ああ、そんなに期待しても、激しいアクションも、可愛い美少女もこの会には出てこない。


はた目で見たら、怪しい雑貨屋の集まりで、おっさん達がモノ自慢をしているようにしか見えないからだ。


我々には、一族で担当があり、私は、本を担当している。


私は、倉の鍵を手にすると裏庭に向かった。


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