4話 マルルの成長と能力
窓から日差しが差し込む。朝か。
でも、いつも通り…ではない、初めての土地、初めての宿。
そして手元にはマルル。
「おはよう、マルル」
『おはよう』
マルルも返事をしてくれ…え?今返事したよね?
『うん』
「マルルだよな?」
『うん』
頭の中に話しかけてくるが、昨日はこんなこと無かったはずだ。
「しゃべれたの?」
『べんきょう、した』
「どうやって?」
『じょうほうきょうゆう』
たしかに便利だからとスキルを使ったままだった。だが、そんな簡単に覚えられるのか?スライムなのに…。
『がんばった』
がんばったの一言で済ませられないだろう…そもそも寝てたのかな?
『すらいむ、ねない」
スライムは寝ないらしい、しかも考えてること全部読んで勝手に返事してくる…。
『ごめんなさい』
「いいよ、マルルになら心読まれても大丈夫」
『わかった、もっとべんきょうする』
さて、まさかのマルルがしゃべれるように、正確には念話が出来るようになっていた。
予定通り今日も狩りに行く前にマルルにも確認しよう。
「今日も狩りに行くけどいいよな?」
『うん』
マルルの同意も得たし、早速狩りに行こう。
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また森にやってきた。前と違うのは食堂のお弁当を持ってることと、マルルが居ることだろうか。
「よし、レッツゴー!」
『おー』
そんな掛け声で森へ入ると、赤いスライムが居た。
「マルルどうする? 同じ種族だろ?」
『なかまにして』
「わかった、やってみる」
お弁当を取り出し、パンのかけらを投げる。それを食べたのを確認し、
「テイム!」
無事仲間になったようだ。
「仲間になったぞー」
そういうとマルルが赤いスライムに向かっていき、上に乗っかった。そして突然2匹はドロンと溶け、混ざり合って紫の大きいスライムになった。
「マ、マルル大丈夫か?」
『がったいした』
まさかの合体してしまったらしい。そういえばそんなスキルもってたな。でも何で今まで使わなかったのだろう。
『つかいかたわからなかった』
「じゃあ情報共有で使い方知ったの?」
『うん』
色が変わってしまったのは少し残念だが、マルルが強くなれるならどんどん合体してもらおう。そんなこと考えていると、マルルが青に戻った。
「色変えられるのか?」
『そとにあおをだした』
どうやら赤い部分を内側に、青い部分を外側に出したらしい。それが出来るなら好きに合体してもらおう。まあ、少し大きくなるのは許容範囲内だ。
『あっちにすらいむいる』
「じゃあ仲間を増やしに行こう!」
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スライムを仲間にし続けること数時間。時にはゴブリンに襲われ、時にはスライムに逃げられ、数十匹のスライムを仲間にして合体した結果。
デカイ
いくらなんでもデカイ。たしかにスライム30匹は合体したけど、ここまででかくなるとは思わなかった。当の本人は
『なんかどんどん力が沸いてくる!』
だそうです、たしかにゴブリンを捕まえるどころか圧殺できるようになってるけどね。しかもなぜか言葉が流暢になってることを聞くと
『大きくなったら頭も良くなった』
と、本人はいいことばっかりらしいが、僕からすればこんな大きいスライムは街に連れて行けない。
「なあ、さすがに大きすぎない?」
『でも、強くなってるよ!』
「そんなに大きいと一緒に寝られないよ」
急に固まったマルル、ショックだったのだろう。街に入ることも難しいなんて言わないで置こう。
「分裂とかできないの?」
『合体はくっつくだけで離れることは出来ないの』
そうなるとどうしようもないな…。
「一回試してくれない? 他に手が思いつかないんだ」
そう言うとマルルは震えだし、どんどん震えて…
ッポン!
2つに分かれた。
「おお! できたじゃないか!」
『できた! これで一緒に寝られる!』
そう言って、いつものサイズの青いスライムが巨大スライムから出てきた。嬉しそうに跳ね回るので抱っこしてあげた。
「あっちのデッカイスライムはどうなってるの?」
『あれも全部マルルだよ。 思ったと通りに動かせるよ』
そう言って巨大スライム改め巨大マルルがジャンプした。ドスンドスンと地響きがする。
「わかったからストップ!」
すると巨大マルルが動きを止めた。でも問題は解決してない。こんな巨大なスライムが発見されたら、たとえそれが森でも大騒ぎになる。
「そのでっかいマルルも普通の大きさにできないか?」
『わかった』
突然ドロンと溶け、それが徐々にスライムの形になっていく。そして32匹のマルルとなった。
「じゃあ、本体だけ一緒に帰ろうか。 あとは森で好きにしてて」
『本体は無い。 全部マルル』
「じゃあコアは?」
『合体で1個になったけど、分かれたときにまたコアがいっぱいになった』
今、まさかの事実が判明した。マルルは32匹のマルルすべてを倒さないと倒すことは出来ない。この子すごいんですけど。
「じゃあ宿に帰ろうか、後ギルドで確認したいこともあるし」
青いマルル1匹を連れて街へ戻る。
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冒険者ギルドでまずはゴブリンの耳の精算だ。マルルが瞬殺したおかげでかなりの数を狩ることが出来た。
「すみません、ゴブリンの耳持ってきたんですけど」
「はい、すぐに精算しますね」
耳が入った袋を渡すと、それをもって奥へと行った。そしてしばらくすると戻ってきた。
「ゴブリン51匹で銀貨2枚銅貨4枚です」
「ありがとうございます」
お金を受け取り、懐へしまう。さて、もう1つの用事をすませよう
「あの、鑑定石ってお借りできますか?」
「はい、貴重な物なので今使うだけならば貸せますが、長期間の貸し出しは行っておりません」
「今マルルのステータスを確認したいだけなのですぐ終わります」
「わかりました、複写用紙も要りますか?」
「複写用紙ってなんですか?」
「鑑定石を上に載せると鑑定結果を映してくれます。 1枚で大銅貨2枚です」
そんな便利な紙があったのか。それも貰おう。
「はい、お願いします」
お金を渡して紙を買い、鑑定石を借りる。そして紙をテーブルの上に置き、その上に鑑定石を置く。
「マルル、鑑定石に触ってみて」
『わかった』
マルルが触ると情報が表示された。
種族名:スライム
名前:マルル
スキル
<合体><分裂><変形><変質>
<意思伝達><情報共有><距離拡張>
<剣術><槍術><斧術><盾術><弓術><双剣術>
<火魔法><水魔法><風魔法><土魔法><光魔法><治癒魔法>
<身体能力強化><魔力強化>
まさかとは思っていたが、ほんとにスキルが増えていた。
マルルはもともとスキルを持っていた。なら他のスライムもスキルがあるかもしれない。それが合体でマルルのものになるかもしれない。まさかマルルの合体がこんなにもすごいスキルだなんて知らなかった。もし、野生のスライムが合体を使ったら大変なことになるが、そんなことは起こらない。なぜならスキルが使えないから。それを僕が知識を与えてしまった。そして危険なスライムが生まれた。でも、それでもマルルは僕の仲間だ。
だから信じる。




