13話 フェアリーと試験の説明
「ご主人様、おきて!」
マルルの声で目が覚める。
「どうした?」
「西のマルルが妖精の洞窟に着いた」
明日の朝に着くって言ってたが、まだ日も昇ってないじゃないか。ちょっと早すぎる…。まあ、とりあえずフェアリースライムを仲間にしよう。
「マルル、フェアリースライムは見えるか?」
「うん! いっぱい居る」
そう言って、情報共有で妖精の滝の景色を見せてくれる。
「たしかにいっぱい居るな。 飛んでるやつは置いといて、まずは止まってるやつに餌あげようか」
約1時間後、100匹のフェアリースライムを合体した。
「じゃあ、マルルは今居るスライムで北都に向かってくれ。 ライトニングスライムを見つけたら教えてほしい」
「でも、もう食べ物ないよ」
そうだった、なにか与えなければ仲間にはならない。いつも僕が用意していたパンを与えていたが、もしかしたらマルルが用意した物でも大丈夫なのだろうか?
「マルル、ちょっとなんか魔物狩ってきてくれないか? マルルが用意した餌でも仲間にできるか試したいんだ」
「わかった、やってみる」
そしてマルルがなにか狩ってきた。3メートルはある黒い物体。
「それはなんだ?」
「熊っぽいなんか」
確かに”なんか”と言ったけど、それワイルドベアだぞ。普通は銀級の上級者や金級が倒すような魔物だ。
「まあ、マルルなら倒せるよな…。 それ解体してその辺のスライムにあげてみてくれ」
「わかった」
そしてマルルが狩った熊肉を食べたのを確認して、遠隔テイムを発動する。
「テイム!」
結果…見事仲間になった。
「成功したみたいだな。 じゃあ今の熊を200個に切り分けて、200匹で持ってくれ」
「うん」
そして、200匹のマルルは北都へと旅立った。
「じゃあ、これから試験の準備をしよう。 もう視界切っていいぞ」
「はーい」
今回の装備はマルルの変身で作る。
いろいろ調整しながら15分後。
「できたー」
『できたー』
今マルルはスライムに戻っている。剣と鎧を作り、メタルスライムが足りないのだ。それに試験に参加できるのはテイムモンスター、人間の姿のマルルが出るのはまずい。
今回の装備は剣は普通、鎧は軽めに作ってある。鎧が軽いのは、マルルにメタルスライムを多めに残すためだ。
「そろそろギルドにソフィスが来てるかもしれないし、行ってみようか」
と言ってギルドに向かう。
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「ランネル君!」
やはりソフィスはすでに来ていた。すると、ソフィスがスライム状態のマルルをジーーっと見ている。
「ソフィスおはよう。 どうかした?」
「抱っこしていい?」
「いいけど、意外と重いぞ」
今のマルルは、剣と鎧の分が抜けたとはいえ10歳の子供と同じ重さだ。30キロくらいあると思う。
「大丈夫! 抱っこさせて!」
「わかったよ」
マルルをソフィスに渡すと、重そうに抱っこしながらマルルに顔をうずめたり、もみもみしたり遊んでる。
「そんなことより、今日は僕の試験なんだけど…」
「忘れてないけど、試験までまだ時間あるでしょ?」
「わからない。 今日としか聞いてないから」
「それなら聞いてきたら?」
ということで、いつもの受付のお姉さんに聞いてみることにした。
「試験は今日ならいつでも受けられます。 今受けますか?」
と言われた。
「どうする? 僕はいつでもいいけど」
「だったら早く受けちゃいなよ。 終わったらマルルちゃんから魔法教わりたいし」
で、受けることにした。
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試験会場に連れてこられ、しばらく待ってるとムキムキのおっさんがやってきた。
「来たな。 俺はガルド。 ギルドマスターをやってる。 君がランネルだな。 今回は俺が試験官だ」
「よろしくおねがいしましゅ!」
噛んでしまった。大物の登場にびびって噛んでしまった。それをソフィスが横でクスクス笑ってる…恥ずかしい。
「そっちは確かソフィスと言ったな。 いいスキルだったからスカウトしたかったが、兵士どもが先に手を付けてたからな。 どちらかが先にスカウトを始めたら横槍は出さないのが暗黙の了解だ。 兵士になるのやめて、冒険者になるならいつでも歓迎だぞ」
「は、はい! ありがちょうございます!」
ソフィスも噛んだ。ソフィスを横目で見ると…めちゃくちゃ睨んできた。
「それじゃあ、今から試験のルールを説明する」
「はい!」
「まず、合否は魔物を倒せたかどうかではなく、戦いを見て俺が判断する。 制限時間は1時間。 武器魔法スキルなんでもありだ。 ここの壁は防御結界が貼ってあるから大抵の攻撃では傷すらつかない。 全力で暴れていいぞ。 あと、聞いてるとは思うが貸し出し武器は使えない。 これは銅級になれば貸し出しがなくなるからだ。 と言うことで武器は返してもらうぞ」
ギルド貸し出しの武器を返却する
「特に大きな損傷もないな。 たまに手入れせずにボロボロで返してくるやつが居るからな。 お前はちゃんと手入れしているっぽいな」
「はい」
本当はいつもマルルばっかり戦って、剣を使ってないだけなんだけどな。
「それじゃあ、試験を始める。 こっちに来い」
そう言って所定の位置に着くと…ギルドマスターと対峙している格好になる。
「安心しろ。 俺が相手するわけじゃない。 <土巨人創造>」
そう言うと、地面の土が突然浮き上がり、約4メートルほどのゴーレムの形になる。
ゴーレムは基本的に自然発生はせずに、人や高位魔物が創造することによって生まれる。ゴーレムはテイムが出来ない。理由は魔物であるが生物ではないからだ。スケルトンは死んでいるが、魂が死体に無理矢理宿ったため、生物として扱われる。しかしゴーレムは、魔力で動いてるだけの物質。意思も無く、知恵もなく、魂も無い。ちなみにスライムと同じで体のどこかにあるコアを破壊しなければ倒せない。
そんなゴーレムが今回の相手のようだ。
僕とマルルはゴーレムと対峙する。
「それでは試験開始」
2話に、冒険者ギルドの説明と、スライムとゴブリンの戦闘の説明を追加しました。
それと、場面の切り替わりに、記号をつける事にしました。
これからも、いただいた意見は可能な限り反映していきたいと思います。