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11話 再会と魔道書

「ランネル君!」


後ろから声をかけられ振り返ると、そこにはソフィスが居た。


「ソフィスなにしてるんだ?」

「訓練が休みだから買い物してるの」


するとソフィスがマルルを見たあと、こちらを睨んでくる。


「その子だれ?」


すると、マルルが答える。


「マルルだよ! よろしくね!」


ソフィスがまたこちらを睨んで言ってくる。


「私が居ない間にいちゃいちゃしてたんだ」

「そんなことないよ。 だってマルルは…」


スライムだと言いそうになり踏みとどまる。


「だってなんなのよ」


どうしよう、マルルがスライムだなんて言って信じてもらえない。それにしゃべれる人型スライムなんて見つかったら大騒ぎだ。


「マルルはスライムだよ」


マルルが自分から言ってしまった…。


「なに言ってるのよ。 どう見ても人間じゃない」

「マルルは変形で…」

『マルルストップ!』


とりあえず念話でマルルを止める。


「変形でなに?」


ここまで言ってしまったらもう誤魔化せない。


「ちょっとこっち来て」


路地裏に2人を連れて行く。


「マルル、スライムに戻って」

「うん」


マルルがドロンと溶け、スライムの形に戻る。


「ちょっとなんなのこれ!」

「大丈夫、落ち着いて」


とりあえずマルルの事を説明する。そして…


「かわいい~」


ソフィスはスライムマルルの虜になった。


「とにかくマルルの事は秘密にしてね。 こんなスライムが居るなんてばれたら大変だから」

「わかったわ」


ソフィスへの説明も終わったし、買い物に戻ろう。


「書店に行くけどソフィアも来る?」

「行く! どうせ行くところなかったし」


そして3人で書店に向かうことになった。




~*~*~*~*~*~*~*~*~*~




「そういえばイリトはどうしてるんだ?」

「騎士団の人にお願いして自主練してる」


騎士団と言えば兵士の中でトップクラスの精鋭のみが集まる、国軍とは別の王都直轄のエリート兵士だ。なんでそんな人が練習相手をしてくれてるのだろう。


「なんで騎士団の人と練習してるの?」

「あ、言ってなかった? 私たち騎士団候補生だよ」


まさかの事実だった。幼馴染の友達がエリート部隊の候補生になってたなんて…。


「まあ、候補生ってだけだから騎士団に入れるかわからないし、やりたくなければ辞退もできるよ。 それよりランネル君は冒険者どうなの?」

「明日、銅級昇格試験なんだ。 今日はそのための買い物でもあるんだよ」

「私、明日も訓練ないから試験見に行っていい?」

「まあ、いいよ」


正直ソフィスに見られるのは少し恥ずかしいが、来たいと言うなら断る理由は無い。

するとソフィスがいろいろ聞いてくる。

「試験ってどんな試験なの? マルルちゃんは一緒に戦うの?」

「魔物と戦うらしい。 マルルも一緒に戦うよ。 小さい敵とかを覆って動き止めたりできるんだ」

「魔物ってどんな魔物?」

「それはまだ教えてもらってないんだ」

「制限時間とかあるの?」

「それも教えてもらってない」

「なんも教えてもらって無いじゃん」


たしかにそうだ。試験は当日発表が多い。


「じゃあ対策とか立てれないね」

「対策?」

「魔物ごとに弱点調べて、対策立てるのは基本でしょ?」


さすが騎士団候補生だ。正直そんなこと考えたことも無かった。


「対策ってどんなことするの?」

「ウルフ系は素早いから短剣とか普通の剣をメインに戦うの。 弓や大剣は当たらないからあまり持って行かない。 ゴーレム系は一撃は重いけど、動きが遅いから、避けやすい様に鎧は軽い物を着けていくほうがいい。 耐えられるなら重くてもいいけど、普通は当たらないように避けるのが一般的。 あと、ゴーレムは硬い魔物だから、普通の剣がおすすめ。 大剣でもいいけど、動きが遅くなっちゃうから、普通の剣が良い。 それからオーガみたいな大きくて早い魔物は剣との相性が悪いから、魔法で倒した方がいいよ。 魔法が使えない場合は盾を用意して攻撃を受け止めてから反撃した方が良いよ。 それから…」

「わかったからストップ! あとは本買って自分で調べるよ」


ソフィスは一回熱くなると、話しが止まらないことがよくある。


しばらくの間、久しぶりのソフィスと話していると、本屋が見えてきた。するとソフィアが


「ところでどんな本買うの?」

「まず動物の骨格が載ってる本がほしいんだ」

「へー、骨なんかに興味あったっけ?」

「僕じゃなくてマルル用なんだ」

「マルルちゃん骨好きなの? スライムは骨無いから骨にあこがれたりするのかな?」


するとマルルが答える。


「骨は好き。 骨があると動きやすい」

「マルルちゃんには骨あるの?」

「メタルスライムを骨にしてる」

「スライムってなんでもありね」


その後、書店に入り、本を探してるとソフィスが魔道書の前で止まった。


「光魔法の本が売ってるじゃない! 店員さん呼んできて!」


ソフィスが鼻息を荒くして頼んできた。店員さんを呼んでくると早速解説を求めた。


「こちらは中級光魔法の魔道書となります。 光の攻撃魔法や防御魔法、付属魔法など様々な魔法が載っています。 光魔法の使い手は少ないので生産が難しく、かなり珍しい物となっております。 こちら金貨120枚となります」


ソフィスが値段を聞いて固まってる。精々数十枚と思ってたんだろう。


「安くなりませんか?」

「申し訳ありませんが、それはできません。 ただ、ここで読むのは構いませんので、どうしてもと言う場合こちらで読んでください。 しかし、買い手が現れた場合はそちらを優先させていただきます」


ソフィアはどうしてもこの本が欲しいようだ。騎士団候補生なら魔道書読み放題な気もするが…。


「ソフィス、騎士団の魔道書読ませてもらえないのか?」

「もらえるけど、光の魔道書が初級までしかないの。 光の魔道書はほとんど売ってることすらない貴重品なの。 だから売ってても高いとは思ったけど、120枚もするなんて思わなかった」

「そんなに高いならもっと魔道書作れば良いのにな」

「ランネル君、もしかして魔道書の作り方しらないの?」


正直僕はそんなに魔法に詳しくない。だから、魔道書の作り方なんて全然知らない。


「魔道書の作り方って特別なのか?」

「そうよ。 呪文はその魔法が使える人にしか理解できないのは知ってるよね?」

「それは知ってる」


魔法の呪文は魔法スキル、しかも同じ属性のスキルをもってる人にしか理解できない。だから魔法を覚えるには、同じ魔法が使える人に教わるか、魔道書を読むしかない。


「魔道書も同じなの。 そのスキルをもってる人しか書けない。 しかも魔法で複写しようとしても、魔法と呪文が干渉し合ってうまくいかない。 だから魔道師が手書きで書くしかないの。 その中でも光魔法が使える魔道師は少ないから、光魔法の魔道書はすごい貴重なの」

「光魔法の使い手ってそんなに少ないのか?」

「光と闇はすごい珍しいって言ってた。 なんでも、普通は15歳のスキルで選べないんだって」 


15歳になるとスキルを1つ選べるが、その中には選ぶことが出来ないスキルがある。選べないスキルは10歳のスキルでも、もらえる確立が低い。その代わり基本的に強力なスキルが多く、ランダムで当たった場合かなり優遇される。

ちなみに、普通は選べないが、絶対選べないわけではない。なんらかの条件を満たすことで、時々選べたという報告がある。


「とにかく! こんな珍しい本逃すわけには行かないの!」


そう言ってソフィスは魔道書を読み始めた。すると、マルルが横から魔道書を覗き込んだ。


「マルルちゃん、光魔法が使えないと読んでも分からないよ」

「分かるから大丈夫。 早くめくって」

「え? マルルちゃん光魔法使えるの!?」

「うん、使える」


2人が読み始めたので、僕は1人で本を探しに行く。

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