1話 まずはスキルをもらおう
初投稿です。
これからよろしくお願いします。
1~2日で1回のペースでの投稿を目標にしてます。
スライム。
それは最弱の魔物。
知性も無く、ただ生物に張り付き、栄養を吸い取って生きるだけの魔物。
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僕はランネル。
普通の小さな村で生まれ、普通の少年として育った。普通の10歳の男の子。
そして、明日は半成人の儀の日だ。
10歳になると教会で成人の儀を行う。と言っても本当の成人は15歳で、成人の儀は2回ある。1回は半成人と呼ばれ、教会で祝福をしてもらえ、何かスキルをランダムで3つもらえる。さらに半成人の儀が終わると、大人とまでは呼ばれないが、子ども扱いはされなくなる。さらに冒険者ギルドで依頼を受けれるようになる。2回目は本成人の儀と呼ばる。こちらが本当の成人だ。本成人の儀でもう1つ追加でスキルが選べる。半成人か本成人で家を出るのが通例で、本成人をしても家を出ないとかなり見下される。
そして僕は明日家を出る…つもりだ。
明日の儀式でもらえるスキル次第と言ったほうが良いだろう。戦闘や魔法のスキルであれば見習い兵士として、生産のスキルであればどこかの工房でやはり見習いとして雇ってもらえる。だが、それらの有用なスキルが無かった場合、冒険者ギルドで依頼を受けて食いつなぐか、家に残って15歳でスキルを選ぶしかない。
僕は明日を楽しみにして眠りに着いた。
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「王都に行くんでしょ! 早く起きなさい! 馬車が来ちゃうわよ!」
お母さんもうちょっと寝かせて…
ああ、そうか…今日は王都に…!!!
やばい!遅れる!
急いで支度し、朝食のパンだけ取り、家を出る。
「おーい! やっと来たか!」
友達のイリトとソフィスが待っていた。イリトはいつも3人で遊ぶときのリーダー的立場の男の子で、ソフィスはいつも2人の後ろからついてきてる女の子だ
「ごめん、緊張であまり寝れなくて」
「やっぱりか、俺は緊張してないけどな」
すると、ソフィスが笑って耳打ちしてくれる。
「さっきまで、緊張で朝まで寝れなかったって言ってたのよ」
そんなことを言ってると馬車がやってきて、御者が話しかけてきた。
「お前たちも王都エルダで儀式か?」
「「「はい」」」
「1人銀貨1枚だ」
銀貨を渡し、馬車に乗ると同い年であろう子が多くいる。みんな半成人の儀なのだろう。
「乗る人は他にいないな? 出発するぞ」
そう言って馬車は王都へ向かって出発した。
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王都に着くと、そこは大きな町だった。ザ・都会だ。さすがエルダ王国の王都だ。
御者が門番と話すと、門番の兵士がこちらへやってきた。
「王都エルダへようこそ。 半成人の儀の希望者はついて来い。 俺が案内する」
兵士がそう言うとみんな馬車から降りていくので僕たちもついていく。すると兵士が話し出した。
「半成人の儀はお前たちにとって人生を決める儀式であると同時に、俺たち兵士や職人、ギルドも逸材を手に入れるチャンスだと張り切ってる。 だからちょっと声掛けられたからってすぐに仕事を決めるなよ。 俺は兵士だからお前らが兵士になってくれると助かるけどな!」
そう言って兵士は笑っている。
しばらくして教会に到着すると多くの子供たちが列を成している。すると兵士の人が
「みんな列の後ろに並べ! じゃーお前らに良いスキルが来る事を願ってるぜ」
そう言って兵士は行ってしまった。するとイリトが
「なあ、俺らどんなスキルもらえるんだろうな。 俺は戦えるスキルなら何でも良いけどな」
「私は魔法が使いたい! できれば癒しの魔法や光の魔法が良い! ランネル君はどんなのが良い?」
ソフィスが聞いてくる。僕はどんなスキルがほしいのだろう。あまり真剣に考えたことがなかった。たしかに魔法は使いたいし、戦えるスキルもほしい。だが、僕はのんびり暮らしたい。
「僕はみんなで仲良くできるならそれでいいかな」
「えー、なにそれ? ランネルは兵士になりたくないの?」
「僕は戦いは好きじゃないからね。 できるなら平和に暮らしたい」
それを聞いていたイリトが話に入ってくる。
「魔物が居るのに平和なんてあるわけ無いだろ。 俺は平和のために魔物を倒す。 そのために兵士になる」
確かにその通りだ。魔物が居たら平和にはならない。そうだ、やっぱり僕も力がほしい、戦える力が。
「やっぱり僕も強くなりたい。 そして平和にしたい」
すると2人がジーーっと見てくる。
「どうした?」
「いや、お前らしいなと思って」
「うん、ランネル君らしい」
「お前らなんだよそれ」
そう言って3人で笑いあった。
そんなことを話していると、順番がやってきた。
儀式の部屋に入ると、中に女神が両手を上へ掲げた像がある。その像の手には水晶が握られている。
事前に教わった通り、像の前にひざまづく。
「女神様。新たなる成人に近付く者へ力をお与えください」
司祭様がそう唱えると…何か変わったのか?
「これで終わりです。 隣の部屋で鑑定してもらってください」
本当に終わりのようだ。隣の部屋で能力を鑑定してくれるらしい。
隣の部屋へ行くと、司祭1人と鑑定石が置いてある。
「では、スキル鑑定石に手を置いてください」
司祭の言う通りに手を置くと情報が表示された。
ランネル
スキル
<テイム>
<情報共有>
<距離拡張>
…最悪だ。微妙なスキルばっかり。
一番ましなのが<情報共有>。これは教師には便利といわれるスキルだ。知識をお互いに交換できる。だが、情報量が少ない上、至近距離じゃないと使えない。
次に<距離拡張>。これはスキルや魔法の有効範囲を拡張する。魔法使いにはすごい有効なスキルだ。相手の攻撃が届かないところから一方的に撃てる。だが、もちろん弱点もある。距離を伸ばすとその分必要魔力が何倍にもなる。そもそも僕は魔法が使えないけどね。
そして<テイム>。魔物を仲間にするスキルだ。これだけ言えばすごいスキルに聞こえるが、実際はかなり微妙だ。仲間にするのが大変なのだ。相手を怒らせず、嫌われず、味方と思われたまま圧倒的な力を見せ付ける必要がある。たとえば襲われているところを助ける、決闘のような形で格の違いを見せ付けるなど。そんなこと簡単にできるわけ無い。そもそもそれができるのは自分より圧倒的によわい魔物だ。仲間にしても意味がない。
それか、もう1つ方法がある。知性の無い魔物だ。
たとえばスライムやスケルトン。スライムは適当に食べ物や栄養になるものさえ与えれば仲間になる。だがスケルトンは生者を憎むため、仲間にするのは難しい。
つまり、雑魚しか仲間にできないのだ。
そしてそんなハズレスキル3連発な僕は…
「あ、あの、これは間違えたりは無いんですか?」
鑑定石を疑っていた。
いや、疑いたかった。
「残念ですが、鑑定石が間違っていたことはございません」
残酷な現実であった。
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