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「俺も一般高校生してた、元日本人…だ」


 ぅよっしゃぁ!!


 …って、ん??

 お、俺?


「…ちょ、ちょっと待って…お、俺って…」


 え、嘘でしょ?やめて、可愛いエルを壊さないで…


「ああ、もともと一人称は俺だから、人前以外だと、こっちの口調に」


「いやーーーー!!!」


 ヤダヤダヤダ!

 エルの一人称は僕。あざと可愛い天使の男の子なのに!!


「なんで!?エルの姿で俺って言うのやめてくれる!?エルは僕っ子なの!人前だとその口調になるんだったら今はならないで!!私がいるから!!」


 ゼーハーゼーハーと、エルに向かって叫ぶ。


 エルは呆然としながら、目をパチクリさせ、やがて口を開いた。


「いや、気が抜けてつい…ってかそんな怒ることでもねーだろ」


「はい、ダウト!怒るところでもないでしょ?だ!リピートアフターミー!」


「…なんで言わなきゃいけな」

「リピート!!」


「…怒るところじゃないでしょ」


 まぁ若干棒読みだけとエルの可愛さに免じてOK!


 とりあえず、

「可愛い!」

 満面の笑みで私はそう言った。


 エルはというと、呆れた表情で私を見ていた。


 …ん?あれ?そういえば…


「…そういえば、前世も男なんですか?」


 ふと、私は疑問に思ったことを口にした。


「ん?ああ、そうだけど」


 ……へぇ。


「私BのLには耐性がある方なので、どうぞ思う存分」


「違うわ!」


「エルはそんな顔でそんな言葉言わない!」


「お前のそのエルラブなところがこえーわ!」


「それ以上その口調で喋り続けるなら、男好きって言いふらしてやるから!」


「だからちげー……違うよー」


 ギロリと睨むと、エルはニコッと笑いながら、そう言い直した。


 うむ、よし。


「俺……僕の姉貴……姉さんがゲーム会社に勤めてて、それで試験みたいな感じで半ば強引にやらされたんだ、よー」


 …ちょっと崩れてるけどまぁエルらしくはギリギリなってるかな…って


「え!?ゲーム会社!?」


 ウソ!!


「ってことは…あの、大手の有名会社…?」


 私でも1度は入社したいと夢見たあの会社に…


「あね…姉さんも乙女ゲームが好きだったから楽しんで作ってたよ。…まさかそのゲームに転生するとは思わなかったけど…」


 渋い顔でエルはそう言う。


「へぇ…じゃあ、この世界の事は詳しいの?」


「いや、別に…?そんなやってたわけじゃないし……てか、一応聞くけど、俺…てか僕っていうかエルのこと好きなの……?」


 ふっふっふっ……


「愚問ですね!!エルの事は、日本、いや世界一……宇宙一好きですとも!!愛しているといっても過言ではない!!ですが、誤解しないでいただきたい!私はあなたが好きですが、あなたが好きではありません!…つまり、エルは好きだけど、あなたという人格が好きではありません!というか、私の前でキャラを壊さないでくださいまし!!」


 はぁはぁ……


「お前……キャラ壊れてきてるぞ」


「ほっといてくださいまし!!」


「いや、言葉遣い直せよ」


「あなたが直してくださいます!?」


 キッと睨んでそう言えば、エルの可愛らしい笑顔を私に向けてきた。


 こ、これは、


「かわいすぎる…!!」


「お前…チョロいな」


「うるさい、言葉を直せ!!」


 半ば暴言を吐く私に、エルのキャラを壊して、呆れ顔をしている彼。


 なんだろう、カオスだ。



「……ってそうじゃなくて、俺、エルのキャラしかしたことないけど……あいつ怖すぎだろ」


 ……まったく……


「わかってないなぁ……エルの表情ちゃんと見てますか?その目は飾りですか?あの、笑顔が愛らしいエルの顔がヤンデレ時、歪んだ美しい笑顔になるんですよ?ああ全く、エルを最初にプレイしたことを誇りに思って!エルに転生できたことに感謝して!」


 ビシッと指をさし、私は言った。


「お前…いや、もういいわ……ってか今何時だ?」


「違う!!今って何時かな?、だ!」


「イマッテナンジカナ」


「私もわからないけど…」


 多少棒読みなところをスルーし、私はそう言って…気づいた。



「入学式は?」


「……」


 ちょい待てちょい待て…え、本気で今何時だ?入学式は?会場は?


「…あっ、思い出した!俺…ってお前今睨むな!急いでんだぞ!!とりあえず、この学院の地図を姉貴に見せてもらったことがある……ってだから睨むな!行くぞ!」


 と、私の腕を引くエル。


「っわ、」


 急に引かれたため、よろけてしまうが、何とか持ち直す。…そんな事もおかまいなしにぐいぐいエルは腕を引いているけど。


 と、ぐるぐる色んなところを進んでいくと、大きな体育館のようなところの前に来た。


「おお!着いた!」


 へぇー、すっごいでかいなぁ!!

 画面越しで見るよりはるかに大きい。まぁ、当然だけど。


 私の感動もおかまいなしにエルは入り口までどんどん突き進む。


 入り口には、先生がいた。


「おはようございます。新入生ですね。名前をお伺いしてもよろしいですか?」


 手には名簿のようなものが握られており、新入生に確認しているようだった。


「エル・カトリーヌです」


 パッと私の腕を掴んでいた手を離し、笑顔でそう言うエル。


 こ、これは猫をかぶってたのか…!!


「私はマリーナ・アディソンです」


 とりあえず、私も笑顔でそう言う。


「カトリーヌ君とアディソンさんですね…はい、オッケーです。どうぞお入りください。席は右から順につめてお入りください。クラスは式の終了後、発表されます」


 私は、ぎこちなく頷き、エルは笑顔ではい、と答えていた。


 そうして、私達は体育館(?)の中へ入っていった。


 体育館だと思っていたここは、ホールだそうだ。体育館と言ったらエルに失笑され、嘲笑いながら教えてくれた。


 結構よかっ……いや、はい。


 

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