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ここにいないってことはどこかに行ってるんだよね……。
私を置いたまんまにしてたらここにいない!って顔をさせてやる!!!
……。
「どんな顔だよっ」
……勝手にボケて勝手にツッコむ私、かなりイタイ子……。
いや、だって、暇っていうか、監禁する方が悪くないっ!?
うん、そうだよ、絶対そう!!
全く!!! 心が折れて自殺してないだけマシだと思って欲しいところだね!!
……うん、本当に私イタイ子だ。
「やめだやめ。次行こ、次のステップに移ろう。next step!」
無駄にいい発音で英語を言い、次に何をするか考える。
まぁ、この部屋から出ることを考えるか……。
まぁ出たらココドコ? 状態にならなきゃいいんだけど……。
「さて……。魔法が使えないなら物理的にぶっ壊した方がいいよね……。なんか使えそうなの部屋に置いてたかな……」
そう1人で呟きながら、物を入れた押入れを漁りながら探すが、なかなか……というか物がない。
「基本買うより本当だったからなぁ……全部借りるし」
どーしよっかなぁ……。
「魔法使えるのに出れないってどんな鬼畜ゲーだっつーの……!!」
もう無理ゲーじゃね? 無理ゲーな気しかしないんだけど。
……脱出したい。
……エルは、大丈夫だろうか。というか今何時だろうか。あれから何時間たったんだろう……。
「なんかレンガとか木の棒とかさぁ……あ、これ……」
ボフンッとベッドでゴロゴロしながら嘆いていると、見えたのは、机の前にある椅子。
まぁ、別に? レンガとかの狂気じゃなくていいんじゃね? みたいな?
「椅子ぶつければいけるんじゃね?」
まあ強化しまくって風でぶち当てれば穴ぐらい開くでしょ、多分。一応物理攻撃だし。
「よしよし。強化強化〜っと。もっと強化しとくか〜」
早速私は椅子に強化魔法をかけまくり、もうそれは鋼を超えるのではないかというほどの強度にしていく。
「そんでー、1番被害が出ても良さそうな場所はー……ここら辺窓だったせいであんま物置いてないか。ここでいいや。よし、浮遊」
私はそう言い、椅子を持ち上がらせる。
「ふぅ……よし、行きます。詠唱は……ビーストッ!!」
そう言って思い切り椅子を壁に打ち付けた。
「……」
結果は、まぁ、ヒビは入った。が、ヒビが入った瞬間そのヒビはみるみるうちに修復し、元の壁に戻ってしまった。
「……え?」
んー……っと。
「え?」
修復魔法が、かかってるってこと? しかも自動の? ……え?
「いや、かなりヤバくね? 自動修復魔法って……ヤバくね?」
もはやチートじゃん。え、無理じゃん。
自動ってことは、魔法を持続的に使ってるってことだよね……あ、違うや、精霊か。
あ、もしかして、この壁……
「精霊がいる……?」
もしかして魔法を跳ね返したり、壁を修復したりって、精霊がやってる、ってことかな……?
精霊万能だな……。
「ってか、それってかなーり、私に不利じゃない? いや、不利だ」
本当に無理ゲーなんですけどぉ……。
どうしようか……。いや、どうしようってか打つ手がないよな……。
……精霊ってなにが苦手かな……。
苦手なものぶつけたら簡単に壊れそうだなぁでもそんなのないんだろうなぁ。
私は半ば諦めモードで遠い目を見ながらそんなことを心の内で考えるのだった。




