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「ふわぁ……」


 大きなあくびを人目もはばからず大胆にしている私。誰もいないから何してもありなのだ!!


 ……まぁとりあえず、現在の時刻は午前4時。図書館への集合時刻は午前8時なので、まだまだ十分余裕はある。というかありすぎるぐらいだ。


 いつもギリギリまで起きなさそうな私が……いや、まぁ起きないけど起きなさそうなってなんかやだな……まぁいいや。とりあえず起きない私がこんなに早く起きて、あくびをしてるのは、訳があった。……あくびは関係ないけど。


 昨日、エルがカトレアさんと喧嘩をしてしまったせいで、エルがとても怒っているため、図書館に一緒に行かない可能性もあるので私が出動することになったわけだ。


 っていうか、図書館に忍び込んでた本が日本語だったって言ってないな……。完全に忘れてた。


「さぁて、まずはエルの部屋から探そ」


「おはようございます」


「うわぁ!!」


 ブラブラと歩きながら独り言を呟いていると突然そう言われ、飛び跳ねて驚く私。


 バッと振り返ると、そこにはルイさんが。


 え? ……え? なんでいるの? 朝めっちゃ早いよ?


「えっと……お、おはようございます。あ、あの……こんな時間に起きてるんですか?」


 恐る恐る尋ねると、当たり前のように、


「基本的に寝ません」


 と言った。


 わ、ワンモアプリーズ?


「冗談ですよね……?」


「まさか。寝てるという状態でも半分は覚醒している状態ですし、それ以前に主人に仕える仕事に休みはありません」


 ……。


 この世界はどうなってるんだ!! まさか日本でもそうだったとかないよね? てかまずそんなお金持ち滅多にいないか……え、他の国は執事を眠らせないとかあったのかな……なにそれ怖い……。


「や、やっぱり休んだ方がいいんじゃないですか?」


 私はそう提案するが、ルイさんは了承しない。


「でも倒れたら危険ですし……ね?」


「お断りします。私を気遣ってのことだというのはとても感謝していますが、マリーナ様中心に考えればそれは危険なことです」


「いや、でも他の人もいますし、大丈夫ですから」


「お断りします。それよりも何か理由があって早起きしたのでは? こんなところで時間を取られてよろしいのですか?」


 ああ! そうだ! でもルイさんのことをうやむやにするわけには……


「そういえばあちらにいらっしゃるのはエル様では?」


「えっ!?」


 ふとした様子でそう言ったルイさんに、大げさに驚いた私。


 指さされた方向を見ると、確かにそこにはエルの姿があった。


 すぐにあそこに行かねば!!


「すみません、私エル様のところへ行ってきます!」


 そう言って、走ってエルがいる中庭へ走っていった。


 ……もうこの時にはルイさんの寝てない問題は私の頭の中から吹き飛んでしまっていた。


ーーーーーーーーーー


「エル!」


 私は中庭に行き、エルを見つけると、大声でそう叫ぶ。やべ、近所迷惑だ……てか様付けしてないのに叫んじゃった。


 私の声にビクリと驚いたようにエルはこちらを振り向く。


「なっ、マリーナ!?」


 目を見開いて、そう言ったエルに怒りの様子は見受けられない。


 これは図書館に何事もなかったかのように行けるパターンか……?


「こんな早い時間なのに起きてるとは思わなかったよ」


 てかもし寝てたら私探せなかったな……気づかなかった。


「それはこっちのセリフだよ。こんな時間になにしてるの?」


 首を傾げながらそう聞くエルに、思わず、「お前を探してたんだよ!」と言いかけるが、そういえばルイさんが見つけただけであってまだ探してなかったなと思いとどまる。


「まぁ……散歩的な? エルは?」


 そう聞くと、「あー」と曖昧に濁す。


「……散歩的な?」


「絶対嘘だろ」


「なんでだよ」


 私の真似したようにしか見えないからだよ!


「……まぁいいや。それより今日、一緒に図書館に行くよね?」


 私は聞こうと思っていたことをエルに尋ねた。


「え、あー……いや、今日はちょっとやめておこうかな。ごめんね」


「どうして?」


 断るエルに即座にそう聞く私。


「そういう気分じゃないから」


 すぐにそう返したエルに、あのことを話した。


「私が読んだ本なんだけど、あれ、日本語で書かれてたんだよね」


 淡々とそう言った私に、目を見開き固まる。


「……は? 日本語? マジで?」


「マジで」


「え、じゃあ他にも転生者がいるってこと?」


「その可能性は大いにあるね」


 そう言うと、顎に手をあて、考え込むエル。よしよしこのまま図書館に行く方向で……


「これは図書館で確認しないと! ……ねぇ? それに私だけじゃなく、エルもその本を見つけたら、本を見る条件が転生者っていう可能性を確実に出来るし」


 そう言うと、葛藤しているのか、ゔーと唸った声をだし、悩むエル。


「……行く」


「よしっ!」


 渋々といった風ではあったが、了承してくれた。


「じゃあ、集合は8時、場所は学校前だから! よろしく! そんじゃっ!」


 私はそう言い、「えっ!?」と混乱しているエルを残して、走り去っていった。


 よーし、次は……!


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