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「いやぁ、緊張したねー」


 あっはっはと笑いながらそう言ったのはカトレアさん。


 いやいやめっちゃ白々しく言ってたじゃないですか。


 先生が部屋から出て言ったあと、私たちはその部屋でおしゃべりを始める。というかカトレアさんが始めた。


「闇魔法の保持者の追跡は先生たちに任せようか」


 そう言ったエルにカトレアさんははい? とありえないという顔をする。


 ……ん?


「なに言ってるの? 探しましょうよ!」


 ……ん?


「はぁ!?どれほど危険だと思ってるの!? 相手は体の自由だって奪えるんだよ!?」


 信じられない! とエルはカトレアさんに大声で言う。


「すみませんカトレアさん。これについてはエルと同意見です。犯人を捜すのは流石に無謀かと……」


 神妙な面持ちでそう賛同するアルナルド。


「えー。だって許せないじゃない」


 ぶーたれるカトレアさんに、エルが厳しく言う。


「許せないからって危険を冒したらなんの意味もないでしょ。昔から思ってたけど無謀すぎるんだよ!! ちょっとは周りも考えろ!!」


 そう怒るエルにカトレアさんの顔は怒りに染まる。


「な……考えてるわよ!! 自分こそなに!? 分かったような口聞いてんじゃないわよ!」


「はぁ!? どこが分かったような口聞いてるんだよ!! 意味わかんねー!!」


「ちょっ、カトレアさん、エル様落ち着いて」


 私はヒートアップする2人をたしなめるが、聞く気を持とうとしない。


 エル!! 口調が戻ってる!! 戻ってるから!!


「そうやって人巻き込んで何人が迷惑してたと思う!? ちょっとは相手の気持ちも考えろって言ってんだよ!!」


「考えてるけど!? そっちこそその文句ばっか言う性格で何人の人が悲しんでると思ってんの!? 私のことばっか貶さないでよ!!」


「んだと!?」


「なによ!?」


 2人は睨み合った後、エルがフンとイラつきながら部屋を出て行った。


「あちゃー……」


 エルが行った方を眺めてそう呟くアルナルド。


「……カトレアさん、少し言い過ぎですよ。お互い様ですけど」


 私はカトレアさんにそう言う。カトレアさんはバツが悪そうに、


「……そうね」


と呟くように言った。


「ちゃんと仲直りしてくださいね?」


 私が笑って言うと、


「あっちが謝ったらね」


と返す。


 ……え、いや、ん?


「え、自分から行かないんですか?」


「私悪くないもの」


 お、おおう……これは……うん、どうしようか。


「えー……っと、お互い様ですよね?」


「でも先に言ったのはあっちよ」


 ツンとそう言い張るカトレアさんにこれは長引くな、と確信する。


「カトレアさんの方が年上なんだし謝った方がいいんじゃないんですか?」


 そう言ったのは一緒にいた女の子。


 いや待って、普通ならそうかもしれないけど今は逆効果……


「どうして私が謝らないといけないの? 年上だからってなに? いっつもいっつもそればっか!」


 そう憤慨し、カトレアさんは一瞬辛そうな顔をして、そのままなにも言わずに出て行った。


「……は?」


 その光景をみた女の子は心底意味がわからないと言う顔をする。


「地雷を踏んじゃったみたいだね」


 そう言ったアルナルドは苦笑したままだ。


「カトレアさんはお姉ちゃんだからいつも年下に譲れ、とか理不尽に怒られることがよくあったんだと思います。だから年上だから、とかそう言われるとついついなんで! ってなるんでしょうね」


 私もお姉ちゃんだったからわかる。妹が悪いのにお姉ちゃんっていう地位のせいで私だけがよく怒られていた。

 カトレアさんも、特に弟との喧嘩だったからそれを思い出したんだろう。


「うーん、これは長引きそうだね」


 そう言うアルナルドに、


「そうでしょうね」


と私は返した。


 早めに仲直りして欲しいんだけどなぁ、なんて心の中で呟きながら。

遅くなってしまい申し訳ありません!!

日中から夜まで予定があったため投稿が遅れてしまいました!

無事投稿できて幸いです!

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