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「起立。……礼。……着席。では、2時間目の講演を始めます」


 司会者が再び出てきてそう言ったのち、カトレアさんが陰から出てくる。


「では、2時間目の講義をはじめます。まぁ2時間目も魔法学の授業なのであまり変わりばえしないんですけどね」


 なんて苦笑しながら、みんなを見渡す。と、そこでカトレアさんと目が合う。

 ニヤリと笑うカトレアさんに私は顔を青くする。

 なんだろう……とっても嫌な予感がする!!


「さきほどの授業でも魔法のイメージによって魔法は変えれる、という話をしましたが、実は詠唱も変えれるんですよ。たとえば……ほいっ!」


 カトレアさんはそう言って、自分の真上に水球を発動させる。


「……とまぁこんな風に出来ちゃうわけです。詠唱するときに大事なのが、先ほど言ったイメージです。つまりイメージさえあれば詠唱はなんでもいいって感じですね。ただ、詠唱の言葉を呟くのではなく、魔力を乗せる、ということをしなければならないんですが……まぁこの説明はまた授業で習うと思うので楽しみにしててくださいね」


 ニコッと笑ってそう言ったカトレアさんは、上の水球を手を払うようにして、蒸散させる。


「じゃあ実践してみましょうか。でもさすがにここで一気にするのは危険なので、私が選出したいと思います」


 わぁ、とっても笑顔でそんなことを言われても嫌な予感しかしないなぁ。


「えーっと、じゃあそこの子と」


 そう言ってカトレアさんはまず、Aクラスの女の子を指差す。


「それと、そこの子と」


 そう言ってAクラスの男の子……ってアルナルド!?え、カトレアさん!?それ絶対私情入ってません!?


「そして、そこの子」


 そう言って最後に差したのは、Bクラスの女子。

 こころなしか私に向いてるような気がするが、気がするだけなので、知らんぷりだ。さて、誰を差してるんだろうな〜


「あれ? もしもーし? そこのあなたー?」


 そう、たとえこちらに向いて呼ばれていたとしてもこれは私の隣の可能性もあり、断じて私ではないのだ!!


「あれー?聞こえてないのかなぁ……?……マリーナちゃあああん!!!」


 ギャアアアア!!!

 名前呼ばれたーーー!!


「え、マリーナ……?」


「あの庶民(・・)の……?」


 ワー、ミンナワタシナコトシッテルンダー。


 ……。


 まさかそんなざわつくほど私って有名だったとは……まぁ庶民がBクラスとかなかなかないしね……。


 だから私いじめられてたんだしね。


「もー、マリーナちゃん早くっ!」


 指名された人は壇上に上がっている中、私だけが上がってない状態。


 あー、もう!


 私はあれくるう心の中とは裏腹に無表情で壇上に上がる。


 カトレアさんは私がきたことに満足したのか満面の笑みを浮かべている。


「はい! ではこの3人に魔法の実演をしてもらいたいと思います! あ、防御膜張っとかないと。……よーし! じゃあやりましょっか!」


 いやいやなんでそんなテンション高いの……?


「じゃああなたから! 発動するのは水球、形、大きさは自由です! 水球であればなんでもどうぞって感じかな? それではどうぞ」


 そう促され、緊張気味に一歩前に出るのは1番最初に指名された、Aクラスの女の子。


「で、では……水球」


 そう女の子は言って、出てきたのは、普通の水球。

 形、大きさ、その他諸々が本当に先生に教えられる普通の水球と同じだ。


「あー、イメージが足りなかったんですね。そうだなぁ……それがだんだん膨らんでいくのを想像できますか? あ、その水球でやってください。風船みたいにだんだん膨らんでいくんです。……そうそう!」


 カトレアさんのアドバイスで、普通の水球は、だんだん大きくなっていく。


「おおー……」


 他の生徒しかり、私も感嘆の声を思わず出してしまう。


 っていうかめっちゃ難しいじゃん、Bクラスの庶民にそんなのできるわけないじゃん!


「はーいじゃあ後はそれが爆発する感じで」


 カトレアさんのその声で、水球は豪快にボォン! と爆発する。


「はい、ありがとうございました! 拍手!」


 カトレアさんのその言葉に皆大きく拍手する。


 後ろにいた私とアルナルドも一緒に拍手をした。


「さて、次どーぞ!」


 女の子を下がらせて、アルナルドにそう言うカトレアさん。

 わぁ、すっごい笑顔。嬉しいんだろうなぁ……。


「よろしくお願いします」


 アルナルドは丁寧にそう言って、手を前にかざす。


「……水球」


 アルナルドがそう呟くと、前には大きな水球が出来た。


 おおー!すげー!!


「すげー」


「さすがアルナルド様」


 と、水球の下にいる生徒も絶賛している。


「……分散!」


 そう言うと、水球は、パァン!と弾けるように分散した。


「ふぅ……これ結構な魔力量使いますね……根こそぎ取られていく感じがします」


 アルナルドはそう言いながら苦笑する。


「最初は皆そんなもんですよ、さすがですね、アルナルド様。むしろ一発で決めちゃって驚いてるくらいですよ」


 ニコニコと笑ってそう言うカトレアさんの目はもう恋をしているかのよう……いや、カトレアさん? あなた婚約者いるから恋愛になんて発展しませんよね? ……ね?


 不安が残るものの、次は私の番なので、心してかからなければ……うん、失敗したくない。というかアルナルドの次はすごいプレッシャーが……。


「ありがとうございます」


「いえいえ、こちらこそありがとうございました! では最後お願いします!」


 アルナルドは1、2歩下がって、カトレアさんが私を前へ促す。


 うーーー、緊張する……。


「頑張ってね、マリーナちゃん」


 カトレアさんに小声でそう言われ、私はカトレアさんを見て、力強く頷く。


 よし、頑張るぞ!

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