表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/94

34

「ま、まぁそれは置いておいて。さっきマリーナが言った条件をつける理由が気になりますね。誰かに見せたかったからなのか、逆に誰かに見せたくなかったかなのか……マリーナにあってアルナルド様にないものといえば……なんでしょうね? 決定的に違うものといえば、性別、階級、魔力量とか……」


 エルがそう考え耽る。


 私とアルナルドが違うものって、多分ありすぎると思うんだけど……っていうかむしろ私がなくてアルナルドがあるものの方が多いよ……。


 私があるものって……うん、ダメだ、思いつかない。


 私が持っているものが少なすぎて……!!


 いや、でも1つくらい……1つくらい私しか持ってないものとか……私しかなってないものとか……


 ……


 ……あ……


 さっき考えていたのにどうして忘れてしまっていたんだろう。もしかしたらもしかしなくても、条件って、


「「転生者?」」


 私とエルの小さな呟きはハモってその音は聞き取れるただの音となって、周りの人の耳に入る。


「? 転生者、とは?」


 首を傾げながらそう問うのはエディだ。


 マズった。いや、まだ大丈夫。弁解は出来る。聞き取れたとしても「転生者」なんて意味がわからないんだから。


「ああ、天性のセンスを持ったりしたすごい人なのかなぁ、なんて。まぁそうするとマリーナはすごい人になっちゃうんですけどね」


 あははーと笑いながら言うエル。

 ナイスアシスト!!


「あはは、私も想像してみたんですけど絶対ないですねー、ありえなさすぎて笑っちゃいます」


 私は笑ってそう言った。あれ、なんか悲しい。


「……いや、一理あるかもしれないぞ」


「え?」


 レインの言葉にみんながレインの方を向く。


「マリーナは貴族階級に入ってないにもかかわらずBクラスというレベルの高いクラスに入る事ができた。それは、学園内ではトップクラスで噂になるほどのすごい事だ。それをきっかけにまだまだ眠っている才能が開花するんじゃないか……? ……なんて、ただの推測ですけどね」


 レインはみんなに見られていることに気づき、我に返って敬語に戻す。


 みんなはレインの言ったことを真剣に考えているようだ。


 ……いや、確かに魔封じをしたときに魔法のデータもわかるからそれと入学前の簡易筆記テストを兼ねてクラスは振り分けられるみたいだけど、私の場合、魔法より筆記テストがいい点だったからだよ? きっと。


 前世での学力はこれでもいい方だったからね、それが今役に立ってるだけなんだよ……?


 だからみんなそれが正しいかもなんて顔しないで……!?


「確かに、可能性はあるかもしれないな」


 いや、エディ、早まらないで!!


「うん、そういうのマリーナありそうだよね〜」


 そんなニコニコした顔で褒められても嬉しくないよ……いやちょっと嬉しいけど違う! ないから!!


「まぁ、可能性としてはあるかもしれないですね」


 いやいやエル君!? 君には否定してほしかったんだけど!?


 なんてこったい……みんな私天才説だと思い始めるの……。


「でも、そんなの魔法でわかりますかね?」


 どう否定するか考えようとしたとき、隣からそんな声が聞こえた。

 言わずもがな、エルである。


 お、おお、肯定派にいくと思ったら否定派にきてくれるんだね……!!


 私は嬉しいよ……!!


「だって、それって秘められた才能で開花するかもわからない、曖昧なものですよ? 条件にしたって無理があると思います」


「わ、私もそう思います」


 思わずエルの言葉に同調する。


「うーん、確かに……」


 アルナルドはそう言ってまた考え込む。


「……あー!! もう全然分かんない!!」


 やがて、子供っぽくブンブンと頭を振って、アルナルドは声を上げた。


「なんだ、もうギブアップか?」


 エディはふっと笑ってアルナルドにそう言う。


「ギブアップってなにさー……」


 ぶーたれたように返すアルナルド。


 ……はっきり言っていいっすか?


 めっちゃいいっす……!!


 ヤバイヤバイ、エディアルなんて考えたことなかったけどこれはこれでめっちゃイイ……!!


 新しいバラの扉を開きそうだよ……!!


 私が静かに悶えていると、エルから声がかかった。


「……マリーナ?」


 ニッコリと笑ってわたしの名を呼ぶエルは、テレパシーが使えないので顔で『なに考えてんだ? ああ?』と言っている。


 わ、私の心の中を見たのか……!?


「はい、なんですか?」


 私もニコッと笑ってそうたずねる。

 余計なことなんて考えてませんよ、と言うように。


「いいや? なんだか考え込んでいるから心配になって」


 エルはさっきの表情を崩さず、淡々とそう言う。


 おおう、怖い……。


「お待たせしました」


 そんな時、静かな声とともに料理が届いたことを告げる天の声が……。


 え?


「なっ!姉さ……カトレアさん!?」


「な、なんでここに……」


 さっきの表情を崩し、とても驚いた顔をしているエル。

 私も思わず呟いてしまう。


 言わずもがな、そこにいたのはウェイトレス姿のカトレアさんだった。


 ……なんか驚きの登場する人だな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ