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「あ、やぁ、マリーナ。こっちだよ」
食堂に着くと、先に来ていたアルナルドに声をかけられる。
「アルナルド様!まだ早い時間なのにいらっしゃったんですね、遅くなってしまって申し訳ありません」
私も少し話してたとはいえ早く来たつもりだったんだけど、アルナルド早いなぁ……。
「いやいや、マリーナも早いからね。僕はもう用事がなくて暇だったから先に食堂に行っておこうと思って。エディももうすぐ……あ、きた」
と、私の後ろを指差しそう言う。振り返ればそこにはエディとエル。
「エディッタ様、エル様、ご一緒だったんですね」
私は、ニコッと笑ってそう言う。
「ああ、ちょうど入口で会ってね」
エディが返事をしてくれる。
「はい、エディッタ様と早く来たという話をしていたのにそれよりも早い人たちがいるとは思いませんでした、すみません、遅くなって」
エルは苦笑して、そう告げる。
「いやいや、僕はただ暇だから早く来ただけだよ。マリーナも今さっき来たしね」
「はい、そうなんです。あ、座りましょうか」
私はそう言って、エディとエルを椅子へと促した。
「あとはレインだけかぁ。予定の時刻よりバリバリ早いからまだかかるかな?」
「あ、レインは先生に呼び出されたみたいなのでまだかかるかと……」
アルナルドの呟きに、エルが返答する。
「レイン様、何かあったんですか?」
呼び出しって説教とか……?
「学級委員にならないかと誘われていただけだ」
と、後ろから返事が返ってくる。
この声は、
「レイン様!」
グッドタイミングだなぁ……。
「遅くなってすみません」
私達にそう言って頭を下げるレイン。
「いやいや普通に時間通りだから大丈夫だよ。僕らが早かっただけだから。それに先生に呼ばれてたんだったら遅くなっても全然大丈夫だよ」
ニコッとアルナルドはレインにそうフォローする。
「とりあえず、座ったらどうだ?」
そしてエディがレインに座るよう促す。
「失礼します」
レインはそう言って椅子へと座った。
え、かたっ!!
めっちゃ固くね? 面接場かよ!!
「うーん、すごい固いなぁ……まぁいいか、どうする?もう頼もうか。図書館についても、話したいし、ね」
「そうですね」
エルがそう返事をし、私たちは頷きあう。
そう、図書館の本について話すんだった。
……あ。
エルにその本が日本語で書かれてるって言うの忘れてた……。
アルナルドにバレるからテレパシーは使えないし……まぁいっか。あとでそれとなく伝えよう。
そして、みんなが注文し終わった頃、アルナルドが話を切り出した。
「さて、図書館の件なんだけど」
真剣な顔でみんなを見るアルナルド。
「ちょっと見に行ったんだけどね、全部探したんだけど無くって」
アルナルドでも見つけられなかったってこと……?それともなにか複雑な魔法が……ってえ!?
「見に行った!?見に行ったって図書館にわざわざ行ったんですか!?」
私は目を見開き声を上げてそう言う。
そんなに近い距離でも無かったはずなんですけど!?
「うん、どんな感じか見た方がいいと思って。まぁ見た結果何も無かったんだけど……魔法行使についても調べたけど全然ないし、見れる人に条件があったりするのかな?」
すごい行動力だなぁ……。
魔法行使の痕跡も出なかったって、どんなすごい魔法使いが……?
……条件って、まさかだけど……
転生者とかじゃないよね……?
というか誰が転生者とか分からないだろうし、そんなはずないだろうけど……でもまさかそうだったらどうしてそういう条件で、どういう魔法なんだろう……。
「もし条件があるならマリーナはその条件に合ってるってことですよね」
ポツリとそう呟くレイン。エルは「条件……」と条件について考えているようだ。
「もし、女のみ、という条件なら俺たちはきっと見れないな」
エディはお手上げ、というように浅くため息を吐いた。
「そうですね……でもそれほどの魔法を使うのであればそんな単純ではないと思います。条件をつける理由が分かればいいのですが……」
と私が言うと、みんなが微妙な顔をした。
ん? なに??
「マリーナが言った単純というのは条件の事だけであって決してエディッタ様の事ではないですよ」
私が首をかしげるとエルがとっさにそう言った。
……あ、
「そうです、決してエディッタ様の事を言ったのではなく、条件が女のみと言う事が単純っていうだけなので!!」
そう言うと、エディは曖昧な顔をし、アルナルドは笑いをこらえた顔をし、レインは苦笑していた。
エディを単純って言ったんじゃないんだよ、決して。
4月に入り、高校生になりました!
更新頻度を週1から週2に変更するかはまだ検討中ですが、高校生になっても安定して更新できればいいなと思います!




