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「いぇーい!どんどんぱふぱふ!」
私もそれに続いて拍手と共にそう言う。エルの方を見て、同じようにと促した。
「…イェーイ。ドンドンパフパフー」
むー、棒読みだけどまぁいいや。
「あ、転生者会議って言ったけど、ルカは転生者じゃないからちょっと違うかな?……まぁいっか」
まぁ1人くらい転生者じゃなくても大丈夫で……
「え!?ドルソン先生は転生者じゃないんですか!?」
ずっと転生者だと思ってたんだけど!?
ってかえ!?じゃあ事情知ってるただの、一般人ってこと!?
「あれ、言い忘れてたっけ?」
「聞いてませんよ!?」
まぁ私もさっき転生者ってサラッと言ったからどっちもどっちかもしれないけど……!!
「え、じゃあ先生転生者じゃないのに普通に聞いてたんですか?」
エルがドルソン先生に驚いたようにそう尋ねる。
「まぁ、昔にもう聞いていたからな。……まぁ他にいたとは思わなかったが」
ドルソン先生は私とエルを交互に見て言った。
昔にってことは、カトレアさんに知り合った時に教えてもらってたってことか。
「……というか、この男の名前はエル・カトリーヌ……だよな?たしかカトレアの話だと攻略対象とやらだったはずだが……」
ジーッとエルを見ながら呟くようにそう言う。
「同じ転生者らしいわよ?あ、一応聞いておくけど日本で生きてた時の性別は?」
思い出したようにエルに笑顔で尋ねるカトレアさん。心なしかニヤニヤも混ざっているような気がする。
「……男ですけど、別に男が好きでやってたわけじゃないですよ?っていうか」
と、エルが話している最中に、カトレアさんの叫び声が聞こえる。
「きゃー!!BLだわー!!どうしましょうどうしましょう、私今なら3冊は薄い本を書けるかもしれないわ!!ご飯5杯はいけるわ!!」
そう言うカトレアさんはまさにオタクというに相応しい姿だった。
「いや、ちょ」
「うふふふふ、ネタはどうしようかしらやっぱり先生と生徒かしらねうふふふふどうしましょう、ドキドキ胸が高鳴るわ!!」
……。
「カトレアさーん、その気持ち私すっごいわかっちゃうんですけど、とりあえずエルの話も聞いてあげましょう」
私はカトレアさんに向かってそう言う。エルの顔がもう泣きそうになってるよ。ちょっと可哀想すぎる。
「ああ、ごめんなさい。ついつい昔の性でね。まぁ私の認識は変わらないと思うけど続けて?」
「いや、変えてください!?……僕はまぁたしかに乙ゲーはしてましたけどそれは姉の影響っていうか……それに怖すぎてエルのルートしかしてませんし」
泣きそうになりながらも、きちんとそう言う。
「あら、お姉さんが乙ゲーしてたのね」
「いや、してたっていうか制作関係者で、僕はやらされてました」
「え?」
エルの言葉に驚いて固まるカトレアさん。
……ん?どうしたんだろう?
「……ワー、キグウダナー、ワタシモコノゲームのセイサクカンケイシャナンダヨー。キャーオードーローキー」
うわぁぁ、すっごい棒読みだぁ!もう驚くほどの棒読みだぁ!!
「あ、あの、カトレアさん?大丈夫ですか?なんかいろんな意味で大丈夫ですか?」
私はギクシャクしているカトレアさんを何の症状かと思いながら尋ねる。
「エー?ヤーダーナー。マジダイジョウブ」
見えねぇよ!
「……あの、制作関係者ってことは、姉の知り合いなんですかね?」
まぁそう思うのは普通だろうけど、カトレアさんの動揺具合をみるとそれだけじゃなさそうで……
「カトレアさんがエルの前世のお姉さんだったり」
ドゴガシャ!
「えええ!?大丈夫ですか、カトレアさん!?」
私が言っている最中に、大きな音と共に、フラリと後ろに倒れこむカトレアさん。大きな音は、後ろにあった教材やら道具やらが倒れた音のようだ。
「お、おいカトレア……?」
ドルソン先生も心配そうにカトレアさんを見て、助けるために手を伸ばす。
カトレアさんもその手を取って、フラフラしながらも立つ。
「……あの、えっと……いや、まさかそんなわけないですよね?」
もしそうだったらすごい確率だよね?
「……姉は製作のシナリオを担当してたそうです」
ガラガシャ!
「えええ!?またですか!?また倒れこむんですか!?」
ちょっとちょっとカトレアさん!?
「……私も、シナリオ担当で……弟がいて……弟はエルルートをやって二度と乙ゲーを見なかったわ……」
ポツリポツリとそう言うカトレアさん。
チラリとエルを見ると、驚いた顔で固まっている。
えーっと……?
「……、ねえ、さん……?」
呟くように言うのはエル。
「……」
え、私どうすればいいの?
昨日が投稿半年ということで2話投稿にしてみました!
もうちょっと早く更新しようと思ってたんですけど、次の日になる30分前になりました……。
1年記念もなんかすごいことをしたいなぁ、なんて。
っていうか1年もちゃんと続くかなぁ?いや、続かせますね、頑張ります!




