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 それからは、もう散々だった。


 先生はルージュと私の魔法を褒めまくってるし、ルージュは終始私のことを睨んでるし、周りも私のことをチラチラ見てくるし…!!


 ウザいったらありゃしない!


 もう私は周りの視線をシャットダウンし、なにか考え事に耽ろうと、模索する。

 そんな時、


「(マリーナ)」


と、声をかけられた。

 声の主はもちろん、


「(なに?エル)」


エルだ。


「(どうして魔法を行使したの?結構な量のフラグが折れちゃったけど)」


 …そうなんだよなぁ……この場面が1番の分かれ道だったからなぁ。


「(でもイジメられるのなんてまっぴらゴメンだし。あ、でもアルナルドは体育館の時のお礼、っていうことでまだ繋がりはあるし、そっから好感度を上げていこう!みたいな感じで)」


 本当は上げたくないけどね。

 隠しキャラの登場は阻止しておかないと。


「(あー、まぁ、アルナルドの場合はそれでいけるのか…じゃあエディッタとレインは?というか僕ってどうなるんだろう?)」


 アルナルドは完璧よ!


「(エディは、アルナルドと同じクラスなんだから話す機会出来ないかなぁ?みたいな。もう博打なんだけどね。レインは…あ、そういえばさ、私、レインとの出会いについて話したっけ?)」


 話してない気がする。まぁ食事の時に知り合いなのかな、ぐらいには思ったかもだけど。


「(ああ、それはレインに聞いたよ。もうそれはそれは驚いたよ?ゲーム開始以前に出会ってるなんて。しかもなんか親しいみたいだし。……ああ、好感度は知り合いだから上がっちゃってるのかな?)」


 あ、レインから聞いてたのか。まぁ昨日一緒に食事してたらそういう話もするよね。

 なんの話してたか知らないけど。


「(知り合いだから上がってるかはわからないけど、上がりやすくはなってるんじゃないかな?知らない人ってわけじゃないんだし。あ、エルの好感度は……どうやってあげるんだろう?)」


 アルナルドやエディ、レインもまだ上げ方があるからいいけど、エルだけは曖昧だ。

 前世の記憶持ちだし、それをお互いに知ってるわけだから上げようにも公式的には無理。…というか上げるのが不可能な気がしてならない…。


「(僕だけ謎だよね…。ゲームを知ってるからなにをしてもゲームのシナリオだなぁ、としか思えないだろうし…)」


 これは困った。

 というかマズい。


 エルの好感度が上がらないということは隠しキャラの出現は免れないことになる。


 ……シナリオ外の、事をしたとしても、私じゃ好感度の『こ』の字も上げれないだろうし…。


「((どうしたもんかなぁ?))」


 私とエルは、同時に同じ事をテレパシーで言ったのであった。



ーーーーーーーーーー


「アルナルド様。先程は助けていただき、ありがとうございました。ささやかながら、こちらはお礼です」


 にこやかにそう言う私の前には、王子、アルナルドが。


 そして、私の手にはラッピングされた手土産がある。

 これはアルナルドの元に行く前、購買店で買った洋菓子だ。ラッピング包装もしてもらえるようだったので、喜んでしてもらった。


「えぇ、わざわざ来てくれたの?ありがとう」


 アルナルドは嬉しそうにそう言い、私のお礼の品を受け取った。


「いえ…あ、それでは……」


 私はそう言って、踵を返…


「あ、待って」


 ……せなかった。


「なんでしょう?」


 私は笑みが引きつらないように気をつけながら聞く。


「これも何かの縁だし、お昼、一緒に食べない?」


 どうしてそうなった。


 もう一度言おう。


 どうしてそうなった…!!


 別に助けてもらっただけなのになんでそう言う方向に!?いや、好感度上げるにはもってこいだけどね!?でもさ、突然のイベントすぎてビックリだよ!!そりゃあ、必然の縁だろうね!だってシナリオなんだもの…!!


「え…っと…昼食は先約がございまして…」


 私はやんわりと断ろうとする。のだが。


「もちろん、その子達も一緒でいいよ?」


 なんでやねーん!!


 断ろうとしてるってわからなかったかな!?


「あ…で、でも」


「あれ、君?確か…」


 と、アルナルドの後ろからひょっこりと出てきたのは、エディ。

 …エディ!?

 なんか出てきてくれたら嬉しいなぁと思ってたけど見事に出てきてくれるとは!!ビックリだよ!!


「あ、どうも…エディッタ様」


 私は、ばっくばっくの心臓を落ち着かせながら、必死に笑みを浮かべそう言う。


「うん、たしか…マリーナだ」


「はい、マリーナです」


 そう言うと、当たってた、とニコニコと笑顔を浮かべるエディ。


「あれ、知り合いなんだ?」


 そんな姿を見て、アルナルドは少し驚いたようにそう尋ねる。


「ん?ああ、ちょっと話を、ね?」


「は、はい」


 少しミステリアスにそう言うエディに戸惑うように返事をする。


 ちょっと待てよ?まさかのまさかだけどこれって…


「それじゃあエディも一緒にお昼、どう?」


 そうなりますよねー!!!


「お昼を食べに行くの?そう言うことなら是非」


 いや、なんですんなりOKするの!?おかしいでしょ!?おかしすぎるでしょ!?


 というかまだお昼一緒に食べるなんて言ってないし!!


「あ、エディッタ様とお食べになるのであれば、私は先約の方と…」

「え?」


「だ、だから、私とご一緒にお食べになる必要はないのでは…」

「え?」


「あ、あの…なんでもないです。昼食、楽しみにしております…」


 負けた。


 さすが王子。威圧がすっごい怖い。


「うん、僕たちも楽しみにしているよ」


「はい…では、失礼いたします」


 私は一礼して、教室へと戻って行った。


 …いやいやいや、マズイマズイマズイ!!私、先約なんてなかったし!!

 威圧怖いし、なんか博打に成功しちゃったけど思わぬ方向にいったし…!!


 教室へと戻ってからもずっと私はそんなことを考えるのであった…。





 

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