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 朝、小鳥のさえずりで目が覚めた私は、専属の執事に、紅茶を一杯持ってくるように言いつける。


 それを優雅に飲んだ後、制服に腕を通し、優雅に食事をとるのだ。


 それが私の朝のスタイル。



 ……ごめんなさい、ウソです。


 小鳥のさえずりで起きたことなんて一度もありません。というかそんな小さい鳴き声で起きれない!


 朝に紅茶を持ってくるように言いつけるって!!なんで朝の起きた途端に飲まなきゃいけないの!?まぁ自分で言ったんですけどね!?そういえば起きた時にタバコを求める人は依存症らしいですよ!?この世界にはないらしいですけど!!そして全然関係ないけど!!


 紅茶を優雅に飲むって!?それはすっごい美少女、美少年しか成しえない、究極の技なんですよ!?私なんかができるわけがない!!


また優雅!?次は食事!?出来るわけないだろ!!それは美少女と美少年しか成しえない(以下略)



 現在の時刻、午前4時30分。


 寝起きのあまり良くない私は、まだ布団の中にいる。


 あー、あったかい…


 5時までまだ時間があるなー…登校時間は6時過ぎくらいが妥当かなー……。


「んー……眠いー…」


 学校は嫌いじゃないのに学校のある朝だけは嫌いだ。


「ねーむいのー、私はー眠るー、学校ってーなんでしょー」


 私は意味の分からない歌を歌いながら、ベッドの中でゴロゴロする。


「私はー、一生!ベッドの中にー、っどぅわ!!」


 私はそのまま落ちてしまい、一生ベッドの中にいる、という歌に乗せた願いは儚く消えてしまった。


「…いっ…たい!!」


 おしり打った!ドンっていったし…!!


「ああ…うう……」


 私はのそりと起き上り、おしりをさすりながら洗面台へと向かう。


 お風呂、キッチン、洗面台…日常生活に必要なものがすべて一部屋で済むのがいいところだ。さすが金持ち学院。


 顔を洗いながら、今日1日に思いをはせた。


 ……疲れそうだなぁ…。


 今日から軽く授業をするだろうし、つまりそれは周りから好奇の目にさらされるわけで……


「はぁ…」


 まぁ…頑張ろう……


 さーてとっ、集合場所へ…


「うわぁっ!!」


「おはようございます、お嬢様」


 ドアを開けた瞬間目の前にルイさん。


 …じゅ、寿命縮んだ……


「…えっと、ルイさん…?どうしてここに…?」


 私起きる時間言ってないし、ずっとここにいたのかな…?


「お嬢様の身の回りのお世話が私の仕事ですので、ここでお待ちしておりました」


 え?じゃ、じゃあ……


「ず、ずっとここにいたんですか?」


「もちろんでございます」


 え、ええ!?即答されたんだけど!?当然みたいな言い方だし、普通なの!?


「いや、あの、休んでください」


 さすがに私の世話のせいで倒れられると罪悪感がヤバいし……。


「いえ、仕事ですので」


「ええ…」


 そんなこと言われたら言い返す術が……あ、なら…


「え、えっと、ルイさんは私の専属の執事……なんですよね?」


 私がそう聞くと、うなずいて、


「そうです」


 と言う。


「なら、私がお願いというか命令的なことをしたらかなえてくれるんですよね?」


 そう言うと、ルイさんは私が言いたいことが分かったことのか、少し考え、


「もちろんです。お嬢様の危険があること以外ですが」


 と言ってきた。だけど私も引き下がらない。


「夜から朝にかけてはルイさんも寝てください。たしか一部屋に一つ、防犯用の魔法がかけられてるはずですよね。それがあるなら大丈夫です。だからルイさんも休んでください」


 私がそう言うと、ルイさんは言葉を詰まらせ、驚いた顔をしている。それもそうだろう。防犯用の魔法や結界は生徒には知られていない。なので私が知っているのもおかしな話なのだ。


「…どうして知っていらっしゃるのですか?」


「えー?どうしてでしょう?」


 にやりと笑い、そう言った。


「……わかりました。ではお言葉に甘えて休ませていただきます。ですが、なにかご用がある場合は遠慮なくお申し付けください。部屋に一つ、電話が置いてありますので、1を押してかければ私にかかりますので、それで」


 ああー、そういえば電話あったなぁ!


「ところでお嬢様」


「はい」


「登校はこの時間ですか?」


「え?」


 ……ああっ!


「違います、今日はえっと早く目が覚めたのでちょっと散歩でもしてみようかなぁなんて」


 あはは、とごまかし笑いをして言う。


「そうですか」


「あ、ルイさんは休んでくださいね」


 私は一応ことわりを入れておく。


「ですがなにがあるかはわかりません」


「でも危険はないですよ?」


「なにも外部の者が危険というわけでもないでしょう。中にいる者も危険はあります。それにお嬢様は貴族ではなくBクラスに入っておられます。敵意の目を向けられ、なにかされたらどうなさるつもりですか」


 真剣な顔でそう言うルイさん。

 まぁ、それも一理ある…か……


「だけど、まだ手は出さないでしょう」


「どうしてです?」


 顔を険しくさせ即答で聞くルイさん。


「だって、私庶民ですよ?」


「…そうですね」


「だからです」


 特に何を言うわけでなく、私はそう言う。って、ルイさん。疑問が顔に出てますよ。ポーカーフェイスを忘れちゃダメなんじゃないんですか?


「つまり、庶民のくせになんでBクラスなんだよ!て言うのが周りの気持ちですよね」


 声マネをしながらそう言う。のだが普通にスルーされ、「そうですね」と返された。……空しい…。


「でもBクラスなら実力がある。能力も未知。もし手を出して返り討ちにされたら恥ですしね。まだわからない以上、手は出せませんよ」


「なるほど…」


 顎に手を当てそうつぶやく。


 ……あれ…?


「い、今何時ですか?」


 …なんかまずいような…


「今ですか?今は…5時16分ですね」


 ……。


「あ、わ、私、お散歩でも行ってこようかな…?」


「わかりまし…顔が青いですよ?」


「気のせいじゃないですか?あはは……」


 私はふらついた足取りでその場を去る。

 先ほどの話のかいあってか、ルイさんはついてこなかった。



 ……どうしよう…


 完全に遅刻だ……

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