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第一話 戦国時代に転生、信長と友だちになる

 時は戦国時代……に来てしまった。

 



 まあ、大抵の想像はつくと思うが、俺は未来から来た逆行人と言う奴らしい。

 その辺のゴタゴタは後々話していくことになるけど、当時はそりゃもう大変だったね。

 なにせ食生活からトイレ事情、ウイルスという概念がないため、消毒殺菌清潔はあまり重視されていない。

 元現代人の俺には肥溜めの匂いは凄いキツかった……今も慣れていないけど。

 食事も質素を通り越して、極貧。

 お腹いっぱい食べることなんてそうそうあることではなく、常に空腹と戦っている毎日だった。

 口癖が「腹減ったなぁ」になってしまうくらいため息を付いたものだ(あまり人前では言わないようにしていたつもりだったが、丸聞こえだったらしい)

 

 さて、そんな俺がこの生活に慣れ始めたのは確か10前後の頃である。

 元服前だったからそんな頃だろう。

 俺が今住んでる場所は愛知県尾張。

 那古屋城周辺で城下町と言っていい場所である。

 奴がいたのだ。

 そう歴史上の超有名人、戦国の覇王。第六天魔王。事実上の天下人。

 

「よぉ、久次郎。遊びに来たぞ!」


「またか、吉」


 吉法師(俺は吉とよんでいるが)、後の織田信長である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は良い物が手に入ったんでな、見せびらかしに来てやったぞ」


 満面の笑みでそう答える吉は、肩に細長い棒状のものを担いでいる。

 いや、未来知識のある俺が見たらすぐに分かるから、あえてぼかす必要もないんだが。

 後の信長の天下布武戦略図に大きく貢献した、当時の日本の革新的兵器。

 

「こいつは種子島っていってな、この引き金を引くだけで約82間(約150m)先の敵を倒すことができる」


 そう言ってみせて、いつの間にか火縄に火がついた状態(大変危険である)で構えており、

 

―――ドンッ!


 発砲音の後、狙ったであろう獲物が粉々に四散している。

 この時代ならば大した威力といえるだろう。

 吉は満面の笑み、ドヤ顔である。

 この凄さ、ビビっただろ!? という文字が顔に書いてあるようだ。

 だが俺のいた時代にはデザートイーグルとかRPG-7とかが存在しており、威力では比較にならない。

 目前で炸裂音がすればさすがに驚きもするが、そこまでの感慨は生まれなかった。

 それよりも、

 

「オイコラ」


「どうだ!? これは後の戦略を変える兵器になると思わんか!? だというのに頭の固いジジイどもはやれ玩具だの雨に使えぬ兵器など欠陥品だのと…」


 ブツクサと文句を言う吉の後ろに速やかに俺は周り、頸動脈を見事に締める我ながら惚れ惚れするチョークスリーパーをかましてやった。

 

「ふぐぐぐ…なに、をす、る…っ」


「あれを見ろ」


 俺が指さした先には、種子島で打たれて見事に薪の束が四散していた。

 俺の今日の夕メシ代になる予定の薪であった。

 

「お仕置きとして苦しまずに、安らかな眠りを提供してやろう」


「それってただの、失、神…」


 そう言い残して吉は白目をむきグッタリと意識を失っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、若が迷惑をかけて申し訳ありませぬ」


 那古屋城の一室。

 俺の前で頭を下げるのは、平手政秀。

 織田信長の教育係で、後々信長のうつけを諌めるため自刃したという壮絶な爺様だ。

 俺から見たら好々爺然としたいい爺さんである。


 平手政秀、吉(後の織田信長)と縁ができたのはそう昔の話ではない。

 吉と爺様が山で散歩中に超でかいクマが二人を襲おうとしていたのである。

 薪を売って暮らしている俺は偶々その場に出くわし、助けて(・・・・)しまったのが運の尽き。

 唖然としている二人をみて、しまったと思うが時はすでに遅く、好奇心の塊である信長に興味を持たれ今に至るという。

 

 


「あ、いやちょっとした事で怒ってしまって吉様を……やっぱりまずいですよね?」


「そんなことはござらん。元はといえば種子島を勝手に持ち出し、あまつさえ民草の収入を台無しにするなど。この平手なんとお詫び申したら」


「あ~…メシ代がなくなった程度なのでさほど被害は。養う家族もいませんし」


「久次郎殿」


 俺の家族こっちのだがは流行病で病死している。

 幸い俺は丈夫な上に頑丈でかなり力が強く、身体能力に非常に恵まれている身だ、俺自身はなんともなく、介護の甲斐なく両親は命を失った。

 

 俺が病気にならなかったのは、おそらくは転生チートだのなんだのの恩恵であろうが(他にもいろいろそれはおいおいせつめいしていこうとおもう)、こんな時代に転生させられた時点で恨み骨髄なわけで感謝の気持は湧いてこない。

 俺がそんなことを考えていると、平手の爺様はじっとこちらを見据えている。

 あの話しだろうか。

 

「……こんな時申して良いかわかりませぬが、先日の話、考えていただけぬでしょうか?」


「……」


 先日の話とは平手政秀の養子にならないか、という申し出である。

 それは言ってしまえば、将来織田信長の家臣として働くことになるということだ。

 あの気むずかしい、周りからは尾張の大うつけと言われている吉と俺は比較的仲がいい。

 と言うよりも、俺の身体能力や知識(一応未来の教育を受けている為)に興味があるらしく、よく俺のところに来ては迷惑をかけつつも遊んでいくのだ。

 正直なところありがたい申し出ではあると思う。

 この時代に飛ばされた俺になんの力もなくただただ無力な存在で合ったら飛びついていた位の好条件。

 だが俺には戦国時代を誰にも仕えることなく、一農民として無関心に暮らして食い扶持を稼げる能力がある。

 類まれなる身体能力、そう称したが、実際十尺三寸の大槍を片手で枯れ木のように振るえ、全身甲冑装備でフルマラソンできる体力。

 まさにチートと呼ぶべきこの能力。

 そのせいで色々な災難に巻き込まれ、俺の家族は異端視。

 忌み子を生んだとし村八分を受ける事になった。

 ある意味当然の結果だ。

 この世界にきて調子に乗っていた俺は、人とは違うということを理解してはいなかった。

 ただでさえ信心深い時代、妖怪、物の怪の類と疑われても仕方なかっただろう。

 父母はそんな俺を愛してくれていたが、時はすでに遅く、心労がたたって病を患い他界した、というわけだ。

 その時の教訓として、『ほんとうに必要な時だけ、必要な分を活用する』と心に決めている。

 

「久次郎殿が何を思いその才覚を隠していらっしゃるのかは存じませぬが、若のため伏してお頼み申す。全てを若に捧げろとは申し上げませぬ。ただこれからの戦乱あなた程の才の者に若のそばに居て欲しいのです。いざとという時だけでもかまいませぬ、どうかその際に若を…!」


 そう言って平手の爺様は本当に伏して頭を下げたのだ。

 ただの農民であるこの俺にだ。

 この時代の身分というのは絶対的なものであり、それでありながらのこの爺様の姿勢。

 

「爺様、頭上げてください。」


「久次郎殿…」


「……本当にいざというときだけですよ?」


「……まことですか!? なんという…この平手、感謝の念に絶えませぬ…っ」


「は、はぁ…」


 平手の爺様は演技派なのか、根が糞真面目なのか多少大げさなところがあるのか偉い喜びようである。

 まぁ、義務教育は受けているし、文官か足軽で目立たない程度に無双すればいいかな。

 この時はそんなふうに楽観的に考えていたが、人生はそううまくは行かないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 その後俺は平手の爺様の養子となり、平手政秀から一字をとって久秀、平手久秀となった。

 秀の字は、この時の織田当主は織田信秀であり、無礼にも思えたが、さすが信長に好かれる親父さんといったところか、養子縁組の際に一度対面しているが秀の字を遠慮無く使えとのこと。

 器の大きい御人である。

 確か天皇の貢物で物凄い量の金銭を送って度肝を抜いたことがあったんだっけか?

 尾張は貿易が盛んな土地柄であり、貿易というのは途方も無い利益を生むのである。

 領地は小さいものの経済力は並の大名を凌駕するものだった、と書物で読んだ気がするし。

 元々歴史、特に三国志や戦国が好きだった俺だが、逐一細かく記憶しているわけでもない。

 せいぜいが大筋の流れと武将の名前で能力がおおよそ判断できるといった物である。

 

 ちなみに好きな武将は松永久秀、尼子経久で同じ久と秀を共有できるのが地味に嬉しかったりする俺出であった。

 緒形拳の経久ははまり役だったな、うん。

 

 

 

 

 

 

 

 平手久秀となってからの俺の日常は、主に吉の護衛だった。

 とはいっても何も吉だけではなく、この時もう一人重要人物がいたのだ。

 

「吉殿~、待ってください~」


 なんとも情けなく吉に引きずられているのは、岡崎からの実質の人質。

 竹千代…後の徳川家康である。

 俺から見た竹千代、家康はどこか頼りなく、将来狸親父と呼ばれるような狡猾さなど微塵も感じられない。

 今は尾張にいるがその内今川の人質になったり、信長に振り回されたり武田信玄に恐怖のあまり脱糞したりと、苦労を重ねて天下をその手中に収めるのだろう。

 

「……あの、なんでしょうか?」


 どうやら生暖かい目で見つめてしまっていたらしい。

 後の狸親父とはいえ、今は竹千代くんだ。

 人質生活で鬱憤も溜まっているだろうし、少しはガス抜きをしてやりたいところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで月日は流れていく。

 爺様の養子である俺は、平手の跡継ぎとしても養育されている。

 幸い爺様には息子がいなかったらしく、跡継ぎ問題は発生せずにすんなりと俺が平手の当主ということに収まりそうである。

 内政を任されることも多々あるが、これがまた難題で文字がすごく読みづらい上に回りくどいのだ。

 現代知識があったところでまるで役に立たず、文章を読み解くという勉強をしいられた。

 現代日本人として言語が確立してしまっている俺なので、この作業と勉学は他国語を覚えるようなものでひどく苦労した。

 その甲斐もあって拙いながらも読み書きはできるようになり、なんとか爺さんの、平手の面目は保てたというところだろうか。

 爺さんは爺さんで忙しいらしく、何をやっているのかよくわからないが、俺が吉の護衛兼首輪役となってからは前よりも忙しそうにしてる。

 確か爺様は自刃するはずだった。

 いつかわわからないが、そろそろ吉が元服を迎えようとしている時期だ。

 俺というある意味興味の対象、理解者(未来人なので革新的な事には耐性がある)なので史実ほどとんでもない人物ではなくなっているはずだ。

 まあ相変わらず母親とは仲が悪いみたいだが、家臣の息子が大殿の母親に言えることなどなく、気晴らしに山にでも行ってクマ狩ろうぜ!的な野性的な性格になってしまったのはどうなのだろうとは反省している。

 

 

 

 

 

 天文15年(1546年)

 ついに織田上総介信長と名を改め、元服する。

 織田信長が表舞台にたったのである。

 結構長い間護衛役を務めていたこともあり、感慨深いものがあるなぁ。

 え、俺の元服?

 数年前にサクッと終わらせましたが何か?

 そんな感慨にふけっていると、吉――いや、もう信長と呼ばねばなるまい。

 そんな彼がこちらを不思議そうに覗いている。

 

「なんだ、久次郎? 俺の正装が珍しいか?」


「それはそうだろう。幼い頃野山をかけめぐって襤褸を着ていたお前をしっているからなぁ」


「ぬかせっ」


 お互いに笑い合う。

 長い間一緒にいた俺達は、主君と家臣という枠を超えた間柄となっていた。

 前にそろそろタメ口はマズイと思い口調を改めたが、その時の信長は苦虫を噛み潰したような表情で、

 

「お前にその口調で話されると調子が狂う。構わんから普段通り変わらず接しろ」


 などと言う言葉をかけられた。

 さすがに家中でまずいのではと信秀様、爺様に相談を持ちかけたが、両者とも答えは信長の好きにさせてやれ、だそうだ。

 もともと信長は革新的であり、その思いつきに周囲が困惑してうつけものと呼ばれるようになった発端がある。

 理解者のいない孤独というのは辛いものだ。

 だが俺が存在し良き理解者となったため、信長の奇行は収まっていき家中は安堵したという。

 そのまま信長を支えてくれ、といった事を頼まれたが、理解者といっても別に同じ視界、同じ視点を持てるわけではない。

 未来からの知識で、信長の考えが合理的だという事が俺にはわかるだけで、価値観まで共有しているわけではないのだ。

 これからの信長の野望、展望を考えると、手放しには賛同できないかもしれない時が来るだろう。

 とはいえ一応友達っぽい関係だしな、ネガティブに考えず今を生きていこうかね。

 

 

 

 

 

 

 ある日の夕刻、俺は信長に呼ばれた。

 改まった話があると言うことで、少し緊張しながらも部屋へと通されていく。

 

「来たか、久次郎」


 そう言って迎えた信長は、俺が座るのを待って、開口一番にこういった。

 

「美濃の斎藤道三のことだ」


 それを聞いた瞬間、俺は渋い顔になったに違いない。

 美濃の斎藤道三。

 油売りから戦国大名へと上り詰めた、通称「美濃の蝮」。

 謀略、裏切りはもちろん、恩人にまで刃を向け、まるでマムシのように母体を食いつぶして生まれてくる様から付けられたおっかない二つ名だ。

 昔っから小競り合いが続いている間柄で、ようやく最近和睦の道が見えてきたというところである。

 

「先日正式に和睦を結ぶ事になった。マムシの娘の濃姫が俺に嫁ぐ事になったようだ」


「へぇ、お前も遂に所帯を持つ事になったかぁ。もう夜に抜け出して遊びにいけなくなるな、ハハハ」


「全く、面倒な事よ」


 信長は苦い顔で笑う。

 俺の今の役職は平手政秀の養子という一点であり、戦場にも何度か立ったが、チートで無双――という訳には行かず、旗大将というひたすら旗を振る合戦時の役職があり、一際でかい旗をぶん回して、時に敵兵をぶっ飛ばしたりもした。

 そのお陰か、敵に全く怯まず一度も地に落ちない旗を振る様を見て、「土付かずの旗大将」として味方の士気を大いに挙げたことをほめられたりした。結構嬉しかった。

 今更人を殺す云々とかではなく、俺は槍に貫かれても鉄砲で撃たれても死なないチートボディを持っている。

 槍を持って前線に立つと戦国無双になってしまうのである。

 それをやってしまえば戦には勝てるだろうが、兵が育たない上に周囲からの疑心暗鬼も育ってしまう。

 結果として織田家のためにはならないのだ。

 というかそれをしないっていう約束をして信長と爺様とともに行動しているわけなんだけどな。

 そんなわけで俺の戦働きはそれほどでもなく、特に織田家にとって重要な人物ではない。

 そんななかで俺に相談を持ちかけてくるあたり、なんか友達っぽくて少しほっこりしたのはないしょである。

 

「で、それでなにか俺に相談があるのか?」


「うむ…」


 珍しく言いよどむように口をつむぐ信長。

 なかなかレアな光景だといえよう。

 

「おそらくこの縁談は破断されまい。そうすると思うわけだ、俺も妻帯者になるのか、と」


「女郎と遊びふける日々も終わるわけだな」


 じろり、とこちらを見る信長だが、俺意に返さない。

 

「そこでだ、お前も妻をめとれ」


「ブフゥゥゥゥーーーーッッ!」


 飲んでたお茶を松田優作並に吹き出した。

 

「俺とお前は兄弟みたいなものよ、これを機に実際義兄弟となってみるのもいいかと思うてな」


「げふっ…ごふ…っ…ちょ、まって…」


 律儀に俺が落ち着くのを待ってくれるあたり、信長は意外に良い奴であった。


「げふ…あ~…いや、とはいっても相手がいないだろう」


「うむ、お前の相手はお市を考えている」


「バフゥゥゥーーーーッ!」


 本日二度目の噴射。

 行儀の悪い所作であるが顔色一つ変えない信長はかなりいいやつかもしれない。

 

「お市の方って…!」


 焦る気持ち抑えながら気を整える。

 ちょっと待ってくれといった気持ちでいっぱいだ。

 

 お市といえば信長の妹であり、戦国一の美女とほまれ高い女性である。

 後に浅井長政との同盟の折りに浅井家に嫁ぎ1男3女を産むことになる。

 その三姉妹こそが茶々、初、江の浅井三姉妹だ。

 万福丸という子も産んで入るのだが、浅井長政の嫡子として処刑されている。

 そこに秀吉が絡んで来ており、後々の禍根となるのだが…。

 ちなみに大河の江は7才を24才で演じるのは無理があると思うんだよな。面白かったけどさ。

 その後柴田勝家に嫁ぎ賤ヶ岳で敗れ北ノ庄で勝家と一緒に自刃するんだっけか。

 よくかんがえれば、幸せとは言えない一生だったのかもなぁ…と大河ドラマを思い出していく。

 

「父上も案外乗り気でな、俺もお前と正式に義兄弟になれるならと。どうだ?」

 

「どうだ、といわれてもな」


 ここで俺がお市の方を娶れば歴史に大きな修正点を与えるだろう。

 特に俺は未来がどうのというのは考えていない。

 結局信長は光秀に裏切られ本能寺で死ぬ、その結果さえわかれば対処は簡単なのだ。

 光秀と信長をとりなしてもいいし、光秀を先にサクッとしてしまうのもありだし、いざとなれば本能寺に側にいてこっそり信長だけでも逃せばいい。

 俺がそんなことをウンウン悩んでいると、

 

「久秀、宣教師が持ってきた地球儀を共に見たことを覚えているか?」


「ん?」


 突然昔を懐かしむように信長が語りだす。

 

「俺は古い慣習や信心など信じぬ。だが俺の周りの奴らはそれをバチがどうのと先祖のしきたりがなど有りもしない亡霊を恐れている」


「……」


 まあ、この時代の価値観からすれば当然ではあるんだろう。

 信長が現実主義なだけで、先祖や信心というのはその人の心の拠り所でもある部分が多分に存在するのだ。

 

「そんななかお前は平然と地動説、日本の小ささにもいささかも動揺しなかった。俺ですら初め信じられなかったものをだ」


「俺はそんなに頭がいいわけじゃないし、言ってることが最もだと思ったしな」


「それよ」


 信長が俺を見て笑みを浮かべる。

 

「正しいことが正しいと思う。受け入れる。実行する。これのなんて難しいことよ。あの時のお前に俺は器を見た」


「器、か?」


「そうだ。俺と同じ視点、いやそれ以上のものを見る視界をお前は持っている。故に俺はお前と夢を見たくなった」


「……」


「だからこその血縁よ。俺はお前を唯一の友と思っておる。おかしなことではあるまい?」


 ……

 

 ………

 

 …………

 

 いや~……。

 なんかすごく買いかぶられてるような気が。

 知識って本当に持っているだけでこんなに違うんだなぁ。

 

 戦国時代か。

 最初はただ生きていられればいいや、と思っていたけど。

 目の前には織田信長。

 俺にとっては歴史上の偉大な人物の一人だ。

 その人物と同じ夢をみる。

 

 その誘惑はとてもあらがいがたく、俺は蝶のように時代へと飲まれていくような気がした。

 

 

 

 

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