終焉
適当に終わらせて申し訳ないです。もうファンタジーは書きません。
剣は僕の真下まで振り下ろせた。何かが擦れたような音がしたが手応えはなかった。剣は中程で折れており、剣先は足下に落ちていた。
「本当にそのなまくらで切れると思ったのか? お前の持っているそのゴミはただの贋作だ」
「これは父の形見なのだ。そんなはずはない」
「まだわからないのか。お前は王に騙されていたのだ」と男は言った。「本物のフォーキは俺の持つこの剣だ。現にお前のは今、俺が切った。それが証拠だ」
僕はわからなかった。何処までが真実で何処までが嘘なのか。僕の全ては虚構で固められており、真実など何処にもないのではないか。しかし僕には思考している暇などなかったのだ。
「花子! 逃げろ」僕は彼女を逃がそうとした。物語の主人公は大抵そうするものだった。
「無駄だ。もうここからは逃げられない。とりあえず、お前から殺してやろう」
男は剣を構え、近づいてきた。彼女が逃げたかどうかはわからなかったが、男は僕だけを狙っていた。あるいは彼女を殺す気はないのかも知れない。
「このフォーキは触れたもの全てが切れる魔剣なのだ。まずその忌々しい左腕から切り落としてやろう」
男は僕の左腕に向けて剣を振った。僕はとっさに手に残っている剣で防ごうとしたが、防いでいる感覚は得られなかった。気付くと剣は柄だけになっており、地面には残っていた剣の刃と、左腕が手首とそれより上に別れて落ちていた。痛みはなかった。
「痛すぎて声も出せないか。すぐに楽にしてやる」「なぜ王は俺を騙した」
思い切って訊ねた。死ぬ前に知っておきたかった。
「簡単なことだ。魔王に頼まれていたのだ。お前を殺すように」
「なぜすぐに殺さなかった。なぜ町人まで殺した」
「魔王に迎合する必要があったからだ。すぐ殺さなかったのはお前の母親を逃がさない為だ。お前は知らないようだが、お前の母は有力な白魔導士だったのだ。勘づかれて逃げられると面倒なので、魔王軍が到着するのを待っていたのだ。到着して殺戮を始めたとき、お前を見つけられなくて焦ったが見つかって良かった。これで問答は終わりだ。余計なことを知った分、辛い死に方をさせてやろう」
じわじわと左肩――もちろん左肩がくっついていた部分だが――が痛くなってきた。かなり出血しているらしく息が荒くなってきた。このまま死んでいいものだろうか。僕は魔王に復讐するどころかこんな男さえも殺せないのだ。
男は私の右足を太股辺りから切り落とした。何か邪魔なものが切り落とされた気がした。もしかしたら僕にとっては足など必要ないのかもしれない。バランスを崩し地に伏した。
「おい。まだ死ぬなよ」
男の声が聞こえたが返事はできなかった。肉体的苦痛はなかったが、精神的苦痛と抗うことの出来ない血液の損失のため口が動かないのだ。
「死んだのか。あの女は俺たちが最期まで遊んでやるから心配するな」
そういって足音は遠ざかっていった。
僕はまだ生きている。彼女がその後どうなったのか、魔王軍がなぜ僕を殺そうとしたのかはもうわからないが、僕にはどうでも良いのだ。ただ僕が生きてさえいればいいのだ。
あのあと僕は死を覚悟したが今いるこの村の若者に助け出され一命を取り留めた。幸運だった。僕も、僕を助けてくれた彼も。僕が倒れていた辺りは魔王軍と王の軍がいたはずだった。彼は運良くそれに見つからずにその辺りを通り、僕を見つけて連れ帰ったのだ。なぜそんな所を歩いていたかはわからないが僕にそんなことは関係なかった。ただ助けてくれれば良かった。
この村は森の中にあり資源も豊富だ。僕には左腕と右足がないが面倒を見てくれる人がいる。働かずとも食事を用意してくれる。あの男に襲われる前より生活は楽になった。もちろん手足が不自由なのは困るが、全てはこれで良かったのだ。なぜなら僕が生きているから。
最期までお読みいただきありがとうございました。エタりたくないのでとりあえず完結させました。




