私の婚約者はいつも両腕に女性をぶら下げている。
私の婚約者はいつも両腕に女性をぶら下げている。
「ごきげんよう、センディエーツォ様」
「やあ、レリギーア嬢。今日は午後から雨が降りそうだね」
今日はラウタ家のフローロ様とプラード家のアローマ様ね。
フローロ様は今日も御髪が丁寧に整えられて、自信満々ね。
アローマ様はお化粧がバッチリ決まってらっしゃるわ。
「早速だが、今日も頼めるかい?」
彼が二人のご令嬢に構わず私に背中を向けると、その腕から振り払われたお二人がよろめく。
私はそれに目を向けず、今日もこの方の肩を叩く。
強すぎず、弱すぎず。あなたの憂いが無くなりますように。
「ああ、すっきりした! やはり君に肩を叩いてもらうと気持ちが良い!」
「あら、お上手ですこと」
「呪術師の爺さんも上手いんだが、どうにも気分がね。それに君の方が力加減が良い」
「まあ、光栄ですわ」
「本当だよ。ああ、早く君と一緒に暮らしたいな」
「では私は、センディエーツォ様と一緒に暮らせることに、毎日教会で感謝しなければなりませんね。センディエーツォ様も、時々は一緒に行きましょうね」
「そうだね。レリギーア嬢とこれから共にいられることに、僕も神に感謝しよう」
差し出された右手に私の左手を重ね、歩調を合わせて歩き出す。
お二人の姿はもうここにはない。
屋敷に戻り、室内着に着替える。
解かれた髪を緩やかに結い直されながら、鏡の中の自分を見つめる。
私の髪をすく侍女を恐ろしい形相で睨みつける男性。
小さくため息をついてしまうと、侍女が心配そうに、鏡越しに私を見た。
「ごめんなさいね、今日はちょっと疲れただけなの。髪をすいてもらうと心地よくて、気が抜けちゃうのよね」
ほっと息をつく侍女。
男性は私の隣に立って、不安を隠さずに私を見ている。
目を閉じてさり気なく、両手で両肩を叩く。
目を開けると、男性は居なくなっていた。
「できましたよ。緩く纏めるだけでも、お嬢様の御髪はお綺麗ですね」
その言葉に微笑みで返すと、侍女もにっこり笑ってくれた。
「今日のお茶も聖水で淹れてね」
毎日疲れちゃう。
一休みしたら教会に行きましょう。
明日はどなたがいらっしゃるのかしらね。
思い付いて一気に書きました!
登場した名前はエスペラント語から当てました。人名ではないです。ずっと名前考えるの苦手です。
最後に「明日はどなたの葬儀かしら」の一文を入れてホラー感を出そうか迷ってたのですが、平和に生き霊だけにしました。平和がいいですね。




