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私の婚約者はいつも両腕に女性をぶら下げている。

作者: 阿寒鴨
掲載日:2026/06/04

私の婚約者はいつも両腕に女性をぶら下げている。


「ごきげんよう、センディエーツォ様」

「やあ、レリギーア嬢。今日は午後から雨が降りそうだね」


今日はラウタ家のフローロ様とプラード家のアローマ様ね。

フローロ様は今日も御髪(おぐし)が丁寧に整えられて、自信満々ね。

アローマ様はお化粧がバッチリ決まってらっしゃるわ。


「早速だが、今日も頼めるかい?」


彼が二人のご令嬢に構わず私に背中を向けると、その腕から振り払われたお二人がよろめく。

私はそれに目を向けず、今日もこの方の肩を叩く。

強すぎず、弱すぎず。あなたの憂いが無くなりますように。


「ああ、すっきりした! やはり君に肩を叩いてもらうと気持ちが良い!」

「あら、お上手ですこと」

「呪術師の爺さんも上手いんだが、どうにも気分がね。それに君の方が力加減が良い」

「まあ、光栄ですわ」

「本当だよ。ああ、早く君と一緒に暮らしたいな」

「では私は、センディエーツォ様と一緒に暮らせることに、毎日教会で感謝しなければなりませんね。センディエーツォ様も、時々は一緒に行きましょうね」

「そうだね。レリギーア嬢とこれから共にいられることに、僕も神に感謝しよう」


差し出された右手に私の左手を重ね、歩調を合わせて歩き出す。

お二人の姿はもうここにはない。



屋敷に戻り、室内着に着替える。

解かれた髪を緩やかに結い直されながら、鏡の中の自分を見つめる。


私の髪をすく侍女を恐ろしい形相で睨みつける男性。

小さくため息をついてしまうと、侍女が心配そうに、鏡越しに私を見た。


「ごめんなさいね、今日はちょっと疲れただけなの。髪をすいてもらうと心地よくて、気が抜けちゃうのよね」


ほっと息をつく侍女。

男性は私の隣に立って、不安を隠さずに私を見ている。


目を閉じてさり気なく、両手で両肩を叩く。

目を開けると、男性は居なくなっていた。


「できましたよ。緩く(まと)めるだけでも、お嬢様の御髪はお綺麗ですね」


その言葉に微笑みで返すと、侍女もにっこり笑ってくれた。


「今日のお茶も聖水で淹れてね」



毎日疲れちゃう。

一休みしたら教会に行きましょう。


明日はどなたがいらっしゃるのかしらね。




思い付いて一気に書きました!

登場した名前はエスペラント語から当てました。人名ではないです。ずっと名前考えるの苦手です。

最後に「明日はどなたの葬儀かしら」の一文を入れてホラー感を出そうか迷ってたのですが、平和に生き霊だけにしました。平和がいいですね。

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