表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/22

キメラ討伐の朝

「そこで、四人での練習試合を提案したいのだが、銃は危険過ぎるので、大倉は見ていてくれ」


「わかりました」


「試合は三人同時に行う。私は竜を狙う。竜はさくらを狙う。さくらは私を狙う。ただし、竜はリボンで木刀を切ってはならない」


「わかりました」


「これは、キメラと戦闘中に他の危険な生き物、例えば恐竜などが出てきた場合、すぐに察知する能力を磨くためだ」


ジュピターは持っている三本の木刀のうちの一本をさくらへ投げて渡した。ジュピターは左右の手に木刀を持つ二刀流だ。


ジュピターの「始め!」の声とともに、三人は構えた。


竜はまだリボンスティックを出していない。


ジュピターは竜への距離を一瞬で詰め、右手にある木刀を竜の頭上に振り下ろす。


竜はリボンスティックをどこからか取り出して木刀を受けた。


同時にさくらがジュピターの背中に木刀を振り下ろすが、ジュピターは半身を開き、左手の木刀でさくらの攻撃を受ける。


竜はジュピターの木刀をリボンスティックで跳ね除け、走りながらさくらへリボンを飛ばした。


さくらの足へと迫る竜のリボン。だが、ジュピターが竜を追って上から木刀を振り下ろしてきた。


リボンがさくらへ届く前に、竜はリボンスティックでジュピターの木刀を受けると、すぐさま後ろへ飛んで距離を取った。


三人は距離を取り、お互いの気配を探る。


さくらはどうすればいいか迷っていた。


竜はリボンを飛ばせるから、攻撃範囲が広い。

ジュピターさんも秘剣手乗り文鳥で遠くまで攻撃できる。私は木刀の届く範囲でしか攻撃できない。


どうすればいい……


「すみません!ジュピターさん、もう一本木刀をもらっていいですか」


「さくらも二刀流にするのか?」


「いえ、もう一本持っておきたいだけです」


「わかった。もう一本取ってくる」


そう言うとジュピターは宿の中に入っていった。


「ねぇ竜、すごい緊張感だね」


「さくらはまだいいぜ。俺はジュピターさんからの攻撃だぜ。マーズ師匠の攻撃を受け続けてるようなもんだ」


大倉が二人を見ていた。


「さくらさん、剣技ってかっこいいですね」


さくらは大倉を見つめ、顔を赤らめた。


やっぱり米倉先輩そっくり!


米倉先輩にかっこいいって、褒められてるような気になっちゃう。好きって言っちゃいそう……何言ってるのあたし、練習中よ!集中しないと!


ジュピターが戻ってきた。


一本の木刀をさくらへ渡すと、「再開だ、始め!」と言って構えた。


さくらは、一本の木刀を手に持ち、もう一本は腰のベルトに差した。


最初に仕掛けたのは竜だ。距離を取って、さくらへリボンを放った。


さくらはそのリボンを木刀で受けると、グルグルと木刀を回転させて、リボンを巻きつけた。


その時、ジュピターが竜に向かって走った。と同時にさくらも木刀を離して、全速力で竜の方向へ走り出した。


竜は木刀に巻き付いているリボンを戻さず、リボンスティックでジュピターを迎え撃つ。


そこに、さくらがジュピターめがけて、突進しながら、腰の木刀を抜く。

竜は頭上でジュピターの右手の木刀を受け、ジュピターは、頭上で左手の木刀でさくらの木刀を受ける形になった。


さくらは、ジュピターの腹部に前蹴りを放つ。


ジュピターは竜への攻撃を諦め、後ろへ飛んだ。


「さくらも竜もいい動きだ。練習試合はここまでにしよう」


五人の村人たちが竹を運んできて、地面へ突き刺していく。


「さくら、練習用の竹はこれでいいか?」


「ありがとうございます」


さくらは村人たちへも頭を下げた。


「みなさん、ありがとうございます」


村人の一人が、「おらたちこんなことしかできねぇけど、おねげぇしますだ」と言って頭を下げた。続くように残りの四人も頭を下げる。


さくらは、田中家流とアクセルターンを掛け合わせた技を竹で試してみる。


走り込み、空中で体を一回転させながら、遠心力と体重を刀に載せて竹を斬ってみた。


ジュピターは切れた竹の切り口を見た。


「さくら、まだ刀を叩きつけている。これでは刀が刃こぼれしてしまう。私の予備の刀を貸そう。それで練習したほうがいい」


「ありがとうございます」


四人は夕方まで練習した。晩ごはんは、さくらも景子に教えてもらいながら一品作ってみた。

そして、討伐の朝が来た。


ジュピターは大倉にもう一度聞いた。


「大倉、村にいて村人を守ってくれないか?」


「一緒に行きます。僕一人でキメラの一匹は片づけますよ」


「そうか……」


ジュピターは見送りに来ていた村人たちへ、「行ってくる」とだけ伝え、森に向かって歩き出した。


その後ろを、さくら、竜、大倉がついていく。さくらはには不安があった。妖刀田中家と語ることができなかったのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ