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ジュピター対竜対大倉

ジュピターが竜のほうを向いた。

「次は竜だ。かかってこい」


「本気で行きますよ!」


「マーズの弟子の実力、見せてもらうぞ!」


さくらは心の中でつぶやく。


(どうも、気合の入れ方が古く見えるのよね)


ジュピターが構えると、竜の目には剣が一回り大きくなったように映った。


地を這うように放たれたリボンが、ジュピターの足元を狙う。だが、彼女はすでにその場から消えていた。


リボンは地面から直角に跳ね上がり、跳躍したジュピターを下から追う。

ジュピターが叫び、刀を竜へ投げ放った。


「秘剣 千本突き!」


刀は一直線に竜へ迫る。


竜はリボンを引き戻しながらスティックで弾くが、刀は空中で向きを変え、何度も突きかかってくる。突きの速度は次第に増していく――まるでボクサーの連打だ。


着地したジュピターが、再び叫ぶ。


「秘剣 手乗り文鳥!」


もう一本の刀が、高速回転しながら飛翔する。


突きを繰り返す刀と、回転しながら迫る刀が同時に竜を襲った。


竜はリボンで突きの刀を絡めとり、回転する刀は身を低くしてかわす。


そして一気に距離を詰めるため、ジュピターへ向かって駆け出した。


「肉弾戦に持ち込むしかない!」


かわされた刀はブーメランのように戻り、竜の背後から迫る。


竜は絡め取った刀の柄を右手で握り、振り向きざま、飛来する秘剣 手乗り文鳥を叩き落とした。同時に、左手でリボンをジュピターへ放つ。


だが、すでに彼女の姿はそこにはなかった。


次の瞬間、竜の背中に衝撃が走る。ジュピターが回り込み、蹴りを叩き込んでいたのだ。


「さすがマーズの弟子だ。だが、一瞬でも敵に背を向けてはならない」


「強えーな、マーズさん」


「竜の課題はスピードだ。リボンを操りながら、自身の速度を高めろ。私の刀より速く動けるようになれ」


そこへ大倉が寄ってきた。


「ジュピター、俺にも稽古をつけてくれませんか」


腰には二丁のオートマチック拳銃。


「大倉、その拳銃は三十八口径だな。マグナム弾は高価だからな」


「そうです。人間や動物相手なら問題ありませんよ」


「恐竜と戦ったことはないだろう。恐竜やキメラには通用しない。その銃では森に入らないほうがいい」


大倉はさくらをちらりと見た。さくらも彼を見返す。視線を意識した大倉は、思わず虚勢を張った。


「恐竜ですか。戦ったこと、ありますよ」


拳銃を構える素振りをする。


「目を狙うんです。目から撃ち抜いて脳まで貫通させるんですよ」


ジュピターは静かに頭を下げた。


「すまないが、森には入らず、村で人々を守っていてくれ。頼む」


「僕と立ち合ってから決めてください」

「仕方がない。私の弟子と戦ってもらおう」


ジュピターは振り返り、大声で呼ぶ。


「竜! 来てくれ」


やって来た竜に言う。


「おまえはマーズの弟子だな。つまり、マーズの友人である私の弟子でもある」

竜は意味がわからず目を瞬かせた。


「え!!」


「私の弟子として、大倉と練習試合をしてくれ」


さくらは心の中でつぶやいた。


(初めて見たわ。これがパワハラなのね)


ジュピターは大倉に告げる。


「私の弟子だ」


そして竜の耳元で小声で囁く。


「老眼で小さな銃弾が見えにくいのよ。代わりに戦ってちょうだい」


竜はため息をついた。


「分かりました」


ジュピターが高らかに宣言する。


「大倉! マーズは負けたことがない。そして私も負けたことがない。つまり、竜も負けたことがないはずだ。遠慮なく撃ちまくれ」


実際には、竜は何度もマーズに負けているのだが。


「ジュピター、何を言って……」


大倉は突然、一丁で撃ってきた。だが指の動きを見た竜は、すでに走り出していた。リボンの障壁を張り、銃弾を弾く。


大倉はもう一丁を抜き、二丁で足元と胸を同時に狙う。


「二丁拳銃を自在に操るか。避けるだけで精一杯だぜ」


竜は大倉の周囲を走り、弾をリボンの障壁で弾きつつ距離を詰める。


「弾切れまで待つか……いや、いい練習台だ。銃弾を避けながらリボンを飛ばせばいいだけだ」


フェイントを織り交ぜて走りながら、逆方向へ切り返した。


一瞬、大倉の照準が遅れた。その瞬間を逃さず、竜はリボンを放った。

そして、大倉の足に巻きつけて引き倒した。


「そこまでだ」


「待ってくれ、まだ撃てる」


「真剣勝負なら、足を切られていたぞ」


大倉は立ち上がる。


「それでも僕はキメラ退治についていきます。十六歳の少女が行くのに、置いていかれるわけにはいきません」


「……そうか」


ジュピターは、それ以上何も言わなかった。




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