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-MURDER RAVEN-  作者: リセット
《第一章》
3/6

第3話 街でのイザコザ

 初任務を終えた二人は、任務の報告をした後打ち上げに行くことにした。

「「「「お疲れ様~!!」」」」

煌壱(レク)のパートナー大変でしょ?言えば分かる方だから、ちゃんと文句は言いなよ。」

「は、はい。でもレクさんはすっごく優しいし、強いので助けられてばっかですよ。」

 初めは二人で行く予定だったのだが、ちょうどレクの方も初任務が終わったらしく、共に打ち上げをすることになった。

「チユリちゃんって、能力なんなの?」

「私の能力は、傷を治す能力です。まあレクさんの、反射させる能力のおかげで今のところ出番無しですけど。」

 チユリと吹雪が話している間、ゼロとレクは今後のことについて真剣に話していた。

「一旦、鬼人流を使わないようにしろ。お前はあれに頼りすぎだ。」

「でも、鬼人流を二連続で使えるようになれば、勝ち目のなさそうな敵にも勝てる気がするんだよ!」

「それはどうかな。本当に勝ち目がない敵は、きっと隙がない。そうなれば、鬼人流は使えないだろ。」

「そんなこと言ったら、お前の獣人流もだろ。」

 レクが扱う流派、獣人流(じゅうじんりゅう)

それは様々な獣の動きを再現し、強力な技を放つ流派。鬼人流よりも威力は落ちるが、体力の消耗にかなり少ない。

 そんな真面目な話をしていると、吹雪が気に食わなそうな顔で見てくる。

「なに真面目な話してんの...打ち上げだよ?テンション上がるような話しないと。」

「そうです!私、もっとお二人のこと知りたいです!」

「な、なんでチユリも乗り気なんだ?」

 昔から吹雪は話し方が上手い。なんというか、実際に体験しているように感じさせる話し方をする。きっと、モロにその会話術を受けてしまったんだろう。

 そう思いながら純粋な目で詰め寄られているレクを見ていると、吹雪が言ってきた。

「あん時の怪我、大丈夫なの?」

「え?ああ、任務の時のやつ?」

「そう。相当ダメージ受けたでしょ。」

 少し不安そうに見てくる吹雪に、服をめくって腹部に巻かれた包帯を見せて、大丈夫だ。と言うと、どこがだよ。と言いたそうな目で見てくる。


 そんなこんなで時間は過ぎていき、打ち上げは終わりを迎えた。

 四人でRAVENまで歩いていると、何やら揉め事が起きているのが見える。

「レク達は先行ってていいよ。」

「ゼロ、武器持ってないんだから気を付けろよ。」

「分かってるよ。」

 揉めている小太りの男性とスーツ姿の女性に話しかけると、男がいきなり怒鳴ってきた。

「お前に関係ないだろ!」

 いきなり怒鳴られるとは流石に思っていなかったので、少し狼狽えた。

「あの、その人と何か関係は?」

 優しい口調で女性に聞くと、首を振った。なんとなく状況を理解したゼロは、ゆっくりと二人に近付き、二人の距離を話した。

「なんなんだお前!年上に失礼だとは思わんのか!」

「失礼...確かにそうですね。なら、失礼を承知の上で聞きますけど、どうして揉め事になったのでしょうか?」

「揉めてなどない!そいつが俺の財布を盗んだから取り返そうとしているだけだ!」

 ゼロは女性のことをしばらく見つめた。見られることに動揺した様子はなく、財布を盗んで隠すような場所もかなり限られている。

「取りましたか?」

「いえ、絶対に取ってないです。」

「・・・しょうがない。僕にそういう権利はないので、警察に任せます。」

 そう言って、スマホを取り出して警察に連絡しようとした途端、男が走って逃げ出した。

追えば追いつくが、念の為警察に連絡をする。

 しばらくして警察が到着し、ゼロは詳しい状況を話した。

「なるほど、分かりました。でしたら、こちらにお任せ下さい。」

「あ、男の方は僕が探しますよ。」

「いえ、市民の方にご協力をお願いするというのは、難しくてですね...」

「僕はRAVENの者です。人探しなら、自信あるので。」

 RAVENの名を聞いて警察は困惑した。政府公認の暗殺組織ではあるが、市民に公表している訳ではない。

それは警察にも言えることで、上層部の暗殺者と関わることがあるような者のみがRAVENの存在を知っているのだ。

 困惑している内にゼロは、走り出して小太りの男が通ったであろう道を辿った。

「あの走り方だと左の方が曲がりやすい。でも、こっちは人が多いからな...よし、こっちにしよう。」


 そんな推測を繰り返して、たどり着いた先には、小太りの男がいた。

「当たった...やっぱり俺天才。さ、しっかりと盗んだもの返しなさい。」

「チッ、バレてんのか...ああ、分かったよ。ほら!」

 男はポケットから財布出して放り投げた。諦めたような顔で、ゼロを見るその目は一切反省の色が見られない。

「なに帰ろうとしてんだ?」

「あ?これ以外は盗んでねえよ。」

「盗んだ物を返したから、もう大丈夫。いつの時代の話だ?」

「ごちゃごちゃうるせえなぁ!」

 男はそう言いながら殴りかかってきた。ゼロは腕でガードしたが異様に男の拳は硬くなっていた。

「能力か...鉄にでもなってんのか?」

「そうだよ!」

 ゼロが、男の体に攻撃を当てても鉄になっているためダメージが入らない。

「ズリィだろ!」

「お前も能力を使えばいいじゃないか!もしや、そんなに弱い能力なのか?なあ!!」

「そんなとこだよ!」

 男にダメージは入らない、ゼロも攻撃を避け続けほぼ無傷。

そんな終わらない戦いを続けていると、声が聞こえてくる。

 振り向くと銀髪の少女が立っていた。

「や、やっぱり...れ、RAVENの人だよね?キミ」

「はい...あなたは?」

「油断してんじゃねぇよ!」

「あ、ダメッ!」

 突如ゼロの前に大きな木箱のような物が現れる。その中からは男の声が聞こえる。

「もしかして、あなたの能力ですか?」

「う、うん。大丈夫?怪我...してない?」

「はい、大丈夫です。」

 徐々に木箱は小さくなっていき、片手で持てるほどになった。

 銀髪の少女は、少し慌てながらもゼロの手を握って走り出した。

「あの、どうしたんですか?」

「その...け、警察の人が....」


 引っ張られるまま走ると、警察官達が何人かで話し合っている場所に連れていかれた。

そこには小太りの男と揉めていた女性の姿も。

「あ、あの...この人、ですよね?」

「そうです!ありがとうございます!」

「あと...これ、その女の人と揉めてた男の人です。」

 そう言って銀髪の少女は、小さな木箱を警察に手渡した。

「壊したら、出てきます。」

「本当に、ありがとうございます!」

 その後、しばらくゼロは警察官に怒られた。

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