初任務5
身体の周りを電気の道がほとばしる。
霊力を電気に変換することで超人的な動きを可能にする。
初代雷帝が使った拳法で戦う。
「初代の再臨とまで言われたよ。俺が勝ったらあの子を連れて行くぞ。」
「お前が初代の孫?」
周囲に電気が散るたびに周囲の取り巻きが取り乱す。
「やべぇよ。ボスは1だろ?」そう言ったやつの前に高速で移動した。
誰も俺の動きについてこれない。当たり前だ。能力者と無能力者では天と地の差がある。
この差は埋めようがない。リーダー格が俺と戦うと言っていたのはそういうことだ。
しかし下界の能力者では相手にもならない。
リーダー格がこちらにやってくる。俺が拳をかまえるとやつとの距離が大きく開いた。
「あ?」俺は大きく吹き飛ばされていた。地面に倒れ込んでいた。ありえない。
「ありえない。」上からそう聞こえてくる。
全身に強い痛みが遅れてやってきた。
「お前本当にレベル6なのか?」
震える脚を拳で叩きつけながら立ち上がる。
「もう一度聞くが神器は?」
「ねぇよ!」全身に霊力を流す。周囲が明るく光る。紫電が地面を抉る。
思い切り踏み込んで奥義を放つ。
俺の拳は何かで止められた。見えないがたしかにそこにある。
霊視してもみえない。でも、そこにある何かで身体は動かない。
「エンドルール。もうお前は動けないよ。」
「うらあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
霊力を全て電気に変換してスパークするが、それがやつに届くことはない。
次第に霊力が切れる。俺の意識もそこで切れた。
「生きてる。」
「おう。殺すなってよ。」
リーダー格の男が近くの椅子に座っていた。
「誰が?」
「アカリ。」そう言って隣を指さすと赤髪の女の子がいた。
「あんた六帝機関でもエリートなんでしょ?利用できるわ。」
「こいつがレベル6ってのはありえないぜ。弱すぎる。」
激しい倦怠感があるが身体をおこす。
「ありえないのはあんただろ。能力を使った感じが全然ない。何をされたか分からん。」
「東キミヒコよ。レベル1よ。自分ではそう言ってるけど。負けた姿はみたことない。」
「今の六帝ともやりあえるかもしれない。俺は何人かに稽古をつけてもらったから分かる。」
「本気出されてないだけじゃあないのー?」キミヒコが茶化してくる。
「たしかに六帝の方がレベルも上だけど、試合にはなるさ。」
「ん?待て待て、今の六帝はレベルいくつなんだよ。」
「現在六帝になるための基準はレベル10だよ。」
キミヒコが心底バカにした顔をしてくる。むかつく。