初任務4
「せんぱーい。」
周囲に人影を感じない。ヒートが燃やしたからみんな逃げていった。
と思ったが、女の子や2人も居ない。移動するなら連絡くれよ。
不意に視線を感じた。囲まれている。足元に何かが転がってきた。
首だ。俺がこのあと嫌味を言われる予定だったはずの2人の首だった。
「意外と肝が座ってるじゃあないか。もっと取り乱してくれると助かるんだがね。」
首を投げたやつが言う。
「あんたは?」
「ここを管理してるものだよ。勝手にだがね。」
「俺たちがアトラスの人間だって分かってんだよな?」
「お前らこそ協定違反なのは分かってんだよな?」
しばらく睨み合う。
「二度は言わない。帰りな坊主。お前みたいな子どもは殺したくない。」
「任務なんだ。年齢なんて関係ないね。2人失って何の成果もないまま帰れない。」
「ふぅん。心意気は立派だね。でも命あってこそだろ。そうなるぞ??」
「こいつらと俺は違う。こいつらのレベルは4だが、俺のレベルは6だ。」
そう言うと取り巻きが騒ぎ出す。口々にありえないと聞こえてくる。
「そいつらがレベル4?そんでお前がレベル6?ハッタリだろ」リーダー格が言う。
「試してみるか?」
「そいつらは俺が切った。」
「わかった。お前を殺すよ。」
「ボス」リーダー格の隣のやつが話している。
「お前らはアカリを連れて逃げろ。どのみち能力者なら俺が相手する。」
「でも、レベル6って言えばアトラスを作った6人を同じじゃあないっすか。」
「不安そうな声を出すな。俺が帰ってこなかったらお前がリーダーだ。」
「アカリってのは赤髪の子だろ?」そう聞いたが返事はない。
「あの子を差し出すならお前らは見逃してやるよ。俺もお前らみたいなやつを殺したくない。」
勧誘というよりも交渉が始まった。女の子相手よりもこっちが楽だ。
リーダー格がいぶかしんだ表情をしている。しかしすぐに気を取り直した。
「お前レベル6なんだろ?神器は?」
「あ?ねぇよ。素手で十分だよ。」取り巻きたちが一斉に何かをこちらに向けた。
「やめろ。たしかにこいつには魔具だときびしい。俺がやる。」
なにか勘違いされているらしい。そんな銃みたいなものは俺には効かない。
大きく息をすって力をこめる。周囲に霊障が起こる。紫電がはしる。
「雷帝・・・」リーダー格がつぶやく
「そう俺は六帝機関創設者の1人雷帝の孫だ。」