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見つめていたい

作者: 駒友四季

どこかで聞いたラブストーリー。

 私には理想の家族像がある。優しい旦那さん、かわいいお嫁さんに愛くるしい娘さん。そんな理想の家族に、私の上司がまさに当てはまっていた。


 年に一度の従業員懇親パーティーで初めて上司の家族に出会った。夫を支えていることが一目でわかる一歩下がった妻と、つまらなさそうにつないだ手にぶら下がろうとするおべべを着た幼い女の子の姿を見た時から、私の頭の中の妄想が書き換わった。上司の横に私を配置することから始まるいびつな形だった私の愛は、この家族を壊したくないという思いが加わり、もう一段階いびつな形に置き換わっていった。


 そこから私のプレゼント攻勢は、上司だけではなく妻子に向けられる回数が増えていった。同性であることやもともと子供が好きだったことから、アクセサリーや観葉植物、おもちゃといったものが主なものになった。そのおかげか上司の家に招かれるようになり、一緒に食事をする機会も増えていった。回数を重ねるたびに、上司の家に私のプレゼントしたモノが増え、学生時代に空間デザイン系の勉強をしていた私は、どれをどこに配置すれば効果的かを実際にモノを配置しながら上司夫妻に伝えるのだった。



 パソコンモニターが何台も並んだ部屋。まるでデイトレーダーのような部屋は、とうてい女性の一人暮らしの部屋には見えなかった。確かにその周りにはドライバーやネジなどの工具類も転がっている。

会社から帰ってきた私は、すぐさまパソコンをクリックすると、スリープしていた画面が起き上がる。もうしばらくシャットダウンをした記憶がない。パッ画面が現れるとまるで監視カメラのように、たくさんの画面から一つの家族の映像がライブカメラで表示された。


――ただいま――


 今日も私は理想の家族と一緒にいる。


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