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中途半端は大変です!  作者: 平下駄
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幽霊の証明(3)

 放課後になり、ソラは一人探偵部の部室に向かう。しかし、もうすぐ夏休みか。補習と宿題以外にもきちんと勉強はやっておかないとな。あと、探偵部の活動はどうなるんだろう? 先輩からその手の話は全く聞いていないので、ちゃんと確認しておこう。


 そういえば夏休みどういう風に過ごそうかな。ミナミとかとどこか出かけたり、お盆の頃には実家に帰省したりもしたいな。陸上部の都合とかも聞いておかないとな。火野ちゃんや水戸ちゃんは勉強で忙しいのかな? 遊びに行くときは街まで降りて往復する時間を考えて予定立てとかないといけないし……。


 そんなことを考えてボーっと歩いていると、ソラの目の前に一枚の紙が差し出された。


「これ、どうですか?」

 渡された紙には「オカルト部、部員募集中!」と書かれてある。こんなものは普通四月とか遅くても五月くらいに、一年生がまだ新入生と呼ばれている時期に配るものだろう。なぜ、今夏休み前の七月にこんなことをしているのか、ソラは単純に疑問に思った。


 ソラはもらった紙から目を上げて、配っている生徒の顔を見る。どこかで見たことあるような、ないような。そんな印象である。そして今度は上履きの色を見る。この学園では、一年は赤、二年は緑、三年は青という風に学年カラーが存在し、上履きなどの学校用品に取り入れられている。


 そして、このビラ配りの男子生徒の色は赤。つまり、ソラと同じ一年生という訳だ。それならソラがどこかで見たことあるかもというのは、あながち間違いではなかったらしい。ソラはあまり人の顔と名前を覚えるのが得意じゃない方である。知っているはずの人のことを忘れる夢路程ではないが。


「部活ですか。どうしてこんな時期外れに部員集めなんてやってるんです?」

「それは、僕が一年生だから新しい部活を作るには色々と前準備が必要で」

 同じく新しく部活を立ち上げたソラは当時のことを思い出す。


『昨日今日ですぐ立ち上げられたけどなあ』

 まあ、あの時は部室や部員について夢路が用意していたも同然だったというのも関係しているだろうが。


「新しい部活ですか。既存の部活でなく?」

「うん、そうだよ」

 ソラは少し驚く。てっきりオカルト部はすでにあるものだと思って話を進めていたためである。つまり、この勧誘には創始者の一人にならないか? という意味も含まれているのだ。正直、ソラは部活を掛け持ちする余裕も気持ちもないため、丁重にお断りしよう。


「私は結構です。そもそもオカルトについてよく知りませんし」

「それは大丈夫だよ。入部してからでもしっかり勉強すればいいんだから。ちゃんとした本だってたくさんあるし」

 まずい、攻める方向を間違えた。次は違う方向で。


「実は私、すでに部活に所属してまして。残念ですが今回は遠慮させていただきます」

「そうですか……」

 明らかに目の前の男子生徒が落ち込む。


「ちなみに何の部活に入っているんですか?」

「私は探偵部です」

「え! あの探偵部ですか? 噂は聞いてますよ、今年出来たばかりの部活なのに多くの生徒が利用してるって。ということは今際さんですか?」

 急に元気になって忙しない人物である。


「はい。そうですけど、探偵部の盛況ぶりは先輩部員の方のおかげでして。

「ああ、夢路さんかい? あの人もすごいらしいね」

「先輩のこともご存知なんですか?」

「そりゃもちろん。『眠りのリュウ』って言ったら有名だからね。どんな授業でも寝てばっかで、起きてる姿を見る方が難しいとか言われてるよ」


 そんな、人をどこかの名探偵に麻酔でいつも眠らされている奴のようなあだ名で呼んでいるとは。しかも、推理力でなく睡眠力の方で評価されているとは。一体誰がつけた名前なのだろう。


「でも今際さんはすごいね。僕なんかまだ部員一人も集められてなくて。これじゃあ五人揃う未来が見えないよ。何かアドバイスとかない?」

 唐突に求められた助言をソラはなんとか捻り出す。

「活動内容が不透明なのも関係あるかもしれませんね。何するか分からない部活には、中々近寄りがたいですし」

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