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中途半端は大変です!  作者: 平下駄
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密室の消失(11)

 一方の夢路は部屋に戻って早々にベッドに寝そべり、天井を眺める。宣言通り昼寝に入る。とはいえ、事件のことも一応は考える。

 まずは事件の概要を整理するか。まず、昨日の夜一時頃に火事が発見されて、それから…………。




『火事 プール倉庫 鍵かかる 窓なし 密室 ファイア 外倉庫 使われていない さらし粉 ダンボール ウォーター……カジプールソウコカギカカルマドナシミッシツファイアソトソウコツカワレテイナイサラシコダンボールウォーター……クライヌレルネツ……暗い 濡れる 熱』


   ***


「…い、先輩。いい加減起きてください!」

「あ? なんだチビ助か。もう一時間か」

 起きると、さっきまで陽の光で明るかった部屋がまるで夕暮れのように暗くなっている。まさかな、そう思って夢路が時計を見るとちょうど六時半になったところだった。


「時間になったから先輩の部屋に来てみたら爆睡してて。起こしても全く反応がないからさすがに焦りました。それにしても寝過ぎじゃないですか?」

「いっつもこんなもんだ。気にするな」


「そうですか。それより宿題まだ終わってないんですか? これ午前中に須藤先生と話してたやつですよね。全然進んでないし」

 ソラは机の上に放り出されているプリントに目をやる。


「やろうと思ったけど、いまいち興味が湧かん。CH3COOHとか長すぎんだよ」

「一年生の時に習う単元の復習プリントですか」

 火野も同じように覗き込む。


「そんなことじゃ後々テストの時に泣く羽目になるのが目に見えてますよ。それはともかくとして、事件のことは何か思い付きましたか?」

「ん? ああ、それならもう犯人分かったぞ」

「ふーん、犯人が分かった……え? 犯人が分かった!?」

 ソラだけでなく火野も目を見開く。


「そうだ。情報はもう足りてたんだよ。だから後は犯人にご対面って訳だ」

「先輩、考えるって言って結局寝てただけでしょ? 大丈夫なんですか本当に……」

 後輩の不安など露知らず、夢路は部屋を飛び出す。


   ***


「それで何ですか? 話があるって言ってましたけど、わざわざこんなところまで来る必要があるんですか?」

「まあまあそんなにカッカするなよ。あんまり人に聞かれたくないと思ってな」


 夢路とソラと火野、そして水戸の四人は、暗くなって人気が全くない寮の裏に集まっていた。一つしかない外灯の下で、まるで怪しい相談でも始めようとしているみたいに。しかし、実際にはそんな相談をするためではなく、夢路が水戸を呼び出し、ソラと火野はこれに同席しているだけである。


「話ってのはよ、例の火事のことについてだ。あれの犯人が分かったんだよ。だからお前さんには先に教えておこうと思ったんだよ。今朝の話だとお前も犯人気になるだろ?」

「ええ。でもよく分かりましたね犯人なんて。しかも今日一日だけで」

 水戸は一瞬表情を強張らせたが、すぐにいつも通りに戻る。


「勘と運が良かっただけさ」

「それじゃあ、聞かせてくださいよ。私の推理を否定した、夢路先輩の推理を」

『揺さぶりは効果ナシか。まあ、予想通りだけどな』

 夢路はゆっくり口を開く。


「事件が発生したのは昨日……じゃないな正確には。事件発生は今日の午前一時。出火元はプール倉庫の中から。出火原因は分からず。そして発見されたのはそれから約三十分後。これは間違いないな?」


「ええ。警察の方がそう説明してくれたました。倉庫は跡形もなく燃えて、屋内プールの屋根にまで火が広がった」

「そして俺達が調べたところによると、現場の倉庫に事件が起こる前に最後に入ったのはお前。これもいいか?」

 水戸が首を縦に振る。


「ちなみにもう一度お前が倉庫に入った経緯を聞かせてくれないか?」

「昨日の午後、用務員さんの代わりに私は業者からの荷物を、倉庫まで持っていった。その時に鍵を借りましたが、後でちゃんと返していますし記録も残っています」

 事実の確認が淡々と続く。

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