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中途半端は大変です!  作者: 平下駄
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密室の消失(9)

 夢路は話を整理する。

「つまり善さんは昨日倉庫には行っていなくて、代わりに生徒が行ってくれた」

「うん。行こうとはしたんじゃがな」


「その生徒さんの名前って分かりますか?」

「覚えとるぞい。水戸、と言っておった」

 ここで水戸の名前が出てくるとは。ソラは今朝の一幕を思い出す。


「そうですか。ちなみにその時は、鍵ってどうなってたんですか?」

「ああ、ワシが鍵を借りてきて運ぼうとした時にその生徒さんがやってきて、その時に鍵を渡した。そして三十分くらい経ってから鍵を返しにきてくれて、その後ワシが元の場所に戻したのが最後じゃった。おかげでワシは警察に根掘り葉掘り聞かれて」

「すいません、色々聞いちゃって。参考になりました」

 夢路は軽く頭を下げる。


「これくらい構わんよ。ところで君達は火事について調べとるのかい?」

「ええ、まあ」

「頑張ってくれよ。考えたくないが、もしこの学校に放火魔がおると考えると、あまりいい気分はせんからな」


「そうですね。絶対に犯人を見つけます」

「おお、頼もしいのー」

 火野が堂々と返事を返す。勝手に安請け合いされてしまったが、これから犬猿の仲とも言うべき水戸に話を聞きに行かないといけないというかなりの難題が発生してしまう。


   ***


「厄介なことになったな」

 用務員室の扉を閉めた途端、ため息をつく夢路。

「例の委員長だろ、どうする?」


「火野ちゃんって意外と漢気あるね。まさか犯人捕まえるとまで言っちゃうなんて」

「それは、売り言葉に買い言葉というか。あたしの疑いを晴らすためにはそれが一番でしょ?」

 火野の言うことはもっともである。


「チビ助、今度も先頭頼む」

「私だって別にそんなに仲良くないですよ。むしろ悪い方かも。今朝の一件の直後だし」

「今朝のは今際が無意味に男気出したからでしょ。あたしは力になれそうにないからお願いね」


「はーい。火野ちゃんがいるとさらに悪化するかもしれないから、部屋で待機してて。先輩は一応来てください」

「まあ、その方が探偵部で動いてますって言えるか。部外者が間に割って入る立ち回りもあるだろうしな」

 珍しく面倒くさいとは言わない夢路。なんだかんだ夢路にもやる気の火が灯ったようである。


   ***


 再び一年女子寮に戻ってきたソラ達は、まず水戸の部屋がどこにあるのかを確認した。三階の左端から二番目。

 そして一旦ここで二手に分かれる。火野は自分の部屋、ソラと夢路は水戸の部屋に向かう。


「うまくやってね」

「最善は尽くすよ」

 ソラは後ろに向かって手をヒラヒラさせて、階段を上っていく。


「三階まで登ると結構疲れるな」

 夢路は気だるそうに呟く。

「気合い入れていれてくださいよ」

 ソラがノックをすると、中から誰ですか? と声が返ってきた。


「今際です。探偵部の活動中なんですけど、ちょっと聞きたいことがあって。お邪魔してもいいですか?」

「……はい、どうぞ。鍵は開いてますから」

 許しを得たのでソラはドアノブを回す。


「お邪魔します」

「同じく。初めまして、探偵部二年の夢路です」

「水戸です。色々噂は伺っていますよ、探偵部でもそれ以外でも」

 水戸は真っ直ぐ夢路を見つめる。敵意なのか何なのか、夢路は気を逸らそうと試みる。


「ふーん、しかし二人部屋ってこんな感じなのか。当たり前だけど、一人部屋よりも広いな。お、水飲み鳥じゃん。懐かしいじゃねーか。俺ん家にもあったな、これ」

「先輩、勝手に人のものを物色しないでください。何か聞きたいことがあったんですよね? 早く済ませてください」


 思ったよりもすんなり部屋に入れてくれたから友好的なのかと思ったら、とことん嫌われているらしい。めんどくさくて嫌なことはさっさと終わらせたいというのには共感できるが。


「じゃあ単刀直入に。お前さん、昨日の午後にプール倉庫に入ったらしいな。燃える前の中の様子ってどうなってたか教えてくれよ」

 夢路は本題を伝える。

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