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中途半端は大変です!  作者: 平下駄
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密室の消失(6)

 そういえば、昨日夢路とソラが共有した夢。あれはプール倉庫に向かう犯人のものだったのだろう。まだ火が付いている様子もなかったし、野次馬なら走って現場に向かうはずだし。


「あんたもさっさと食べなよ。これからするんでしょ、調査」

 空になったトレイを一足先に返却口に持っていって、再び席に座る火野。ソラは色々考えていたため、箸が全く進んでいない。


 少し急ぎながらソラは食事を済ませる。ソラと火野は火事についての調査を始めることになった。

「とりあえずどうする?」

「まずはやっぱりあそこかな」

「ん? どこ行くんだ」

 ソラは火野を先導してどこかに歩き始めた。


   ***


「七時五十分、早起きだな」

 二年男子寮の一室。夢路は時計を確認しながら呟く。やっぱり俺は自分一人で早起きが出来る、良い子のようだ。小学生レベルのことに満足しているが、これは俺の人生の課題でもあるのだから、馬鹿にはしないでほしい。


 ちなみに今日俺が見た夢は「寮の玄関で自分の靴の靴紐を自分で踏んでコケる」という何ともしょうもないものだった。けど、全て自分の責任である不幸なので悪い夢ではない。こんなくだらない夢を毎日見れれば、俺も気持ちよく朝を迎えることができるのかもしれないな。ベッドの上で、一人独白を続ける夢路。徐々に瞼が重くなる。まどろみに再び誘われていく。


「先輩、起きてください!」

 その瞬間、突如部屋の扉が勢いよく開かれる。

「……今日は日曜だぞ、チビ助」


「はい、知ってます。だからっていつまでも寝てていいわけじゃないでしょ?」

 どうせ桐生がいないからなどと考えていたのだろう。しかし、そうは問屋が卸さない。


「はあ、勘違いであって欲しかったな。それと、後ろのは初めまして?」

「はい、初めましてです」

 上体を起こす夢路。


「俺は二年の夢路、こいつと同じ探偵部の人間だ」

「私は、今際のクラスメイトの火野です」

 簡単に二人は自己紹介を済ませる。


「お前、ちゃんと友達いたんだな。全く話に聞かないからちょっと心配してたぜ」

「失敬な! ちゃんといますよーだ」

「で、そのお友達とわざわざこんな日曜の朝っぱらから何の用だ?」


 若干不機嫌そうな声色の夢路。ソラは昨日発生した火事について夢路に説明した。

「なるほどねえ、そんな騒ぎがあったのか」

 案の定、夢路は昨夜夢の中にいたようだ。


「先輩の昨日の予知は、おそらく犯人のものですよね?」

「十中八九間違いないだろ」

「改めて考えると、とんでもない確率ですね」

 ソラは昨日の光景を必死に思い出す。


「今際、予知って何?」

「先輩の能力が、予知夢を見る力なの」

「なるほど」

 火野は一瞬で状況を把握する。


「それで、夢路さん。実際犯人の当たりとかって付いたりしてます?」

「さあねえ。とりあえず、ご飯食べてからでいい?」

 夢路はゆっくりと立ち上がった。


   ***


 食事を済ませ夢路達がまず最初に向かったのは、実際に火事が起こったプール倉庫だ。

「へえ、結構すごい火事だったんだな」

 規制線が引かれている奥には、真っ黒になった倉庫の残骸と、焼け焦げて壊れたと思われる屋内プールの屋根とがまとめて置いてある。地面の真っ黒な感じからしても中々のものだったのだろう。


「まあこの辺はあんまり人の目も届かないところだし、気づいたのが相当後だったんじゃないですか」

「確かに。しっかし、火事や地震でも寝てたら気づかないのは俺だけじゃなかったってのにも驚いたぜ。金髪ちゃんもかい?」

 ソラはひとまず置いておいて、火野もまた昨日は野次馬に参加していなかった様子である。


「ええ。生憎眠りの深い鈍感な女でして」

「けどもう一つ驚いたのはお前さんの能力だよ。まさか苗字が火野でファイアとはな。さしずめケチつけてきた委員長の水戸は、ウォーターってところか」


「……冗談みたいに聞こえるけど、それ事実ですよ」

 ソラが真面目に答える。

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