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中途半端は大変です!  作者: 平下駄
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写った被写体(5)

 更衣室前に着くと、ちょうどそこで皆が集まってガヤガヤ話している。なんとか間に合ったか。それにしても、マキさんと柊さんこの二人、足がとにかく速い。少しは文化部の身も案じて欲しいとソラは切に願う。


「皆、ちょっと聞いてくれ。今日の事件について整理したい。細かいことを忘れないうちに」

 パン、と柊さんが手を叩くと皆が話を止め、そちらを向く。


「まずは事件が起こる前。私達はもうすぐ大会ということもあり、最近いつもよりも練習を早めに切り上げている。そして、更衣室に入って着替え始めたのは六時前。ここまではいい?」

 六時前、というとソラがまだ教室で委員会の作業をしている頃である。


「着替えている間に、午後六時のチャイムが鳴ったのは、皆聞こえていたはず。その約五分後、確か大島が叫んだ?」

「うん、窓の外に人影が写ってたから、私とっさに『覗きー』って。そしたら、それに反応して皆が」

 その時の声が、ソラが生徒玄関を出るところで聞いたものであろう。


「で、そのあと柊がすぐ外に出て追いかけてったから私達もそれの後に続いたわ」

 そして、校舎裏のあの状況に行き着くわけか。

「ここまでの話で何か聞きたいことがある人は?」

 ソラのために設けられた質問コーナーである。


「はい。大島さんは犯人の影しか見てないんですか?」

「ええ。更衣室の窓は曇りガラスで、一瞬しか見てないから」

 第一発見者からの犯人の容姿についての情報はナシか。


「じゃあ次に、みなさんで覗きを追いかけに外に出たと言っていましたが、その際にすれ違った人とか、近くにいた人は田村さんしかいなかったんですか?」

 この質問を投げると、皆がまたザワザワ話し始める。一応確認を取っているのだろう。


「とにかく夢中で追いかけてたから、絶対とは言い切れないけど、ここにいる全員が見てないって言ってるわ」

 代表で柊さんが答えてくれる。思い込みによる見逃しじゃないのを祈るしかないか。 あまり有益な情報は出てこなかったが、事実確認はできたのでよしとしておこう。


「うん、なら今日は解散。色々あったけど、もうすぐ大会だから集中してね」

 柊の鶴の一声で、この場にいた陸上部員達は寮に帰っていった。

「あまり今際さんが期待していたようにはならなかったね」


「まあ、予想はしていましたから。ああやって話をまとめてくれてありがとうございました。いちいち一人一人に話を聞く手間を省いてもらって」

「そんなに感謝されるようなことはしてないさ」

 やはりこの柊さんは賢い人なんだろう。聡明な人、と言った方が正確だろうか。ソラは感心している。


「では、私達も寮に帰ろう。もう夕食の時間は始まっているし」

 夕日も完全に暮れてしまって、辺りは真っ暗になる。二人も部員たちと同様に急いで帰る用意を終わらせた。


「柊さん、今日はありがとうございました」

「別に大したことはしてないよ。じゃあ二人とも、また明日」

 柊は寮の方へと向かった。


「それじゃあ私たちもリュウ起こして帰ろっか」

 ソラと桐生は再び探偵部部室を目指す。今度は徒歩で。

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