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中途半端は大変です!  作者: 平下駄
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規格外の正体(4)

「もしかしたら、俺の管理ミスで起こる不幸なのかもな」

「リュウが不幸を予知しといて、その原因がリュウ自身ってこと? なんか笑えない感じだね」

 何というか不思議な現象だ。自己完結しているとも言えなくはないが。


「まあ、なら気をつけてね。事前に分かっているのならちゃんと対策できるでしょ。何より、自分自身が招くことなんだから」

 おいおい、簡単に言うなよ。俺の予知は絶対なんだぞ。変えたくても変わらないのが目に見えている。しかも、どうせ怒られるのが俺一人なのだから、別に予知通りに事が運んだってどうって事ない。夢路は桐生の忠告を無視しようと割り切る。


「まあ、用心するよ」

「本当に? 自分一人の責任で済むなら大した事ないとか考えてるんじゃないの?」

 中々核心を突いてきた。コイツ、俺の心を読んでいるのか?


「そんなことはない。もうそろそろ俺は寝る。お前も少しは休め」

 そう言い終わって、夢路は目を閉じる。無理やり話を終わらせたが、桐生は何も言ってこない。コイツも本音では眠たいのだろう。数分後、夢路より先に寝息を立てていた。まさか、睡眠において先を越されるとは。これは想定外だ。まあ、こんだけ早く眠れるところを見ると、緊張はしてないみたいだな。中学から場数を踏んでいるからか。夢路は昔の思い出に想いを馳せる。


 そういえば、コイツの勇姿を見に行くのはいつ以来だろう。小学生の時にはチラホラあったような。いや、中学でも何回かあったか。孤児院のやかましいガキどものお守りとセットで行った気がする。あれが確か三年生の頃か。ああ、最後の大会だからみたいな感じだったな。その大会で全国行きを決めて、って流れだった。


 学校中が大騒ぎして、時期も時期だっから推薦も山程声がかかっていたな。でも、マキは結局桜坂学園を選んだ。別に陸上部が有名なわけでもない。特徴的なところは、能力者だけが集められている国立の学校ということくらいだろう。まあ、学費全額免除っていうおまけに俺は飛びついたけど。


 そして、マキもここを選んだ。別に俺のように金銭的な問題があるわけでもない。たとえお金に貧窮している状況だったとしても、推薦ならそれくらい改善してくれる条件も付いているだろうに。加えて、少なくはなっているだろうが能力者への偏見等はまだ残っている。マキのような、特に副作用もなく意識的に発動できる能力なら、一般人に紛れ込むのなど容易いはず。


 それでもマキが桜坂学園を選んだ理由、そういえばちゃんと聞いたことは一度もなかったな。自然と気づいたらまた同じ進路だった、という記憶しか夢路にはない。本人が隣にいるんだしちょっと聞いてみるか、と思ったが寝ているところを起こすのはさすがに忍びなかった。眠りを妨げられるのがどれほど嫌なことなのかは、夢路が身をもって知っている。俺もそろそろ寝るか。


 はあ、どうして寝たいと言っているやつの方が起きているのだか。夢路はふと窓を見る。まだ完全に陽は昇っていない。今どこを走っているのかも分からない。ただ、目の前を山がいくつもいくつも通り過ぎている。天井のシミを数える、頭の中で羊を数える、そして過ぎ去る山を数える。どれも中々オススメの睡眠導入法だ。


 そういえば、チビ助は大丈夫だろうか。忠告はしたが、相手は海千山千の超研会。何も知らない十五歳の扱いなどお手のものだろう。しかし、再検査か。ただ追加で調べたいだけのくせに、一丁前にそれらしいことを言いやがる。これだから、やつらは信用出来ない……。もう一つ、後輩の心配をすることも安眠法に加えておこう。

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