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中途半端は大変です!  作者: 平下駄
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屋上からの失踪(12)

「じゃあ犯人は今日休んでた人の中には居ないということですか? 結局、そうなるとふりだしに戻っちゃいますよ」


 残念そうに下を向くソラ。しかし、

「おいおい、そうは言ってないだろ。鬼丸は犯人じゃなかった、それは正しい。でも、やっぱり犯人はもう絞り込めてるんだよ」

 いまいち夢路の言ったことが伝わってないのか、ソラと桐生は首を傾けている。


「よく分かんないけど、あんたがそう言うならそうなんだよね」

 やっぱり分かってなかったようだが、強引に納得してくれた。

「よし、じゃあ行くか!」

 ここに長居するのも保健の先生に悪いだろうと思い、夢路はベットから立ち上がる。


「じゃあ、ってどこ行くの?」

「まあ、ついてこいよ。どうせメシまで、まだまだ暇なんだから」

 夢路の後を少し遅めの足取りでついてくるソラと桐生。まるで夢路が奇行に走っているのを心配するような目で見ているが、当人はなんのその。今回の事件の全貌は果たして。


   ***


 保健室を後にした夢路たちは、いつも通り学校が終わったら帰る寮へ向かう。同じ構造の建造物の中から夢路が選んだのは一年生の女子寮だった。ソラはいつもの帰路のような気分だが、目の前には夢路と桐生がいる。


 玄関に置いてあるこの建物の部屋割りを確認して、階段を上っていく。夢路はどんどんと進んでいき、気づけば三階にまで到達する。そしてそのまま奥に進み、ある部屋の前で止まる。夢路は間髪入れずノックをする。


「津村、夢路だ。今いるか?」

「何ですか? 夢路さん」

 ゆっくりと扉が開き、津村が顔を部屋から出す。


「よかったよかった。早退したって聞いたから、まだ帰ってないかもと心配したぜ」

「それで、私に何か用なんですか?」

「そうそう。悪いけどちょっとついてきてくれないか? ここじゃアレな話だから」

「……分かりました」


 津村は少し間をおいてから返答する。いくら何でも今朝知り合ったばかりの人間の誘いは、誰だって身構えてしまうものだ。


「あ、桐生さんも一緒だったんですね!」

 明らかに先程の態度と一変する。夢路ではなく桐生が交渉すれば良かったのではないのだろうか?


「明日の大会、調子はどうなんですか? やっぱり前日は食べるものとか気を使ったりするんですよね」

「うーん、する人はするんだろうけど私は別にないかな。強いて言うなら、朝が早いから早く寝るくらいだね。やっぱり、スポーツでも何でもいつも通りの平常心が大事だし」


「へえー、平常心か。なんか桐生さん、もうプロみたいなこと言いますね」

「えー、そんなことないよー」

 後ろで世間話が繰り出されている最中、ソラは先頭の夢路にこっそりと話しかける。


「……先輩、どこに向かってるんですか?」

「お前さんが帰るべき場所だ」

「は?」

 夢路が二階のとある部屋の前で立ち止まる。


「よし、じゃあ入ってくれ」

「ちょっと、ここって私の部屋じゃないですか!」

「ここが一番近かった。さあ、どうぞ」

 ソラの激しい指摘に、夢路はいつもの調子で扉を開けて皆を誘導する。ソラは若干顔をしかめながら渋々帰宅する。


 こうして二人部屋に四人入ることになったが、入ってみると結構狭い。別に身体が触れ合うほど狭いわけではないが、視界的に圧迫されている感じだ。


「それで、話してくださいよ。私を呼んだ訳を」

 床に正座する津村。言われなくても始めようじゃないか、夢路は一つ息を吐く。


「実は今日、俺達の周りである事件が起こったんだよ」

「へえ、それは一体どんな?」

「盗難だ。盗まれたのはコイツの陸上のユニフォーム。明日の大会で使うから早急に必要なものだ」

「盗難って、どうしてそんな簡単に言えるんですか? ただの置き忘れかもしれないじゃないですか」

 津村は普段の調子で返答する。


「いや、それがよ。実はコイツが犯人を目撃してるんだ。俺達がちょうど体育の時間だった時、たまたまケガして教室に絆創膏を取りに行ったんだ。そしてその時、犯人の姿を見た。しかし、カーテンが閉まってて暗くて詳しいところまで見えなかったそうだ」


「それが私だと言いたいんですか? でも、それってまずいつのこと何ですか? 私は二限目に早退しています。つまり、それ以降は学校にはいませんよ」

 少し言葉に力が入ってくる。

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