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中途半端は大変です!  作者: 平下駄
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表裏一体(2)

「それで思ったんだが、補習の日は部活休みにしてもいいかもな」

「え、でも先輩は空いてるんですよね? だったら私に無理に合わせなくても」

「どうせ俺は寝てるからたとえ客が来ても起きられない。だったら最初から閉めちまえばいい」


 確かに夢路を初対面の人間がすんなり起こせるとは思わない。それにいくら「眠りのリュウ」の名前が広まっているとはいえ、人がやって来ても気にせず眠り続けるというのは流石に印象が悪い。夢路クオリティもとい、探偵部の評判を落とさないためにも、ここは一つその提案を受け入れよう。


「分かりました、そっちの方が色々都合がよさそうですね。でも、先輩の部屋には遊びに行ってもいいですか?」

「別に構わねえけど、夢の話聞いたらさっさと補習行けよ」

 完全に目的を見透かされ、少し顔が赤くなるソラ。


「そういや、あれから能力は発動したのか?」

「いいえ、全くです」

 以前、ソラは夢路の予知夢と同じ光景を共有し、自分の能力の発露を感じたことがあった。しかし、あれ以降特に変わったことは起こらず、また無能力者に近い生活を送っている。


「先輩の夢の話いっぱい聞いて、かなりイメージは掴んだつもりだったんですけどね」

「発動条件の方は何か判明してないのか?」

「今のところは何も。まあ気長に待ちます」

「それがいいな。焦ったってどうしようもない」


 夢路は天井を見つめて、またいつものように夢の世界へ旅立とうとしている。ソラはそれを止めずに、自分の作業に移る。

『同じタイミングで寝るとかも、条件の一つなのかな?』


 試しにやってみたいと思ったが、これで依頼人が来たら大変な事態になる。ここは昼寝部ではなく探偵部の部室なのだ。少し残念に思ったが、また機会があれば試してみよう。


   ***


 しばらくして、探偵部の扉がノックされる。

「どうぞ、お入りください」

 中に入ってきたのは、男子生徒が三人。肌の色から運動部ではないように見える。


「失礼します、一つ僕たちの部活動でご相談がありまして。とりあえず話を聞いてもらえませんか?」

「はい、大丈夫ですよ。どうぞお座り下さい」

 ソラと男子三人は応接セットに向き合って座る。


「まずは自己紹介から。僕たちは囲碁将棋部に所属している、加藤・永田・長島です」

「囲碁部と将棋部は一緒になってるんですね」

「ええ、人数の関係から。本当は僕たちは将棋部で、後三人いる部員が囲碁部を名乗っていたんですが、部員減少の煽りを受けて去年の秋から合併したんです」

 なるほど、どこも部員の確保は重要課題らしい。


「幸いどちらの部員もお互いの競技のルールは把握していましたので、合同で何とか練習が出来ていました。しかし、ある時囲碁部の連中がとある提案をしてきまして」

「提案ですか?」

 語り手の加藤は息を整える。


「その月の下旬に、部室を賭けて勝負をしようというものです」

「部室を賭ける? 囲碁将棋部は二部屋割り当てられているんですか?」

「いえ、合併した際に部室も一つに。そのため部屋の半分ずつを分割して使っていました」

 それならば、互いに賭けられる領土を持っていることに納得がいく。


「それで、勝負といっても題材は何なんですか?」

 囲碁にしろ、将棋にしろ本職の方に有利があるのは自明である。そんな不平等なものでは互いに納得がいかないだろう。


「互いの競技では公平な勝負になりません。そこで全く関係のないものとして、トランプのババ抜きが選ばれました」

「ババ抜き、ですか」


 確かに互いに実力差はつきにくいし、同時に複数人でプレイできる点もプラスだろう。しかし、運部天賦が大きいこの遊びで本当に不平不満が出ないのか。もしかして、もっといい題材を考えてくださいというのが今回の相談内容か? ポーカー、ブラックジャック、ページワン、スピード、ダウト、たこ焼き。ソラは必死に自分の知っているトランプゲームを列挙する。


「それで、これからが本題なのですが」

 来た! えーっと、大富豪、7並べ、神経衰弱。

「囲碁部のイカサマを暴いてください」

「え?」

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