猛暑の無人島
9話 猛暑の無人島
灼熱地獄ほどの地獄の業火ではないが日陰のない無人島。喉が乾いても周りは海水。ある意味地獄だわ。
砂浜しかないこの島。まだ、気がつかない巫女音朋は、暑いだろうと裸に布をかけたまま。
あたしも下着姿になりたいが、多分汗でベトベト。しかも十字架から降ろした、男がそばに。
「ねぇロバートって魔法使いじゃなかったけ? なんとかなんないの」
「ボクの魔法はマスターに授けられたので、ボクの裏切りですべて奪われました」
「なんで裏切ったりしたのよ」
「何を言ってるのですか。あなた方がそこの子を救えたのはボクが」
「クロちゃん、わたし泳いでくる」
と、マナが服を脱ぎだした。下着姿になったマナは海の中に。マナもまだ子供ね。
マナ、もしかしてあたしよりバストあるんじゃない?
「ああ……幼女の海水浴」
ああっ、ヤバッこいつヤッパロリコンだ。マナをやめさせなきゃ。
あたしは服のまま海に入った。
「ああ気持ちイイ」
「クロちゃん、服のまま」
「マナ、下着スケスケだぞ。砂浜で変態がヨダレたらしてる。いいの?」
「あっホントだ。やだっ恥ずかしい」
って、今頃胸と股関を手で隠すマナ。
「あっクロちゃん見て、朋さんが起きた」
ロバートの横で起き上がった朋が布を巻いた姿であたしたちを見てる。
「あがろうマナ。あたしの後ろからついてきて」
「朋ちゃん大丈夫? そうだ胸刺されたよね」
朋は刺されたあたりをさわって。
「大丈夫と、フランシーヌが言う」
朋はマナが持ってきたあのぬいぐるみの手を掴みさげていた。
ヤッパソレがフランシーヌ?
「ここは?」
「あたしら悪魔に異界に飛ばされたの」
「この人は?」
「お初にお目にかかります……。ボクはローグ・ネル様の弟子でロバート・パトリック。姉に代わり日本支部の代表に……だったのですが」
「ロバートは悪魔を裏切ってあたしたちを朋ちゃんの所へ。ソレがバレてあたしらとこの灼熱地獄島に」
理解しようしているのだろう朋はしばらく沈黙した。
「朋さんの魔法でここから出られないの?」
「この領域にはあいつの結界が張られている。元の世界へはちょっと無理とフランシーヌが言う」
また、しばらくの沈黙。
「あ、朋さんの服と帽子。ありますよ」
ヤシの木の根元に置いた朋のリュックをマナが持ってきて渡した。
朋は、なにか思いついたのか、リュックから絵の具を取り出しパレットに。
「あっ見ちゃだめ!」
マナがロバートの目をふさいだ。朋が布をとって丸裸に。ロリコンには見せられない。
「クロエ、布を広げて」
朋が帽子から筆を取り絵の具をつけ、ひろげた布に何か描き始めた。
エレベーターの時のようになんだかわからない文字に図形を。
「朋ちゃんパンツとシャツを。あいつ変態だから」
オーバーオールとシャツを着させてマナがロバートの目隠をといた。
「クロエさん、ボクを変態と言いませんでした」
「あら、違うのロリコンさん」
「……日本語では少女趣味と。日本では珍しくないはず。コミケでもたくさん会いました」
こいつはオタクでもあったか。コミケとか、言ってたら。
朋が立ち上がり海に向かって。
「古より大海を支配しモノよ我の求めに。ムーロドン、アリ・イエ! イエ! イエ!」
何が起こるのかしら。
「クロちゃん、アレを島が見えた!」
「違います。アレは島じゃない」
沖の方に大きな陸のような物が浮かびあがった。この島より大きい。
つづく