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悪魔の倉庫

8話 悪魔の倉庫


「わかったわ」


 なにが? と思ったらマナは黒いぬいぐるみの三本指の手を倉庫のドアノブにかざした。


 ガチャと音がした。


「魔法鍵なんですぐに開けられたって」


 ??? そいつホントはスゴい奴?


 ドアを開けてみると中は真っ暗。


「はい」


 と、言ったマナはぬいぐるみの背を前に出した。ぬいぐるみの背後首筋の上、後頭部あたりにも大きな丸い目が一つあり、そこが光り懐中電灯みたいに倉庫内を照らした。

 倉庫内は思ったより広く。学校の教室くらいはありそうだ。

 何かわからないが布がかぶせられている。

 形から何かの像や絵の額のような物も。

 テーブルやソファのような家具もあり悪魔の倉庫らしくない。

 あたしは勝手に理科準備室みたいなトコを想像してた。怪物とかの標本とかありそうな。あの悪魔は、そんな悪趣味じゃないのか。

 廊下の絵と奴の姿が悪趣味だったが。


「あ、燭台がある。クロちゃんライターとかある?」


「ええ、持ってる。あ、タバコとか吸わないから。何かの時に使えるかなぁと」

「ロウソクに火を」


 意外と燭台が有り。ロウソクが三本ずつあるのを、あたしとマナが、一つずつ持ったらぬいぐるみの光が消えた。


「見て、奥のテーブルの上!」


 巫女音朋が、寝かされている。しかも裸で。奥に行くとマナが裸の朋に近くの布をかけた。

 素早いなマナ。


「ねえ、マナ」

「ナニ?」

「マナは毛ぇ生えてる」

「どこにですか!」


 朋の裸見て思った。ホント、たいしてない胸。 あたしもだけど、でも一応大学生だよね。

 もしかして超天才でマナより年下で。

 朋のあそこに毛が無かった。


「あっ、こっちに朋さんのリュックや服が、帽子も」


 と、あの筆が立った帽子を頭に乗せたマナは服をリュックに詰め込んだ。


「クロちゃん、朋さんをおぶって」


 マナはリュックを肩に掛けて。


「待て、お嬢さんたち。ドロボウのマネごとかな」


 壁に掛かったバケモノの絵から、あの毛むくじゃらの黒い腕が出てきた。

 ゆっくりと体も。子供の頃に見たホラー映画のテレビから出るあの女のように絵から這い出る。

 あのクモのような悪魔。


「ドロボーじゃないわよ」

「我の倉庫から物を持ち出そうとしている」

「朋がいつからあんたの物に!」


 わたしたちの背後、薄暗いところに人のような物が。ソレがハッキリ見えてきた。


「我の下僕どもは日本に来ると、おかしくなるのか? 使えないな」


「師よ、ボクはなにも」


 現れたのは十字架に縛りつけられた。パッキン、イケメンのロバートだ。


「ロバート、聞いた? あんた弟子なんて思われてないわ下僕って」


「困ったものだ。我も不甲斐ない。君たちには灼熱地獄にでも行ってもらおうか。アリ、ゲ・ンサ!」


 灼熱地獄って、目の前が炎でゆれてるみたいにユラユラと、そして暑い!



「クロちゃん! ここ、何処?」


 灼熱地獄……さすがに炎の中ではないが暑い。

 体中からどっと汗が吹き出した。

 四十度くらいありそう。もっとかな。


 足元は砂地。砂漠? あ、いやおもっいきり聞こえる波の音。ココは。


「お嬢さんたち、ボクを降ろして」


 背後の二本のヤシの木の間にキリストみたいに十字架に布切れを腰に巻いた姿で縛り付けられたロバートが。


 頭上には照りつける太陽。たった二本のヤシの木。周りは砂浜。マンガみたいな無人島だ。


               つづく




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