ロバート・パトリック
7話 ロバート・パトリック
「やあ、待ってましたよ」
どう見てもパッキンのイケメン外国人。
まえの魔女より日本語が上手い。
「人の家に入って変ですけど。どちら様?」
「はじめまして。ボクはロバート。ロバート・パトリック。君たちの名前は?」
「緑川クロエ・フォックスよ」
「椎名真奈です」
「マナちゃんか。カワイイ」
ああ。マナ、モテモテ?
「ところで君たちは、なにしにココへ?」
「なにしにって、友だちが……こっちも聞きたい、あんたはナニ?」
「ナニって、ココはボクの姉の部屋だ。ボクがココに居てもなにも不思議はない」
「あんた、あの魔女の弟!」
顔に目がいってたが、ロバートと名乗ったイケメンの服装は黒いマントにタキシード。シルクハットでもあればマジシャンかい。
「まあ姉弟子というだけで血のつながりはない」
「弟子。じゃあんたも魔女、あ男だから魔男」
「間男……。日本語の訳はおかしい。アメリカでは男も女もウィッチだ」
「どちらも悪魔の下僕よね」
「ああ、マナちゃん」
パッキンがソファから立って、マナに人差し指を立てて振り。
「下僕。ノォ。ボクは弟子だ。そして師は悪魔などではない。そもそも悪魔などという者は存在しないんだ」
今度は人差し指を立て。
「悪魔とは人が作った宗教が、あらわした存在だ。どの宗教にも、神に逆する者として存在するが、彼らは他では神だったり、異なる存在だったり。そしてボクの師は天より降りし人を救う存在だ」
完全にあの悪魔に洗脳でもされてる。
「師が、ココに招かざる客が来るから始末しとけと命じられたが、始末の意味がわからない。来た客は君たちみたいなカワイイ客だ。君たちはナニをした?」
「なにもしてないわ。むしろしたのはそっちよ」
「師がナニを?」
「そんなことより、わたしは朋さんを助けたいの。朋さんはどうしたの?」
「トモさん……もしかして師が処理するとか言っていた異物の……。ソレは地獄の炎で焼かれるだろ」
「えっ、朋さんは焼かれたの」
マナはロバートに攻め寄った。
「う〜ん良い香りだマナちゃん。ボクはこの幼女の香りが好きだ」
この男、なんか危ない。ロリコンかも。
「幼女! わたし、もう中学生なんですけど!」
「そうなのかいでも……。アレはまだ、焼かれてはいない。おそらく倉庫に」
「その倉庫は何処?」
「君たちには行けないよ。異世界にあるからね」
異世界! まるでラノベみたいになってきた。
どうやって行くんだ。異世界に、まさか死なないと行けないとか。
「ロバートさん、そこに連れてって」
マナは、グッとロバートにより。彼を見つめた。
「それは出来ない……」
「お願いロバートさん」
マナの背だと、ロバートのヘソのしたあたりが顔で、そこらへんに顔をすりよせ上を見た。
「お願い」
うるうる
「困ったなぁ。そんなことしたら……」
「あの悪魔にはないしょにします」
「ないしょって……」
ロバートは、両手でマントを開いた。
マナやるなぁ。
「君たちが勝手に通った。ボクは知らない」
けっこういい人かも、この人。
マントをバタバタさせ、こっちにこいとさそっている。
あたしとマナは。一度顔を見合わせ、両脇のマントの中に突っ込んだ。
一瞬暗くなった、そしてそこは薄明かりのランプのついた。廊下だった。
ここはどこだ。異世界なの?
「クロちゃん、ココは?」
「多分異世界の廊下。見て壁に趣味の悪い絵がかざってある」
怪物が人を食べてる絵とか、得体のしれない生き物が、飛びまわってる絵だとか。なんだかわからない臓物のような絵。
こんな悪趣味な飾られた絵を見ても悪魔はいないと言うのだろうかロバートは。
でも洗脳されてれば、何見ても感じないんじゃないのか。
「見て、マナ奥に扉があるよ。あそこが倉庫かしら」
扉に着いたがカギがかかっていた。
つづく