ママーネ婆さん
4話 ママーネ婆さん
ハワイに引っ越したマナの友だちに何かあったらしい。
やっば海外でも、ダメだったようだ。
「マナ、ゴメン。あたしが早く言ってれば……」
「クロちゃんのせいじゃないわ……。それより、あのエレベーターで見た顔、見覚えがあるの」
「あのデカい……。アレどう見ても日本人じゃなかったよね。言葉も少しなまってた」
「このマンション、外国人が多いよね。その中の誰かだと思う……そうだ、ママーネさんとこに行ってみよう」
マナのいうママーネさんは一階の101で占いの部屋をやってるフランス人の老婆だと。
マナのオカルト知識の師匠だという。
でも、マナの友だちはどうなったんだろう。
心配してもナニも出来ないしね。マナ、大丈夫かしら。
言わなければ知らずにすんだだろうけど。
「いらっしゃいマナちゃん。そちらさんがた、はじめましてだね」
「はい、どーもマナと同階の緑川です。隣は友だちの巫女音さんです」
「知ってるよ。マンションのオーナーの娘だろ」
「え、クロちゃんそうだったの」
マナはココに来た理由告げた。
「話はだいたいわかったわ。あなたたちが行くのは、504のヘレナ・アレニエのとこだよ。あの女は魔女だ。二、三回見かけたが、邪悪な気を感じたよ」
「まえにママーネさんがこのマンションに魔女が居ると。あの女なのね……あの女がタケルくんを」
「魔女……そーいうのはレーカンとかじゃわからないのかな?」
「魔女の力は霊力じゃないからねぇお嬢さん」
「あのお婆さんは、このマンションの秘密とか知ってるんですか?」
「秘密……もともとそんなモノ無かった。私も誰の仕業なのかわ。いつから始まったのかね。その災難というのは」
たしか、パパがマンションを買った時には何人かの住居者がいたと。彼らからしたらオーナーが代わっただけなんだろう。別に家賃の値上げとかしてないし。
まえのオーナーはなにか知ってて。ココを売った?
「ん、でも朝占ってたらイイカードが出てね。私はあんたを待っていたんだよ」
ママーネ婆さんは巫女音朋を見て笑った。
「私からの贈り物を」
ママーネ婆さんは、椅子から立つと後ろの棚の引き出しを開け何か持ってきた。
「魔除けのペンダントだ。魔女に会うなら持っていきなさい」
あたしらは五階へ行こうとエレベーターホールに。ボタンを押す時に考えた。
「あいつまた、出ない?」
「なら」
巫女音朋がボタンを押すとすぐに開いた。
エレベーターは一階にいた。
「クロエ、ちょっと止めてて」
巫女音朋はエレベーターに入るとリュックから木製のパレットを出し絵の具袋から赤のチューブを取り出しパレットに絵の具を乗せた。
あの帽子の筆に絵の具をつけ壁に大きな円を描き中に一筆書きのの星を書いて真ん中に目を描いた。そして円の空いたところに何やら読めない字を書いた。
なんかの魔除けかなんか? しかし派手に描いたなぁ。
「あーあ。管理人さんに後であやまっておかないと」
「大丈夫。一時間くらいで消える」
エレベーターは何事もなく五階まで行って開いた。
「ここね、504。どうしょうピンポンする」
あっ、巫女音朋が、横から押した。
音がなってる様子がない。
ドアノブに手をかけると開いた。
中は電気はついてなく暗い。とりあえず中に入って見た。
バタンと、ドアが閉まると部屋が真っ暗に。
ココは玄関だから足もとに段差がある。一段上がった。
靴のままだけど、このさいいいか。
「クロちゃん、メッチャ闇が深いね。コレおかしいよ。あっ何か見える」
闇の中に顔があった。あの大きさだとすごく遠い。おかしい。この部屋がそんな広いはずがない。
顔がスーッと近づいてきた。どう見ても歩ってない。顔だけ近づいて来ている、その顔はエレベーターで見たあの女の顔だ。
「帰レト言ッタハズ」
「キャッなんか足に触った」
どうやら、あのエレベーターにも出た動くしらたき。
「わたしもなにかが」
「あ、マナこれっ」
ママーネ婆さんがくれたペンダントをマナに。
「ウッ、オマエタチ何ヲ持ッテル!」
闇の中で赤い光が。
ソレは巫女音朋が持ったぬいぐるみの目から、光が出ているのか。
光の線が魔女の額に集中した。
「ナンダ、コノ光ハ」
部屋の中が明るくなった。
黒いフードに黒マントの魔女が見えた。部屋は普通のマンションのリビングだ。
あたしらはこんなとこに居たのね。
「魔女さんあんたの仕業? なんでここから出た人間を不幸にするの」
「ソレハ、オマエタチガ知ル必要ハナイ! ヤメロ、コノ光ハナンダ!」
魔女がマントとフードをとった。
オバさんのわりにナイスボディな外国人ね。
ブラにパンツの下着姿にやっぱ魔女ね黒だ。
光を手でさえぎって、変な踊りをはじめた。
「我ガ主ヨ我ニ力ヲ、スセン、リブ・ザクヤ!」
女の手足が、伸び黒くなった。まるでクモみたいになり、額に丸い目のような物が。
「主ノ力ヲ得タ、ソノヨウナ光ハキカヌ」
クモみたいになったので、あたしは魔女に例のペンダントをかざした。
「ソイツノチカラカ」
ヤツが魔除けのペンダントにひるんでいる時に、巫女音朋はリュックから出したパレットに絵の具を出し、壁になにやら文字や図形を描きだした。
「何ヲ描イテル。ヤメロ!」
「闇の力を遮断する」
魔女の様子が変だ。魔女が壁を背に天井に登りだした。
あたしらを見下ろしニヤリと笑うと、見開いた目が両方あらぬ方に回り出し、寄って止まり。額のあたりから縦に線が走りバリバリとふたつに割れた。
割れた中から黒い剛毛におおわれた男が出た。
両肩から長い腕が生え、脇腹からも腕が。
まるでクモ男だ。
目の上にまた目が開いた。
「我は42の軍団を率いる将軍である。我が名はローグ・ネル」
つづく