ねらわられた仲間
30話 ねらわれた仲間
「あんたは誰だ? うっ!」
「おい、大丈夫か? こんな、誰に。おい久能!」
「あっクロちゃん。久能さんが。今、救急車で」
「久能君にナニが? よくわからない。中庭で倒れていたらしいの。鹿嶋さんが見つけて救急車を」
異世界のカフェにいたので、マナからの電話が通じなかった。
駅に着いてスマホ見ればマナの着信履歴が、いくつも。
マナに電話をかければ久能太郎が倒れて救急車で運ばれたと。
電車の時間があまりにもないので一駅、走って帰ってきた。
ママーネ婆さんは、ロバートが背負って走った。途中薬丸岳と交代したが。
ヤンケンシュタイン先生が7階に上がって来た。
「先生、久能君は?」
「腹を何箇所も刺されていた。けっこう傷は深い。鹿嶋さんが救急車に同乗して行った」
「ドクター、久能さんは」
「なんとも言えません。しかし、誰が彼を。あの悪魔が……。に、しては人間ぽいと思うんだが、やり方が」
「彼、誰かに恨まれていたんでしょうか?」
「鹿嶋さんからの連絡を待ちましょう。あの人が、一番久能君を知ってる」
「救急車が来ていたようだが、何があった?」
丁度空いていた701に泊まることになったアン・エヴァンジルが、廊下に居たあたしらに。
「あ、アン。仲間の一人が、何者かに刺されて」
「刺された。悪魔らしくないな。別件かしら?」
ヤンケンシュタインみたいなコトを。
「あの、悪魔ならどうするんです? 先生」
「例えば、発狂させて、屋上から飛び降り自殺に見せかけるとか。地獄の業火で焼くとか、人間が突然炎を上げて燃えだす」
「発火現象ですね先生」
「そうだ、さすがマナちゃん」
「アレも悪魔の仕業なんですか?」
「昔はそう言われたけど。最近の研究では……」
「ファイヤースターターは存在するわ」
「そうなんですか、えーと」
「アン・エヴァンジルよ。私もスーパー・サイエンスの世界は興味があるの」
正体バラす気かしら。アン・エヴァンジル。
「あーゆーのって、ホントにあったら面白いわよね。私、ビッグフットとか、居ると思ってるの」
「わたしもUFOとかネッシーとか興味あります」
「今度、よかったらお茶でも飲みながらお話ししましょ」
アンは、自分の部屋へ戻って行った。
「クロちゃん、あの人ココに入居したの?」
マナは心配そうに言った。
「違うわ。マナ、あの人はパパの知り合いで一時的に空き部屋に泊まってるだけ」
「なら、大丈夫なのかな?」
「と、思うぞあたしは」
パラポラピラピ〜
「あ、電話だ。鹿嶋さんだ」
《大丈夫よ。ヤンケンシュタイン先生の応急処置のおかげで命は。でも、まだ昏睡状態なの》
「そうなんですか。良かったと言うべきかな……」
《とりあえず、私は今夜は病院に。あと、みんなに気をつけるようにと。マナやクロエは特に。ホントは、私がマンションに。久能も心配だし。気をつけて》
それは、あたしやマナが、襲われるってこと。
その日の晩は眠れなかった。
けど、何もなかった。こんなコトになるなんて、あたしちょっと悪魔退治を甘くみてた。
「マナを巻き込んでしまいあやまったと思った。あの時連れて行くんじゃなかった」
「そんなのわたし気にしてないよクロちゃん。朋さん助けて異世界へ行ったりと冒険出来たし」
翌朝7階の廊下で、あたしはマナに話した。
「学校、気をつけて」
「いってきま~す」
マナは強いな。昨夜寝れなかったのあたしだけ?
その日のお昼過ぎ、スマホにメールが。
学校なんで気をつかったのかメールが。
〘アジフ、現場で事故。大怪我。入院〙
えっ、今度はアジフが、入院!
メールに返信し、病院をきき、マンションに戻りロバートとヤンケンシュタイン先生のクルマで病院へ。
部屋には奥さんが椅子に座りベッドに眠るアジフを見ていた。奥さんはあたしたちに気がつくと病室から出て。
「怪我ですんで良かったわ。ヘタをしたら命が危なかったらしいです。めったにないような事故だと会社の人が。弟子のダニエルが、危ないとこを。ホントに良かった」
あの奥さんが泣いていた。
アジフを愛しているんだなぁ。
こちらも命は、落としてない。
なんかマナが心配になってきた。
「マナちゃん大丈夫ですかね。ボク、心配です」
病院の帰りにマナの通う中学へ向かった。もう授業は終わった時間だ。
マナはクラブ活動はミステリー研究部。そっちに行ってるのか。
下校する生徒がちらほら、その一人に学校で何か事故がなかったか聞いてみた。
「5時間目の終わり頃。一年生が怪我したとかで救急車で運ばれたよ」
つづく




