つながるカフェ
29話 つながるカフェ
御老公一行。水戸黄門かい。
パパが日本の時代劇好きなので子供の頃に、よく一緒に見た。なので発想が古いあたし。
今時の大学生で知ってる子がいるのかな。
杖をついた老婆の横に男が二人。
「クロエじゃないか。学校の帰り?」
小学生か、あたしは。その言い方。
「ロバートたちこそ、なんで」
ママーネ婆さんの外出姿、はじめて見た。いつも部屋ではゴスロリぽいっドレス姿。今日はパンツだ。なんか驚き。
弟子の薬丸岳もいつもより綺麗なポロシャツにスラックス姿。
「ママーネ師が、突然カフェに行きたいと。クロエさんたちと昔の話しをしたせいなのか……」
「ねぇクロエあんた、あんなパツキンのイケメンと何処で知り合ったの紹介して」
モリー。イケメンによわいからな。メンドーなんで無視した。
「ママーネさん、ゼッド・リーマスターのカフェへ?」
「ヤクの言うとおりだ。生きてるウチにまたマスターのコーヒーが飲みたくなったんだよぉ」
「あのねママーネさん、実はあたしたちもカフェへ。大学の友人二人です」
「ハロー森カスミですヨロシク。そっちの金髪のおにいさんも」
と、握手をする。チャラいぞモリー。
「家藤聖子です。はじめまして。クロエ、皆さんは?」
「あ、あたしの居るマンションの住人。占い屋さんの人たち」
「あの、ママーネさん、あたし何度かカフェに行ってるのに店が、見つからないの」
「そうだね。あの店は異世界にあるからね」
「異世界カフェ! 思い出した。お婆ちゃん、店に入る前になにか呪文みたいな言葉をつぶやいてた」
「ほお、あんたは何者かな?」
「マスターの元奥さんの孫よ」
「わたしのお婆ちゃんは、江戸川ななといいます」
「なにナナさんの。知ってるよ。ナナさんお元気かな?」
「一昨年亡くなりました」
「そうでしたか」
フランス人のママーネさんが片手の指を立て黙とうした。
そしてママーネさんが。
「ついておいで」
駅前の路地に入り、つぶやいた。
「ニタ、ナカノ・ジニ!」
「あっ、ソレ!」
朋と入る時は呪文なんて。自分の家だからかな。
ママーネ婆さんが、そのまま路地をすすむと。
見慣れた木製と古いレンガに蔦がからまっ店があった。店のドアにはOPENの掛け看板が。
「異世界カフェ……。アニメみたい」
と、モリーが一言。
「マスター・リー元気?」
と、ママーネ婆さんがドアを開け。
一瞬きょとんとしたマスター。
「これは懐かしいミス・ママーネ?」
「ああ久しぶりにマスターのコーヒー飲みに来たよ。今日は孫みたいな子たちも一緒だ、お入り」
「ハローマスター!」
「クロエさんか」
「おじやましまーす」
「おお、大勢で。お客さんが、おじゃましますは、なかろう。君はまえにも朋と」
「はい、ロバート・パトリックです」
「ママーネ師の弟子で薬丸岳です」
「こんにちは、あたしたちクロエの友だちで〜す」
「マスター。お久しぶりです。わたしわかります?」
「まえにあったかな。昔の常連さん?」
「ハイ。ここでよく絵本を」
「マスター。ナナさんのお孫さんよ」
「ななの。なるほど、小さい頃よくななと。思い出したよ。ななは?」
「一昨年亡くなりました」
「そうか。それは」
「マスター、その子はマスターの?」
ママーネさん、それあたしも気になってた。
「なにを。わしとななには、子供はいないよ」
「わたしはお婆ちゃんの再婚後の」
「そうなんだ。マスターは、離婚後奥さんは?」
ついでに聞いてしまった。
「わしは、ななと別れてからは再婚はしてないよ」
「そうなんだマスター。いまだ独身。マスターみたいなイケメンならもてたんじゃないですか」
また、よけいなことをモリー。
「いやいやわしがイケメン。あんた目が悪いのか、イケメンと言うのはそっちの金髪の」
「あ、ボクなんか。マスターは野性味のあるハンサムガイです」
「あたしはロバートさんがいいなぁ」
そうきたかモリー。ロバートの腕にしがみついた。
「ロバート、気をつけて。モリーには彼氏が五人」
「五人ですか。モテモテですねモリーさん」
ロバートったら、そういう意味じゃなく。
「モリーは五またかけてんの」
「クロエ、余計なこと言わない」
と、耳元でモリーが。
「マスター。みんなにコーヒー。私の奢りよ」
「ママーネさん」
「オーナーのお嬢さんが遠慮しない」
あたしは、まえに来た時に見れなかった絵本をじっくり見た。
横で聖子も、懐かしいを連発し、ながめてる。
ママーネさんの話しを聞いた後なので字のない絵本のストーリーがよくわかった。
最後のページは海に住んでた男と改造された人形フランシーヌが陸にあがるトコで終わる。
そして持参した人形の冒険絵本を見ていたら。
「おや、クロエさん。ソレをどこで?」
「マンションの住人が、持っていたんです。ドイツ人の元医者の方です」
「ドイツの元医師。名は?」
「ヤンケンシュタイン先生です」
「彼が日本に。その元医師はわしの昔の。その本は、わしが」
ええ、ソレをマナが知ってあたしに。また、つながった。
つづく




