ぬいぐるみのモデル
27話 ぬいぐるみのモデル
「子供の頃の読んだの。懐かしいわ。ちょっと見せて」
あたしの隣の席に坐った、聖子は絵本を勝手にめくった。
「あっプッテ、懐かしい」
聖子が、プッテと指さしたのは、全身黒くて、とんがり頭で顔にあたる部分にやたら目があるホネホネな黒い線みたいな姿のキャラだ。脚は三脚みたいに三本ある。腕も細長く手らしい物がなく数本別れた線の指。
コイツが朋のぬいぐるみのモデル。ぬいぐるみだからのデフォルメしたのか?
「コレ何処で見たの? 聖子は」
「お婆ちゃんと行った喫茶店。ああ、昔お婆ちゃんの家がこの近くにあったのよ」
「そうなんだ。じゃあアソコかな。このまえ言ってたコーヒーの美味しい駅前のカフェ」
「そうかなぁ。場所はあまり憶えていないのこの絵本のインパクトが大きくて、絵本見たさに何度も行ったんだけど。なぜだろ場所を憶えてない」
「聖子は気づかなかった。朋ちんの持っていたぬいぐるみ。アレの正体が、このプッテよ」
「朋ちん?」
「あんたらがクロ子と言っていた」
「え〜あの黒いの。ぜんぜん違うじゃない。クロエ。朋ちんってあの子と友達になった?」
「ええ、べつに不気味じゃないわ不思議だけど」
「マジ、クロエ? クロつながりで友だちになっちゃった」
「何よソレ。いい子よあの子」
そりゃ普通では、ないけど。
「その絵本は、どこで手に入れたの? わたしも欲しい」
「これは、あたしのじゃないの」
「なに? その朋ちんの?」
「違う。あたしのマンションに住んでる人の。聖子のお婆ちゃんって、あそこのマスターの知りあい?」
「元奥さん。別れたけど仲は悪くなかったわ」
「え〜そんなつながりがぁ」
「お婆ちゃん、もう亡くなったけど」
なんなのこのつながりは?
「あそこのマスターとの意外なつながりね。あのマスターはあんたたちがいうクロ子の保護者なの。家族ではないらしいけど。あのカフェからいろんなつながりが出てくるわね」
「クロエ、何か他にも?」
話題にイマイチ乗れないモリーだったが、やっと乗ってきた。
「あそこのマスターの知り合いが、あたしのマンションに居て、あの朋のぬいぐるみを作った人だったの」
「ナニソレ。面白そう。あのぬいぐるみの正体がわかったのね」
「そういうこと。で、あんたのお婆さんはあのマスターの妻だったと。コレはなにかがわかりかけてるのか?」
なにかってなに?
「そもそも、そのプッテとはなにか? 聖子知ってるの」
「主人公の人形を助ける……なにか精霊とか? 私も小さかったから、ハッキリ意味わからなくて見てた?」
「まあね、これって字がないでしょ」
「そうなの?」
モリーが絵本のページをめくる。
「ほんとだ。絵だけで楽しむ本ね」
「ねぇこの人形って、なんとなくクロ子に似てない」
聖子が、言ってよく見ると。う〜ん髪型は違うが、もっと短くカットして、見たらこの眠たそうな目とか小さめの鼻と口。目の色がグレイなトコとか似てなくもない。あ、でもありえない。
「この絵本が描かれたのは朋ちんが生まれる前だ。それじゃ朋ちんがモデル説はありえない」
「そうね、それに絵をモデルに生れた子なんかいるわけないわよね」
一つだけそれが出来る方法が。朋が、あの姿のまま長く生きていて、ありのままをモデルにして、描いた。
ないわね、そしたら朋はいくつよ。
あの鹿嶋世泉みたいに生きているシビトだとしたら。はあ、あの時、鹿嶋さん。なんと言ってたかしら。
つづく




