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ヤンケンシュタイン先生

15話 ヤンケンシュタイン先生


 ママーネ婆さんの推しで行ったトコも上手くいって、ウチでおやつタイムするコトに。

 近所のコンビニへ向かう。


「あ、先生。こんにちは」

 

 コンビニの帰り道で外国人の中年男性と出くわした。 

 マナは先生と。何者かしら? 

 見た目はロマンスグレイのオールバックで、リチャード・ギアかという感じの紳士。


「マナ、誰?」

「えっクロちゃん知らないの。ウチのお隣さんのヤンケンシュタイン先生よ」

「隣。同じ階の人か」


 知らない。ウチが707でマナんとこの隣とは、705の住人。う〜んあたしはマンションの住人を知らなすぎるのか、マナが多いのか。


「あ、はじめまして。707の緑川クロエ・フォックスです」

「コレは、ドーモ。同じ階にこんな美少女が、まだ居たとは。ハンス・A・ヤンケンシュタインです」


 握手をした。マナは先生って大学の教授か、なんか、みたいなぁ?


「先生は、日本に移住する前ドイツでお医者さんだったそうです」

「マナちゃん、先生はもう。私は今はただの隠居の身」


 隠居って、六十代くらい?

 わざわざ日本にまで来て。結構お金持ちかしら。


「クロエ・フォックス……ハーフですか?」

「ええ、パパはアメリカ人です。あたし日本の血が濃いので、名乗らないとわからないの。たまに聞かれるけど」

「そうですか。いやでもビュティーでもありキュート。日本の美少女タレント顔ですね」


 もしかして褒められた? 


「クロエは焼肉定食好きですか?」


 なに、いきなりのこの質問? 嫌いじゃないけど。焼肉なら、わざわざ定食にしなくても。


「焼肉は好き。でも焼肉定食はあまり食べません」

「あ、違うのクロちゃん。焼肉定食ってアイドルユニットの」


 え、そういうコト。あのなんとかっていう焼肉屋のタレのTVCMに出ているアイドルね。


「ヤンケンシュタインさん、日本のアイドル好きなんですか」

「ハイ私、日本のアイドル大好きで。そのために日本に来たと言っても過言ではありません。特に今推してるのは『焼肉定食』のミンチィーです」


 街であったら引くはね。この人。見た目とスゴいギャップ。 まさにマンションの変人の一人ね。


「それから、クロちゃん。先生は、ドイツでは有名なオカルト学者なのよ」

「オカルト学者。そうなんだ、先生。もしかして『ローグ・ネル』という悪魔、知ってます?」

「ローグ・ネル。聞いたことない名だ。その名は悪魔が?」

「ハイ」

「ハイって、クロエは悪魔と会ったコトあるの?」

「ハイ。悪魔はそう名のりました」

「ほう自身で。それ、偽名じゃないですか? 悪魔は本当の名を知られたくないのだよ、で、大物の名を名乗る事が多い、キミでもわかるようなサタンとかベルゼブブとか」

「はあ、なるほどそれで。みんな知らないと」

「悪魔と会った人間はそういない。よかったら私にその話しを聞かせてくれないかクロエ」

「いいですよ。マナもこの友人の巫女音朋ちゃんも皆会ってます。悪魔に」


「先生も力になって下さい。いいよねクロちゃん」



 あたしらは部屋で巫女音朋がお気に入りのポテチを食べおやつして、報告にママーネ婆さんの部屋へ行くと。


 ロバートが中庭でなにかを持って、動いていた。


「ロバート、ただいま。何してるの、あのクラーケンの背で拾った貝に似てるねソレ」

「あ、おかえりなさい。コレはママーネさんからいただいた盾です。貝に似てるのは貝をモチーフに作られてるからです。うまくいきましたか?」

「まあね。予想以上よ」


「ママーネさんたちは中に」

 

 部屋に行くとママーネさんと薬丸岳がお茶のさい中だった。美味しそうなケーキを。

 こっちでおやつをすれば良かった。


「おかえりなさい。どうでした?」


  ドンドン


「あら、お客さん? ヤク、ドアを」


 薬丸岳がドアを開けると大きなスキンヘッドの男が立っていた。


「おまえは」

「久しぶりだな。ロバート・パトリック」


               つづく

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