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ヒロイン ロザリー

ロザリー

 ヒロインとして転生。中の人は地方在住の資産家の娘の成人女性(Not社会人)


セオドア(攻略対象)

 伯爵家嫡男。眼鏡をかけた黒髪の理知的な青年。同じ伯爵家の令嬢サリアと婚約関係にある。


ルッツ(攻略対象)

 大きな商家の三男。ふわふわの茶色い巻き毛の可愛い系の美少年。子爵令嬢のカリーナと婚約している。


 さて王子たちが退出し、残されたのはヒロインである男爵令嬢、ロザリーだった。

 ロザリーの周囲に侍っていた男子生徒たちもすでに彼ら自身の婚約者とともに退室しており、気が付けばロザリーは一人、何が起きたのかわからずその場で立ち尽くしていたのだ。


「な、なんなのよ。何が起きたっていうのよ!」


 ぶるぶると震えながらそうつぶやくロザリーに声をかける生徒はいない。数時間前までは学園の高位貴族達の寵愛を受け、学園の女王としてふるまっていた少女。その中にはこの国の王子も含まれていると思われていたが、何のことはない。王子は少女のことなど一切見向きもせず、自身の婚約者を称えて退出していってしまった。

 それはこれ以上ないほどロザリーなど眼中にないと態度で表しており、それを敏感に感じ取った学園に通う多くの貴族の子息や、目端の利く庶民は彼女に近づく愚を起こさなかった。

 もちろんそういう生徒ばかりではなかったのだが、うつむいてぶつぶつとつぶやく美少女が単純に不気味だったというのもある。


「なんで? 私はヒロインでしょ? ここでイケメンがやってきて私に指輪をくれるんでしょ?!」


 指輪はゲーム内において特定の条件を満たした際に攻略相手から渡されるアイテムだ。

 それを手に入れると、季節イベントで別の相手を攻略中であったとしても、クリア時の高好感度状態でイベントが楽しめるというアイテムである。

 キャラクターに応じて造詣がそれぞれ異なり、グッズとして発売もされている。ヒロインとなった少女のかつての友人が欲しがっていたので覚えているのだ。父親が資産家であった彼女にとってはたいして高くもないが、普通のサラリーマンの家庭に生まれた彼女にはなかなかに高価なもので、とても悩んでいたからたいして興味もなかったが、彼女が一番好きなキャラのものを買って見せびらかしたのだ。

 そもそもゲームですら彼女自身が興味があったわけではなく、その友人がプレイしていたのでやってみただけだ。まどろっこしいのはめんどくさかったので課金でキャラクターを集めたが、こんなのの何が面白いのかわからなかった。まぁ、友人は自分と違って間違ってももてるタイプではなかったのではまってしまったのかもしれない。

 それでも人数分、毎回面倒なプロローグを見なくてはいけなかったが、おかげで自身の立場がすぐに理解できたのはよかった。

 ゲームでは興味がなかったが、現実として金と権力のある男は大好きだ。幸いにして今の自身も生前と同じく容姿に優れていたし、引き取ってくれた祖父の下では不自由なく暮らすことができていた。

 ならば、より良い暮らしを求めて助けてくれる男性を選んで何が悪いのだ。ただ、彼女が誤解したのは、彼女が引き取られた男爵家では確かに生前の彼女の生活、つまりそこそこの資産家と同じ程度の暮らしができる。だが、伯爵以上の上位貴族の生活はそれとは比較にならない規模であるということだ。

 庶民でありながら公爵家に転生してしまい、環境に適応することに苦労した公爵令嬢とは逆に、生活レベルが変わらなかったために意識の統合に苦労しなかった彼女は致命的なミスをしてしまい、以降誰にも訂正されることなく卒業までの日々を過ごしてしまったのである。

 本来ならば訂正する役目は公爵令嬢が担うはずだったのかもしれない。だが彼女は前述の通り、自分の生活に適応することでいっぱいいっぱいであり、正直ヒロインのことは彼女があからさまに排斥されないようにするのが精いっぱいであった。

 だがそれが逆に彼女を孤立させ、誤った考えのまま突き進んでいった要因でもあるのだが、人生はままならないものだ。


「もう。仕方ないわね。明日にでもセオドアに今日のことを言ってやらないとっ」


 いつまでたっても自分を慰めてくれるような男性が現れないことに、ロザリーはさっさと見切りをつけると、そう言って足早にダンスホールを後にしていったのだった。


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