プロローグ
タイトル通りの話。
本来ならもう少し掘り下げて連載にするといいのかもしれませんがめんどくさくなったので短編で公開。(文字数が多いのでいくつかに分けました)
BLタグは入れてありますが、念のためで影が薄いです。
アリシア
この話はおおよそ彼女の視点。
ライバル令嬢として転生。中の人は都内在住の社会人成人女性
これは、よくある話だった。時は春の夕刻。そろそろ空は薄墨色に染まりつつあった。場所は王都の一角にある貴族の子息女と一部庶民たちが通う学園のダンスホール。それぞれに着飾った男女が楽し気にざわめいている。
本日はこの学園の卒業式が執り行われる日だ。すでにお堅い式典は終了し、現在はそれを祝うダンスパーティの開催を今か今かと多くの者たちが待っているところだ。
今日を最後に卒業生は成人として扱われることとなる。もちろんより高度な研究や勉学の道に進む者もいるが、その数は多くはない。今日は学生最後の日にして、大人として扱われる前日。学園で学んだダンスや話術、そして教養、何より人脈を各々の家族に披露する場である。
最初に生徒の保護者達がダンスホールに、そして庶民が、それから男爵、子爵、伯爵と次々に生徒たちが自身のパートナーをエスコートして現れる。そして最後に登場したのはこの国の第一王子であるヴァーシル王子とその婚約者である公爵令嬢のアリシア嬢だった。銀髪の王子と金髪の令嬢の二人は、どちらも人の目を引き付ける華やかな美貌の持ち主で、二人並んでいるとどこからともなく感嘆のため息が漏れる。
王子は令嬢をエスコートしてダンスホールの中央、少しばかり段が高くなっている場所へと向かった。そして開催を待つ生徒と、その背後にいる保護者へと向き直る。右手には今もBGMを流している王宮楽団が、左手のさらに上空部にはバルコニー状の客席がある。現在は分厚いカーテンで仕切られているが、あと数分もすれば国王とその妃が座ることとなるだろう。
「さて、陛下が来る前に皆に聞いてもらいたいことがある」
王子は楽団に手で演奏を止めさせるとそう話し始めた。特別声を張っているわけではないのに、不思議と耳にするりと入る。それは支配者として生まれ育った彼が身に着けたものだろう。
それを聞いて、公爵令嬢はそっと顔をうつ向かせ、見えないようにこぶしを握り締めた。
そう、これはよくある話だ。
例えばある日突然前世の記憶を思い出したら、この世界が生前自分がプレイいていた乙女ゲームの世界によく似ていて、自分がライバル令嬢だった公爵令嬢と、同じく前世を思い出したら自分がヒロインだった男爵令嬢が、逆ハールートとざまぁをかけた攻防という。よくある話である。




